見出し画像

いつか過ぎ去った日の夢

 昔好きだった人の夢を見て目を覚ました。昔っつっても、そんな十数年も前の話じゃないけど。
 以前の職場にいた、年もわりと近いヒトだ。だからといって特に何があったわけでもない。とりあえず気持ちを伝えて、こちらがひとりで勝手に手痛い傷を負って終わった。それからもう数年たつ。
 同じ職場の人にちょっとした相談、なんてものも(ガラにもなく)持ちかけてみたりして、その時に言われたのが『お互いマジメなんじゃない?』ということだった。それじゃあ試しにお付き合い、とか流れで、とならないところは線引きがしっかりされているからじゃないかと。
 なるほど、言われてみれば確かにそうかもしれない……とその時は思いつつ、今にして考えてみれば『経験値が足りなかった』のだろう。それも極端に、かつおそらくは、お互いに。
 一連の流れがまるで中高生のそれだったもんね。いやいやその時すでにどっちも30過ぎだったはずなんだけどな。

 その時は同じ地域に住んでいたし今もそうかもしれないけれど、生活圏がだいぶ違うし、よほどの巡り会わせでもない限りはそう顔を合わせることもないだろう。実際、その職場を離れてからは一度も見かけたりなどはしていない。
 まあ、悪い夢ではなかった。恋愛とか結婚とか、たぶん自分には縁のないものだろう……と踏んでいるし、そういう感情を噛みしめる機会が思い出の中でだけになるなら、たまにはこんな夢も見るもんなんだろう。

読んでいただきありがとうございました。よろしければサポートお願いいたします。よりよい作品づくりと情報発信にむけてがんばります。