何はともあれパンケーキ
皆さんは、6年ほど前にやってきた空前のパンケーキブームを覚えておいでだろうか。
テレビや雑誌ではひっきりなしに特集が組まれ、ハワイからやってきた有名店には連日行列ができており、友人と待ち合わせたらばまずは「パンケーキ！」だった、あの時代。懐かしいですよね。
甘いものに目がないわたしは、当然すぐさまパンケーキの虜になった。大学に入学するやいなや、パンケーキ屋さんでアルバイトも始めたくらいである(転居に伴ってやめてしまったが、実にしあわせな日々であった)。
フルーツで美しく彩られたものよりも断然、たっぷりクリームのトッピング派。
しかし、いかんせんブーム当時は高校生だったので、そんなにたくさんのお店を巡れたわけではなかった。せいぜいが、たまに友達と遊ぶときに行くくらい。
ところが今は、大学生。決して多くはないが、アルバイトで得た収入がある。自分ひとりで、食べたいときに食べたいものを食べられる自由もある。
あの頃に比べれば、ブームはずいぶんと下火になったように思う。でもわたしの中では未だ変わらず、いやむしろ以前に増して、パンケーキへのアツい想いが燃え続けているのだ。
なんの理由もなく、一人でふらりと食べに行くことが一番多い。
それに加え、何か自分にご褒美をあたえたいとき(例:面接のあと)や、めっちゃむしゃくしゃするやってられっかよ、という場合もまた、わたしはパンケーキを求めて旅に出る。
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「これは、過去最高……！」と思わず震えたパンケーキに出会ったのは、ちょうど一年前のことだった。
梅田の地下街にあるレトロな喫茶店。パンケーキを売りにはしているようだが、決してイマドキなカフェではない。
店内には、コーヒーを啜りつつ新聞を広げる年配の方も多数いらっしゃるのが常だ。
パンケーキは、メレンゲを使用した半熟タイプ。
とはいえ、巷で話題のビジュアル重視、インスタ映え狙いましたよねそうですよね、と詰め寄りたくなるような、見掛け倒し&いいお値段のものとはわけが違う。
1枚あたりの厚みは、せいぜい1センチ程度だろうか。積み重ねたときのビジュアルはたしかに圧巻だが、それ以上に特筆すべきはその味の良さ、そしてコスパの素晴らしさである。
ふうわり広がるたまごの風味。
とっておきのぷるしゅわ食感。でも「なんや食べた気せんなあこれ」というよくあるやつではなく、食べ応えも実にしっかりしております。お腹にもたまるよ。
そして、抜群のコストパフォーマンス。プレーンパンケーキ(8枚！)プラスドリンクで、なんと、1000円を切るんである。
パンケーキ4枚単品なら、税込490円。これは他に例を見ないほどの安さですよ……！
ちなみに相場としては、フルーツやらベリーやらのトッピングがなされたパンケーキ2枚で、だいたい1000円、高いところだと1500円くらいもする。
それにドリンクも付けたら、まあ贅沢してる気持ちになるよ。その値段でケーキ食べ放題に行けちゃうしね。
＊
梅田に用事があった今日のわたし、吸い込まれるように店内へ(そういえば先週も来たような…？)。
いつもすいているところもいい。
今日はむしゃくしゃバージョンであったので、よく考えずに8枚のやつを注文する。
結構量ありますけど大丈夫ですか？ と店員さんに聞かれて怯むも迷いは一瞬、即座に「お願いします」と胸を張った。
「お待たせしました」
実際目の当たりにしてみると、なかなかのボリュームである。
まず1枚目は何にも付けず、溶け出したバターだけでいただきます。
続いて2.3枚目。2枚まとめて切り分け、がしがしと頬張る。4.5枚目も同様に。
いつもは勿体なくて、ちまちま食べがちなパンケーキだが、今日は違う。「いま！パンケーキを！食べています！！」という気持ちで心が満たされる、この贅沢。
6〜8枚目は、この文章を書きつつ、スナック感覚でゆるやかに食べ進めていった。
そして今、残すところはひと口である。あっけなく8枚完食、わけもなかった……。
＊
こんだけ美味しくて高コスパなのだから、いつ人気が爆発するだろうとびくついていたのだが、今のところ行列は回避できているようだ。
わたしはとってもいけずなので、積極的にここの店名を教えることはしていない。インスタグラムに載せるときも位置情報はオフ。
教えたいけど教えたくないこの気持ち、お分かりいただけるだろうか。
とはいえ、じわじわ広まってきているらしく、最近知人が立て続けに来店していた。
それはそれで嬉しくもあり、いつもにやりとしてしまう。いいね。
関西圏にお住まいで「行きたい！」という方は、ぜひわたしにご一報を。
ちっちゃな声で、こっそりお教えいたします。
ほんで「なんやねん、その店元から知っとったわ！ 」とかは、できればやめてな。
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