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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2023年7月の記事一覧

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十話 若菜・下(三十六)

 若菜・下(三十六) 柏木は例の試楽以来、床についたきり頭も持ち上げられぬほどの病に臥…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十九話 若菜・下(三十五)

 若菜・下(三十五) 試楽は格調高い仕上がりで幕を閉じ、これならば朱雀院も喜ばれると源…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十八話 若菜・下(三十四)

 若菜・下(三十四) 源氏は柏木のなかなかの胆力に感心しておりました。 切羽詰ったその時…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十七話 若菜・下(三十三)

 若菜・下(三十三) 女三の宮による朱雀院の御賀が延び延びになっていたことを心苦しく感…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十六話 若菜・下(三十二)

 若菜・下(三十二) 源氏が朧月夜の姫を軽々しい女だと疎ましく思うのが伝わったのかどう…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十五話 若菜・下(三十一)

 若菜・下(三十一) 源氏は六条院のことや女三の宮の話を紫の上の前で一切しなくなりまし…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十四話 若菜・下(三十)

 若菜・下(三十) 二条院に戻った源氏はまず紫の上が無事であることを確認してほっと胸を撫で下ろしました。 「お帰りなさい、あなた。宮さまのお加減はいかがでした?」 「なに病気ではないのだから、元気にしておられたよ。それよりあなたは今日も起き上がれるようだね。顔色もよいし、よかった」 紫の上はふと何かあったのかという違和感を持ちましたが、それはやはり源氏が宮さまを気遣っているのではと考えました。 「ねぇ、あなたはもう六条院に戻られた方がよいのではないかしら?身重でいらっしゃ

紫がたり 令和源氏物語 第三百六十三話 若菜・下(二十九)

 若菜・下(二十九) 翌朝源氏は陽が高くなる前に二条院へ戻ろうとして、手持ちの蝙蝠(か…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十二話 若菜・下(二十八)

 若菜・下(二十八) 源氏が相変わらず紫の上にばかり心を砕いている間にも女三の宮の物思…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十一話 若菜・下(二十七)

 若菜・下(二十七) 紫の上が亡くなられたという噂はたちどころに知れ渡りました。 夕霧は…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百六十話 若菜・下(二十六)

 若菜・下(二十六) 女三の宮の御加減が悪いと聞いた源氏は紫の上に続いて宮までもかと動…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百五十九話 若菜・下(二十五)

 若菜・下(二十五) 帰邸の牛車に揺られながら、すでに宮が恋しくてならない柏木はぼんや…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百五十八話 若菜・下(二十四)

 若菜・下(二十四) 柏木はまどろむ中で夢を見ました。 あの宮の姿を垣間見せてくれた唐猫…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百五十七話 若菜・下(二十三)

 若菜・下(二十三) それは四月の十日も過ぎた頃でしょうか。 賀茂祭りが近づき、斎院の御禊の儀式を翌日に控えておりましたので、六条院から斎院方へ手伝いの女房を大勢派遣させておりました。 ただでさえ女人ばかりで不用心でありますが、何か月もこの生活に慣れてきたことでみな殿方の目の無い気楽さに油断しております。 若い女房や女童は見物の衣装などを縫っていて局に籠り、宮の御前にいつも控える按察使の君には夫が通ってきていたことから局に下がり、小侍従ただ一人となったのです。 小侍従はさ