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感謝する時に「すみません」という日本人。自己効力感との関係

何かに挑戦しようと声をかけた時に「いや、やったことがないから無理」と頭から否定する人と「えー、やったことはないけど、やってみたい!」という人がいる。それは小さな頃の小さな差から始まり、私のような50代になると、そりゃもう、かなり大きな差になっていて、人生も変わってきてしまう。むしろ、前者には声すらかからない。
思えば、小さな頃は、誰もそんなこと言ってなかったよね。「立ったことないから無理」「歩いたことないから無理」「泳いだことないから無理」そんなふうには誰も思わなかったはず。まあ、これらは運動という生理的欲求のあるものだからかもしれないけど。でも例えば、一人で買い物に行くとか、人前でスピーチをするとか、自分で計画を立てて旅行に行くとか、そういうことも、人間、誰でも初めはできなかったはずだけど、やれるようになっていくもの。そして、やればやるほどできるようになっていくのが、自己効力感のしくみ。

そしてこの自己効力感は、実は「感謝」と関係しているって、私はずっと思っていて。今日はその話を。
以前、自己効力感についてセミナーをやった話はこちらで。

※注意
自己効力感は「認知」なので、自己肯定感とか優越感のような「感情」とは別物です。

自己効力感を上げる4つの方法

1 遂行行動の達成(成功体験)

小さい成功体験を量産する。
例 一人で出かけて楽しかった体験を積み重ねると、一人で日帰り旅行ができるようになるし、またその体験を積み重ねると、一人で1泊2日の旅行、2泊3日の旅行というように、どんどんできるようになる。その距離も遠くなっていくよね。

2 代理体験

あの人にできるのだから自分にもできると思える。
例 友達が若いころにやってたお稽古ごとを再開。子育ても落ち着いたし、私にもできる?
コツ なるべく自分に近い存在の人を目安にする

3 言語的説得

周囲からの評価と励ましがあること。
例 のちほど解説
コツ
受ける方……素直になること
授ける方……対象者の特性をしっかりと理解し、効果的なアプローチを行う

4 生理的情緒的喚起

精神的にリラックスして安定的な状況を作る
例 精神的に安定していると新しいことにも前向きになれるけど、寝不足や体調不良だと、なかなかそうはならない。
コツ その場で生理的反応をコントロールすることは難しいので、日常生活で体調や精神を整える努力が必要。とにかく睡眠!体調や精神の根本を支えるんで、とにかく寝る!(笑)

私は、大学で心理学を専攻したんだけど、今の仕事は国語教師で、そういう観点から、この自己効力感を上げる方法を見ると、3の「言語的説得」っていうのにすごく注目しちゃうんですね。
周囲からの評価と励ましもありますが、実は「感謝」という内側からの言語的説得が、自己効力感に影響しているように感じるんです。何しろ言葉というのは「言霊」というように「魂」があるので、周囲から励まされてることと、自分を励ますこと、またそこには「感謝」があること、自分の周りの出来事や、人の存在に感謝をして、それを言葉にすることって、魂を作り出すことに匹敵する感じ。有難いという気持ちを言語し、他者に対して伝えることができると、しっかりとその存在に気づくというか、言語化することで意識するというか、そういうところがあって。だから自己効力感と優越感の違いも、感謝の存在がアルナシなんじゃないかなって感じてるんです。

自分が存在すること、生きてることのありがたさ、他人がしてくれたこと(嫌なこと含めて)全て感謝の対象で、それをただ「よかったー」とか思うだけでなく、ちゃんと口に出すのがめちゃくちゃ大事。何がどうありがたいのか、馬鹿みたいだけど、口に出す。自分が相手に対してそうすることで、相手も必ず返してくれるし。またね、それを「いえいえそんなことないんですよ」なんて自分の行いを卑下しないでさ、「喜んでくれてよかった」とちゃんと言葉で返す。そういうことが大事なんじゃないかな。

自己効力感が低い人って、すぐに「私なんて」て言うけど、それ、自分の魂が一番近いところでしっかり聞いているので、ほんと、そういうの、やめた方がいい。

特に、面白いのは、日本人は感謝に対して次のような特徴があると言われているところ。

  1. 人間以外にも感謝する

  2. 状態にも感謝する

  3. 無事にも感謝する

  4. 感謝する時に「すみません」と謝る

1番~3番の感謝の方法は、日本人として誇りに思うべき。
ペットや観葉植物にも感謝する。
生きていること、健康なことにも感謝する。
被害にあっても無事だったことに感謝する。
日本人の「感謝」の特徴なんだそう。素敵!本当に大切にしたい。

でも、4番はできるだけやめたいもの。
何か借りた時。「すみません。助かりました。」
自分が休むので人が代わった時。「すみません。次は私がやりますね。」
大きなプレゼントをもらった時。「すみません。大切にしますね。」

これ、全部「すみません」いらないよね?
ズバリ、感謝の時に謝罪することで、負債感が高まります。

そして「言語的説得」のコツを思い出してほしいんだけど

受ける方……素直になること

ここね。これが、日本人が苦手みたい。まずは「すみません」を取ってみようか。

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