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リハビリは、がんばらない方がお得!?

私は今、父の介護を通じて、介護保険のしくみをしりつつある。介護が必要になると国や都道府県、市区町村から支援が受けられる。そのためには介護度を決めてもらう必要がある。介護度は現在、要支援1、2、要介護は1から5の合計7段階に分けられていて、その介護度に応じて、その1割から3割をこちらが負担、7割から9割を公的負担で賄う仕組みになっている。そしてもちろん上限があって、それ以上は10割負担になる。

目黒区の場合

例えば、私の父は要介護3なので、実際の居住区とは違うが、この目黒の例でいうと27,048単位を上限にした支援が受けられる。それは金額に換算すると約 30 万円まで1割負担で OK ということだ。

ところが父は、骨折をして歩けなくなってしまったので、母が介護できず、必要な介護が増えすぎてしまい、限度額をオーバーした。オーバーした分は、10割負担で払っている。結果、かなり大きな金額になってしまっていて、年金では払いきれず、貯金を取り崩している状態。これなら、安心でくつろげる在宅で介護をするよりも、いっそ老人ホームに入ってもらう方が安く済むといったような現象になってしまっている。ちなみに私たちはそれを望んでいない。

父はもう高齢なので、積極的なリハビリは考えておらず、デイサービスで歩行訓練をするだけになっているが、ここで、例えば、積極的にリハビリで直すプログラムを組んで、元のように歩けるようになって欲しいとしたとする。もちろん、とっくに支援限度をオーバーしているので、10割負担、そう、自費だ。そうして、お金をかけて歩けるようになった。やったね!お父さん頑張ったね!となるシーンなのに、なんと、そのおかげで要介護度が下がり、区分支給限度額の上限も下がり、さらに自費分が増えることになってしまう。つまり、健康になると要介護度が下がって自己負担が増えるという仕組みだ。せっかく始めたリハビリプログラムもあきらめることになりかねない。

私は、以前、脳損傷者を支援する NPO の理事をしていたのだけども、その時にもこれと同じようなことがあった。認知症とは違い、脳損傷の場合は回復することが多く、例えば、交通事故で頭を強打し、意識不明の重体になった人が、要介護5で月40万ぐらいまでの支援を1割負担で受けられていたとする。でも、リハビリで良くなると聞いて、リハビリを追加して、そのリハビリを頑張ったおかげで、要介護が5から3に下がったとする。その結果、30万ぐらいまでしか1割負担で受けられなくなる。
中途半端に回復した分、続けた方がいいリハビリを諦めるというような事態になってしまうことがあるのだ。

もちろん介護度が低くなることは、好ましいことだ。けれど、それが、お金をかけてリハビリをした結果なのであれば、その支援の余裕を断ち切ってしまうことは、果たしてあっていいことなのだろうか。
なんか、リハビリ頑張った場合は、要介護度を急に変えず、安心できるまでキープできるような仕組みがあればいいのにね。

元気になって、要介護が下がったからと言って、今までの支援を受けられなくなって、また悪くなったら、本末転倒。元も子もない。

扶養家族じゃなくなっちゃから、あまり儲けないように調整しながら働く主婦と似てる。

こういう現象が起きるってことは、どこかにシステムエラーがあるってことに気づかないといけないよね。

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