存在証明
昨年の秋ごろ、自身でも初となる本を出版した。自費出版というやつだ。
特に何か輝かしい賞をいただいたものでない。投稿サイト、主にエブリスタで書き溜めていたショートショートをまとめたもので、中には同サイト上での小さな賞にエントリーして惜しいところまでいったものもあるが、そのくらいだ。
自費となればもちろんのこと、カネがかかる。一介の会社員には結構な負担となる額だ。出版不況と言われはじめて随分と久しい現状、宣伝に力を入れたからといって本が売れる保証はどこにもない。
それでも、私は本が出したかった。
自分が存在した証を残す――それが夢であり、目標だったからだ。本が世に出回ることで誰かの手元にそれが渡り、それが私の存在を物語る。どれだけ些細であっても、どこかに確実に残る。
そういった意味では、一番の大願はすでに成就したと言っていい。
――ここでひと息、なんてつもりは全然ないけれど。
この本は、私が『いま、ここ』にいたことを示す碑であり、私の墓標であり、私が亡き後に代わりに『私』として語られるものなのである。
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