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ポメラが「自分の頭で考える時間」を増やしてくれた話

Amazonでたまたま見つけた
「箱の外装破損につき返品されたアウトレット品(未使用)でちょっと相場より安かったポメラDM250」
を購入して三ヶ月、がっつり使用して二ヶ月が経ちました。

使用期間に一ヶ月謎のラグがあるのは、まずはポメラの利便性を向上させるために魔改造を施していたからです、はい。


・・・機能的には全く問題ないのに些細な箱の破損で返品されたり、やっと別の持ち主に買われたと思ったらこんな魔改造を施されたりと、よく考えるとやたら災難な人生(ポメ生?)を送っているマイポメラちゃんである。

閑話休題。

で、二ヶ月使ってみて出た結論は、

ポメラを使って一番良かったことは、このデバイスが「自分の頭で考える時間」を増やしてくれること

でした。

予想外のポメラ使用習慣:日々のメモ

ポメラを買ったときに想定していた用途はふたつ。

  • ブログの記事下書き

  • 趣味の同人小説執筆

後者は実際のところ、今までやりたいと思いつつもさほど書いていなかった。(いわゆる読み専)


何の因果か、たまたまポメラ購入と同時期に人生トップクラスに刺さる作品が出てきたので、モチベの問題でオタク活動、すなわちポメラで小説執筆ををやってる時間のほうが長くなってしまった。

「先輩ポメラ使いには小説家の方が多いので、そのうち小説書く時間のほうが長くなったりして」とは、半ば買う前に予想していたことでもある。
流石にこんなに初っ端から小説フォルダが肥大化するとは思わなかったけれど。


ただ自分でも意外だったのは、いまポメラの用途として小説執筆と比肩するくらい時間を占めているのが

「ポメラで日常の記録や仕事上の気付きメモを書く」
こと。


ポメラの日記フォルダ

「日記」フォルダのなかには、ほぼ連日の日付が入ったテキストが作成されていて、その日の所感や仕事上の気付きをとりまとめていたりする。

(この文章の原型自体、気付きメモのなかで書いたものだったり)

メモを書く習慣の変遷

自分は昔から雑多なジャンルの本を読書する習慣はあって、近年読んだ本のなかには

「書くことによるマインドフルネスやメンタル管理の本」とか
「メモの重要性を謳うノート術系の本」とかも何冊かあった。

そういう習慣を身につけて自分の生活をより良くしていきたい願望があったんだと思う。

では、なぜそういう本を読んでもメモを書く習慣が身に付かなかったのか。


実はわたくし、かつてメモを書く習慣をちゃんと持っていました。この文章を書いて振り返るまで、自分自身でも完全に忘れていましたが。

最初の職場ではノートパソコンが支給されていたけど、重くてバッテリー持ちも悪いしで、気軽に持ち運べるものではなかった。

世の中的にも、軽くて持ち運べてサクサク執筆できるPCやスマホは、社会人になりたててお金に不安になる若者が気軽に買えるような値段ではなかった。

だから仕事で覚えたことや気付きはA4のノートにまとめていたし、ノートが手元にないときは肌身離さず持ち運んでいた小型のスケジュール帳にも何かを書いていた。



正直に言うと、整理整頓の類いが超絶苦手な私にとって、ノートのようなアナログのメモ帳はあとから振り返ったり整理するのが大変だった。

世の中にあるメモ術の多くは、後から振り返るためにいろんなフォーマットを提案しているけれど、自由に紙面を拡張したり文章を書いたり消したりできないアナログな環境でメモを管理するという行為自体、自分には無理がある。

(私は「特定の物事は良くできるが、特定の物事は超苦手」で、でも「自分で工夫することで問題なく会社に就業して自活できるから、発達障害にはあたらない」と、医者に喜んでいいんだか悲しんでいいんだか分からない内容を宣告される程度には、本当にできないことはできないのだ)

だから「出先でも執筆に使える大層なスペックのノートPCやスマホ」を躊躇なく買える程度にお金を稼げるようになってからは、ノートやメモ帳は捨ててしまった。これで綺麗にメモを書いて整理整頓するのだと。

けど結局、PCやスマホ上のデジタルツールにはまともに日常メモが貯まらなかった。


コンテンツが自分で考える時間を奪う

その敗因は間違いなく、PCやスマホでは膨大な動画やら記事やらSNSやらのコンテンツにアクセスしやすいことにあると思う。

いやアクセスしやすいどころか、どのコンテンツも執拗に「自分を消費しろ」と積極的に迫ってくる

それはコンテンツを消費=購入してもらえて売り上げが上がること、もしくはPV数やいいねを稼げることが金銭的な価値に繋がっているから。

PCやブラウザ、SNSやニュースサイトを開けばどいつもこいつもおすすめのコンテンツはこれだなんだとプッシュしてくるし、その誘導に負けてスクロールを始めればキリがない。


そしておそらく、「コンテンツを消費する行為」は「作り手の思考を脳内に受信・エミュレートで再生させる行為」に等しい。それが本や記事を読むことであれ、動画を再生することであれ。


すると何が起きるか。何らかのコンテンツを再生している限り、自分の頭で考えている時間が実は全くない

ちょっと気分展開に何かを読みながら、何かが思いついたら記事やメモの続きを書こう。そう思っても、何らかのコンテンツに触れている限り自分の頭は自分自身の思考をまったくしない。
いつまで経っても「何か」の思いつきは降ってこない。


私がPCでメモが書けなかったのはまさにこれのせいで、いくらそれらのデジタルデバイスから使える便利ツールが山ほどあろうとも、膨大なコンテンツの誘惑で自分の頭で思考する時間が昔より圧倒的に減っていた。


皮肉なことに、出先に持ち出せる用のパソコンなんて大層なものを買えなかった学生時代のほうが、近所の図書館でじっくり本を読み、じっくり自分自身で何かを考え、アナログな媒体に何かをアウトプットしたりして、人生をより良くできる行動が実践できたように思う。



ポメラで自分の頭で考える時間を確保する

自分のなかでポメラがブレイクスルーになった点は、「執筆しかできない」という点においてかつて使っていたノートでの整理習慣を再現しやすく、それでいてデジタルの整理利便性が確保できること。

(後者に関しては「Linux化してGitコマンドを入れてなどと魔改造したマイポメラ」での評価なので、一般のポメラではどのくらい使いやすいかまでは分からないのだけれど・・・)


自分がかつてアナログのメモ帳を捨ててデジタルなデバイスで実現したいと本当に思っていたことが、ポメラという極めてニッチな特性のデバイスでようやく叶った。

そんなわけで、最近はせっかく昔買った大層なスペックのMacbookもChromebookも家に置き去りにして、比較的静かなカフェにポメラだけ持ってゆき、自分の頭で何かを考えて文章を書く時間をよく作っている。

人間の可処分時間をいかに一分一秒でも奪ってコンテンツを消費させるかが競い合われてる時代において、こうやってポメラと向き合うことで、がっつり自分の時間を自分の頭で考えることに使えるのは本当に貴重で重要な時間だなぁと、改めて痛感しているのでした。




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