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同じ文章でも、耳で聴くのと目で読むのでは、大違い

次のような文章を、目で読んだ場合と、読み上げられたものを聞いた場合、どんなふうに印象が違うか、感じてほしい。

あーもう疲れた!これ以上動けない!という気持ちになる時があるが、それは脳が警告を発してるだけで、実は、身体的にはそれ以上動いても筋肉が断絶するというようなことは、ほぼないそうだ。

拙著『点で話にならない~読点の打ち方7つのルール~』より

「話し言葉」と「書き言葉」が違うということは、学校でも習う。例えば「何つっても」という言い方は、書く時には「何と言っても」と直す。
※これが人のセリフの場合は直さなくてもいい
そして実は感嘆符「!」などは本当は書き言葉では使えない(後述)

話を元に戻すね。この「!」は目に見えるけれど、耳では聞こえないよね。大きい声で言うしかない。このように、読み上げる人の工夫で伝わる場合はいいのだけれど、そうでない場合、例えばKindle本をスマホやパソコンの機能で読み上げてもらってる場合は、このような感嘆符は表現されないので、目で読む文章との間には少々の差が出る。

あーもう疲れた!これ以上動けない!という気持ちになる時があるが、それは脳が警告を発してるだけで、実は、身体的にはそれ以上動いても筋肉が断絶するというようなことは、ほぼないそうだ。

拙著『点で話にならない~読点の打ち方7つのルール~』より

また、目で読む場合は、これが1つのことを言おうとしてる文に見えるよね。ところが、耳で聞く場合は、これは長すぎる。もうちょっと短い文に分けけないと、とりあえず頭の中に留めておくスペース、ワーキングスペースに入らないのだ。文を短くして、その都度、一文一文の内容を理解してもらいながら、積み上げるように話をしなくては、通じなくてなってしまうのだ。耳で聞く場合にアレンジした文はこちら。

あーもう疲れた!これ以上動けない!という気持ちになる時がある。
しかし、それは脳が警告を発してるだけ。
実は、身体的には、それ以上動いても筋肉が断絶するというようなことは、ほぼないそうだ。

修正後

テレビのニュースも新聞のニュースと違う。一文が短い。教科書では分かりにくいのに、YouTuberさんの話が分かりやすいのは、こういう違いもある。

私は本を読むのが大好きで、週に2,3冊は読むけれども、主に家事をしながらまたは歩きながら読書をする。つまり耳で聞くことが多い。Kindleの本をスマホで読み上げてもらうか、Audibleを使用している。Audibleは、人間が読み上げているので、作者の「!」まで伝わるが、作者の方は読み上げること前提に書いていないので、文章が読み上げに向いていない部分も多い。
特に、複雑な文が複数絡み合い、1つの文が長い場合だと、話がややこしくなってしまう。頭の中で状況が組み立てにくいのだ。

YouTuberさんの言葉や、音声配信の人の言葉が分かりやすいのは、目で読むことを前提に原稿を書いていないから。

私がこのことに気づいたのは、ちきりんさんの voicy で、ちきりんさんがご自身のブログ記事を、読み上げた時。
voicyのちきりんさんは、とても話が上手で、面白い。ブロガーとしてのチキンさんの文章も、ブログとしてはとても面白い。
ところが、そのブログ記事を目で読んだ時はとても面白かったのに、たとえ本人でも読み上げてもらう、つまり朗読してもらうと、ちょっと違う。分かりにくくなってしまう。

詩などは、朗読にふさわしい。それは一文一文が短いからだと思う。歌詞もそう。でも、文章が長文になればなるほど、そして一文が長いほど、そういう文章を読み上げられた時、大変苦労する。

目というものはざっと、2,3行目を見渡して、少し先を無意識に読み進めているところもあるらしい。一単語ずつ脳に入って来る耳のメカニズムとはかなり違うのかもしれない。

だから、最近の子供たちが教科書を読んでも全然わからないけどYouTuberさんに説明してもらったら分かったっていうのは、そういう構造の違いがあるのかもしれないね。

追伸
国語の先生としてちょっとだけアドバイスするね。「!」(感嘆符)や「?」(疑問譜)「-」(長音記号)「ぁ」「ぅ」「ぇ」(小さいひらがなの「あ」「う」「え」)などは、基本的には書き言葉では使用しない。そういう決まりになっている。まあ最近ではだんだんとOKになってきてるけど、文法的にはNGだっていうことを伝えておきますね。

この記事で例文に使った文が載っている本を紹介させてね。読点のルールを見つけたので、本を書きました。めっちゃ薄い本です。

ではまた明日(^O^)/

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