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『令和源氏物語 宇治の恋華』解説/浮舟<四>

みなさん、こんにちは。
次回『令和源氏物語 宇治の恋華 第二百七話 小野(一)』は、8月7日(水)に掲載させていただきます。
本日も解説 第十三章/浮舟<四>を掲載させていただきます。


 不義の露見

やはり右近の君が心配していたように、こうした不義は露見してしまうようです。
それもそのはず、匂宮から頻繁に手紙が届けられるということは、それを届ける使者が邸に出入りしているということなので、薫の側近がそれに気付かぬはずもないのです。
薫の側近は慎重に聞き込みをして事実を掴みました。そして二条院にて浮舟と匂宮がすでに会っていたという事実まで露見するのです。
薫は浮舟が妖しく変貌した頃合いに思いをめぐらせ、不快感を覚えずにはいられません。身持ちの悪い女であるとさえ蔑むのです。
一方では浮舟を奪った匂宮を恨めしく、どうにも怒りがおさまりません。
それと知ったことを歌に仄めかして浮舟に手紙を送りました。
浮舟は薫に知られたことを悟り打ちのめされました。

 それぞれの想い

薫は浮舟と匂宮が想いあっているとするならば自分の存在は無粋以外の何者でもないと思い悩みます。
いっそ何も知らぬ顔で宮に譲ってしまおうか・・・。
しかして浮舟が女一の宮に奉られるようなことになれば哀れで寝覚めが悪く感じるのです。
知らないで迎えていればこのようなことも無かったであろうに、そうかといって知らずにおれば陰で浮舟と匂宮が自分をあざ笑っていたであろうことが癪に障る。
とてもそれまでと同じように浮舟を愛する自信がないのです。

匂宮は薫に対する対抗心でやっきになって浮舟を引き取ろうと邸を準備します。しかし薫が邸の警戒を厳重にしたことで薫に事が露見したことを知るのです。
宮は結局自分が一番かわいいナルシストなので、この恋路の辛いこと・・・、と酔いしれておりますが、自分のしでかしたことに対する反省は微塵もないのです。とても恥知らずな人ですね。

浮舟は結局二人の男性のどちらかを選ぶという決断ができません。
やはり優柔不断ですが、恥をさらしているという自覚ばかりに苛まれて自死を考えるようになるのです。しかし自分が死して後、母親に恥ずかしい所業を知られると思うとなかなか踏み切れず、そもそも死に対しての恐怖で身がすくんでしまうのでした。

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