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生きていたってつまらない。世の中なんてくだらない。君はそうは思わないかい? 少なくとも、私にとっては現実なんてその程度のもんだ。個性がどうの多様性がどうのと言ってみたところで、ヒトは自分が気に入らないものは排斥するし理解できないものには攻撃する。それでいて利用できそうなものはどこまでも利用する。ほら、考えるだけでおぞましい。 どいつもこいつもそうだった。私がちょっと引っ込み思案で大人しいと、臆病で話すのも苦手と知ったとたん、損な役回りばっかり押し付けてきやがって。学校
夏休みも折り返し地点を過ぎた八月の中旬、小学五年生の光太くんは夜空を見上げながら困り果てていました。 「自由研究のテーマを星とか星座にしようと思ったのに、あんまり見えないや」 自由研究。多くの小学生の頭を悩ませる、定番の『夏休みの宿題』です。光太くんも今日まで遊ぶ方に夢中になっていて、この手ごわい宿題に今の今まで手を付けていませんでした。 そうだ夜空ならいつでもどこでも観察できるぞ、と庭に出てみたはいいのですが、なんだか星の数が少ないように思いました。光も弱弱しく、今に
ぼくの人生はずっと『二分の一』の連続だった。 たとえばリンゴがひとつあったとして、そのひとつを丸々いただけるような展開にはまずならない。多少いい方に、それも無理矢理に事を運んでやっと、他の誰かと半分ずつだ。 誰に対しても一歩譲り、結果的に中途半端な部分を手にするか、あるいは全てを逃すかのどちらか。これまで、誰かから完璧に完全な何かを勝ち取ったということがない。必死になって全てを欲していたものでさえ。 不遇極まりない人生のきっかけとなった存在は、ぼくの兄であろう。兄弟は