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まもって守護月天の話

『まもって守護月天!』というマンガがある。90年代に少年ガンガンで連載が始まり、人気が出たものの色々あって打ち切りの形で終わってしまった、そんな作品だ。
 後に出版社と雑誌が変わって開始された同『再逢』でも一悶着あって、いちファンとして残念ながらいい思い出ばかりが残るものでない、のだけど。

 2015年から、『まもって守護月天! 解封の章』として、続編が連載されている。舞台はあれから3年後、ガンガンに載った第1話を踏襲して描かれた『解封の章』の1話は、展開をなぞるだけでも充分に懐かしい。キャラクター皆が少しだけ大人びた顔つきになり、汝昂の美しさが以前より際立つようになり、乎一郎が超絶イケメンに成長しているなどしても、中身はそれほど変わっておらず、より繊細で柔らかなタッチの画であの時と同じようなドタバタ劇が見られ、キャラクターたちの成長に付き合っていられるというだけで、それはもうファンとして大変ありがたい話だ。
 ただ一つ、作中で三年が経過する間に自分の年齢が倍以上にまでなってしまったのだけが、悔やまれるところだろうか。おかしいナァ、最初に読み始めた頃は中学生の太助くんと同年代だったのに。

 以前といちばん変わっていると感じるのは、やはり絵に関する部分だろう。最初の連載時も絵はとてもきれいだったけれど、今のはあの頃とはまた違う。カラー画の淡すぎるほどに淡い色の温度、感触、余計な線を極力排しながらも保たれる、モノクロページの白と黒、明と暗の絶妙なバランス。作品全体のやわらかい空気感、透明感は、他のマンガでは真似できない域にまで高められていると感じられる。
 さらにこのマンガ、モノローグの乗せ方や間の取り方など『空間を読ませる』のがものすごく上手い。それが作品全体の印象、空気感や柔らかさにもつながっていて、この部分に関しては作者は天才的だと勝手に思っている。

 これから先、どういった展開になっていくかを、またあの時と同じように楽しみにしている。
 ということで、当方は桜野みねね先生を応援しています。

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