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ごはんと日々:6/28〜7/2

6月28日(火)

たぶん冷房にやられた。わたしは眠っているとき口をぱかーんと開けてしまうので、しばしば喉が乾燥にやられる。
エアコンの威力はさすがに強力で、目が覚めるとすっかり唾を飲み込むのも痛い状態になってしまっていたのだった。

喉を悪くすると全体的に支障をきたす。慢性的な鼻炎とは違う、びゃっくしょい!みたいなくしゃみが出る。身体全体が風邪っぽい。
けれども、がんばれば仕事はできてしまう。いっそもっとうんとしんどくなって帰りたいと思う。

昨日は面接だった。
書店をまわって売り場を整理したり新刊の案内をしたりするラウンダーの仕事。わたしが今いちばんやりたい仕事。
その出版社は、奇しくもわたしが新卒で受けていたところだった(書類選考で落ちたけど)。感触はまずまずだったと思うが、どうだか。

早ければ明日、遅くとも1週間以内に結果が出るとのことだったが、今日はやっぱり連絡はない。
数分おきにメールボックスを更新しながら待つこの時間がしんどい。転職活動を始めた数ヶ月前から結構な時間、選考結果が出るのを待つことに費やしている。待たなければいいと思うがそうもいかない。結果はどうあれ早く教えてほしい。
 
仕事終わり、寝るとき口に貼る用のテープを買った。切らしてきたビタミン剤も買った。
ココカラファインのアプリで何度でも使える10%オフクーポンがあったので、恥を偲んで会計を2回に分けてもらう。合計400円くらい安くなり、おまけに限定の100ポイントがついた。うれしい。

夜、口にテープを貼って床に着くと、恋人が飛んできた。
あらー、どしたの!誰にやられたん!かわいそうに!と、息も絶え絶えに笑いながら言う。うるさい。

こういうのん。いびきはかかないんですけどもね

友人宅で読ませてもらい、どうしても手元に置きたくなった漫画『違国日記』をまとめて買った。おまもりがまた増えた。
人生に物語を必要としない人のことが、わたしにはよくわからない。



6月29日(水)

顔と身体全体が重い。仕事を休みたいが熱はなく、風邪薬を飲んで家を出る。
大好きなコーヒーをおいしいと感じられない。

昼 ねぎまぐろ巻き、茄子のおみそ汁。

夜 お好み焼き。

あんまりお腹が空かないが、口の欲求に応えてごはんを食べる。

そういえば、毎年この季節に体調を崩していたことを思い出す。
夏生まれなのに夏の訪れにめっぽう弱い。



6月30日(木)

体調、依然として良くなく、でも仕事を休めるほどではないので渋々出社する。
夜中から明け方にかけて咳がたくさん出て、でも口には乾燥防止のテープを貼ってあるので、くるしかった。

ついに、本の仕事が決まりました。

と、書き始める予定だった。
なんなら頭の中で文章を組み立ててさえいた。いい感じの写真をつけて、SNSでも長文で思いの丈を語る気満々だった。でも、今回もだめでした。

仕事がひますぎて、ほぼ一日中ネットサーフィンをして終わる。なんだかなあという気持ち。

退勤後、まっすぐ帰りたくないなあと思って足が向くのはやっぱり本屋なのだった。

梅田蔦屋書店に立ち寄ったら、益田ミリさんの原画展をやっていた。そういえば来週母が行くと言っていたな。

ミリさんへのメッセージを自由に書けるノートの中に、「つらかった時期、枕元にミリさんの本を置いていつも読み返していました」のようなことが書かれてあって、こういう経験に携わりたいから本の仕事をしたいんだよなあ、と思った。

なぜ自分は本の仕事にこんなに固執し続けるのか。好きなんだね、憧れなんだね、ファンでいてねありがとう〜、で落とされないためにはどうすれば。考えて考えて考えて、今よりきちんと言語化できるようになれば、今度こそうまくいくだろうか。
でも、「好きだから」だけじゃだめなんだろうか。

『違国日記』の9巻と、気になっていた島田潤一郎『あしたから出版社』を2冊抱えてもう1冊、なにか物語を読みたいと思った。やさしく寄り添ってくれる小説でも、頭を空っぽにしてするっと読めるエッセイでもなく、とにかくごくごく読めてしまうような、没頭できる物語。

いま前者のようなものを読めば、たちどころに泣いてしまうであろうことは容易に想像がつく。感情に屈するのはいやだった。そこらじゅうに平積みされている「繊細なあなたへ」「繊細なまま幸せに生きる」みたいな本が目に入るたび、ちげーし!繊細じゃねーし‼︎と突っ掛かりたい気持ちだった。

結局、村田沙耶香さんの『生命式』に決めた。だれかが亡くなったとき、葬式の代わりに故人をみんなで食べる「生命式」を行うのがメジャーとなった世界の話だという。じつに狂っている。今のわたしが求める物語の最適解だといえる。

あっかるい元町駅のまんまえで、きつく抱き合ってゆらゆら揺れている高校生カップルがいた。
10代の特権!どんどんやりなさい!

