ゼリーを食べて感動した話
某月某日、ゼリーを買った。人間が食べるやつね。
普段はそれほど甘いものなど食べず、コーヒーもたいていの場合はブラック。けれど別に甘味がキライというわけでなくどちらかといえば好きな方で、たまの休みには何かひとつふたつ、おやつとして買うことが多い。有り体にいえば自分へのご褒美というやつ。自己褒賞。
で、どうやら私は洋菓子の中では生クリームとかカスタードクリームなんかのクリーム系が好きらしく、ここ最近はシュークリーム、ちょっと前はプリン類を買ってはココロの中で知性と勇気をレッツラまぜまぜすることが多かった。しかしある時、ふと目についたのだ。立ち寄ったドラッグストアで、フルーツゼリーが。
ゼリーくいたい! 目にした瞬間、妙に強くそう思った。理由は謎。
私はその日、おやつにゼリーを購入することにした。わりとどこでも売ってそうな、ふつうのお値段のふつうのゼリー。1コ150円ぐらいのやつ。
フルーツゼリーであるからには具材のフルーツにも色々あるわけだが、特段の好き嫌いもなく何でも食べる中で好みの果物をひとつ挙げろと言われれば『もも』だろうか。これまでもフルーツ主体の甘味を選ぶときは『もも』の割合が多かった、と思う。色とりどりのゼリーが並ぶ商品棚、この時もごく自然に『もも』へと手を伸ばしつつも、結局それを買いはしなかった。
またふと、目についてしまったのである。普段ならほとんど気に留めないはずのそのフルーツ――『みかん』が!
『みかん』! 愛媛県民にとってこれほど親しみ深い果実が他にあろうか、いやない。夏の一時期を除きほぼ何かしらの柑橘類が出回り、冬ともなればスーパーに様々な品種・産地の10キロ箱が山積みにされ、家に帰ればそのハコが何故か鎮座し、時には客先でまでおすそわけをいただくみかん。
みかんはそれほどまで身近かつ周りにたくさんあり、だからこそ『わざわざ加工品買ってまで食べなくてもなあ』とか思ってしまうフルーツ個人的No.1でもある。
しかし私は手にした。普段なら惹かれるはずの『もも』をやりすごし、時季ではないといえ、ありふれているはずの『みかん』を!
この時もおやつとして昼下がりに食すつもりで買って帰ったみかんゼリーだったものの、色々あって夜まで冷やされることに。結局、やつと再びまみえたのは晩ゴハンの後となってしまった。タイミングがタイミングだけに、特段おなかが減っているわけでもなく。
ここでゼリーのフタを取ることに、一瞬の迷いが生じたのは事実。ゼリーのフタを取るということはつまり、更なるカロリーを摂るということ……。
でも、
ゼリーくいたい!
この時ばかりは欲望が勝り、やっぱり食べちゃうことに。いやー美味しいったらありゃしない。清涼感たっぷりのゼリーに果実の甘み、あとにちょっとした酸味。いやー美味しいったら。
このところ酸味の全然ないクリーム系の甘味ばかり食べていたせいか、ちょっとした酸味ちょっとした歯触りがとても美味で、自分でも驚くほどの充足感を得られたというのが正直なところだ。ただのゼリーにこれほどまで心動かされるとはもちろん思っておらず、感動が新鮮。
ゼリー1コ分としては大きすぎるくらいの体験をいただいて、しあわせって案外いろんなところにあるなー、などと考えたのでした。おわり。
さて賢明な読者の方ならなんとなくお気づきになられたかと思うのだが……。
この記事の内容は『ゼリー買ってきて食べたよ』というだけのもの。
ものすごい雑な日記風に『今日はゼリーをたべました、おいしかったです』とか綴ったとしても、それが事象の全てであるという点で特に間違ってはいない、のだけど。
きっかけやモノは、周りを探れば結構いっぱいある、と思う。
小さく見えるもの、あるいはそう捉えていたものからでもめいっぱい感動して、ときには発信や表現を通して誰かに楽しんでもらったりして。
そういう、刺激を受ける側の心の持ちよう、在り方みたいなもの――が、ゆたかさに繋がっていくんじゃないかな。
ゼリー1コ分の思想だけどね!
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