暑さのせいか空腹は感じなかったが、すっぱからいタイのサラダがどう〜しても食べたくて、さんざん迷った末、家の近くのタイ料理店に立ち寄る。

ヤムウンセンと生春巻きをむしゃむしゃ食べながら、わたしにはまだあきらめないことができる、と思った。

念願のヤムウンセンは、すっぱくてからくてつめたくてすごくおいしかった。大好きな海老とイカときくらげと生の玉ねぎがたくさん入っていてうれしい。
生春巻きは、抜いてくれるように頼んだはずの胡瓜が入っていたのでちょっと落ち込んだ。お行儀が悪いのは承知で、そーっと抜き取る作業に没頭した。子どもの頃から今も、どうしても苦手な食べもの。

途中で仕事終わりの恋人も合流。ガパオライスを追加で注文して食べていた。
わたしが食べ残した胡瓜もまとめて食べてくれる。わたしたちは苦手な食べものがまったく違うので、困ったときは助け合える。そのことをうれしく思う。

身体がフラペチーノを欲したので、店を出たあとスタバに向かう。
限定のダブルチョコレートのやつをホイップ多めにして頼んだ。思い立ってすぐスタバに行けるなんて、都会に住んでる〜!と思う。
持ち帰りにしたはいいものの、暑すぎてどんどん溶けていくので、途中公園に立ち寄って座って食べた。

当面、食事は毎日ヤムウンセンとフラペチーノがいい、と思う。炭水化物(春雨)、たんぱく質(えび、いか)、その他野菜を含むヤムウンセンと、糖質と脂質を補えるフラペチーノ。完全食なのでは?

帰宅後、シャワーも浴びずにベッドに倒れてぱったりと眠る。

本の仕事は決まらなかったけれど、ものすごく食べたかったヤムウンセンを食べることができたので今日はいい日。
食べたいものを食べたいときに食べる幸福は何にも代え難い。毎日働いてくれている自分のおかげだ。ありがとうね。



7月1日(金)

ちょっと手入れを怠れば指の毛も鼻の下の産毛もすぐ生えてくるし、本当にいやだしめんどくさい。女子を保つにはたくさんのお金と労力がかかる。

昼 お弁当。蒸し鶏、ブロッコリー、ごはん少し。無印の味噌クリームスープ(隣席の同僚からのおすそわけ)。

夜 お寿司。
夏風邪および夏バテ気味のわたしにと、恋人がお寿司やらゼリーやらアイスやらを山ほど買ってきてくれていた。最近家では半液体と化しており、ろくに言葉を交わす気力も残っていない彼女だというのに、ありがたい。これは惚気でした。

食後、ハーゲンダッツの新しいやつを食べながら、SPY×FAMILYを観た。

一期はこれで終わりらしくてさみしい。次なる楽しみはバチェロレッテ。
そのあと、三度目のミッドサマーを観た。暑くなってからなんだか無性に観たくなったのだった。中毒性がすごい。でもグロいシーンはこわいので、ところどころ目を隠しながら、こわいな〜、こわ〜、としきりに言いながら観た。

12時を過ぎたころ、力尽きて就寝。シャワー達成ならず。



7月2日(土)

昼前、ピルの処方箋をもらうために婦人科へ。
暑い。暑すぎる。病院までは自転車で10分の距離だけども、炎天下ペダルを漕ぐのがいやで、一駅だけ電車に乗った。さっさと薬局で買えるようにならんかね。

目的を果たして早々に帰宅。
楽ちんな部屋着に着替えるなり、つめたいゼリーをがつがつ食べた。本当においしい。

そのあとはソファに寝そべって本を読んでおり、ごはんを作っている恋人がなにか言ってもずっと生返事をしていた。
しかしごはんが食卓に載ったその瞬間、(無意識に)すぐさま本を置き、のそのそ立ち上がった。そんなわたしを見て、彼は笑いながら「ごはんの匂いがしたらすぐに来る。うさぎやん」と言った。
ごはんにすぐなびく動物なんてほかにもいっぱいいる。なんならすべての動物がそうなのに、わざわざかわいいうさぎに例えるなんて、この人わたしのことが好きなんだなと思った。

たらこしょうゆバターパスタをつまみ食い。きのことベーコンがたくさん入っていておいしい。

なんだか怠くてソファで2時間ほど眠る。目が覚めたら頭が痛くなっていた。

すっぴん部屋着でスーパーに行き、割引のお刺身と半額になっていた明太子を買う。つめたいものしか食べたくなくなっている。まあ生魚を欲するのはいつものことであるが……。
食べ終えるころには薬が効き、頭痛はすっかり治まっていた。

ひさしぶりになんにもせず怠惰に過ごした休日だった。
急激な暑さにすっかりやられてしまい、だれといても楽しそうに振る舞える自信がないので、予定がなくて本当に良かった。

恋人が出かけたので、何度目になるかわからない『僕の姉ちゃん』をだらっと観ている。
ソファの前のテーブルには、読みかけの本とまだ読んでいない漫画がずらり。冷房のよく効いた部屋は涼しくて快適。幸福だ、としみじみ思う。

後ほどアイスかプリン、もしくは両方を食べます。

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