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なぜ「予想される反対意見」を考えるのだと思います?

この画像は、私の中高生コースで、時々使う、文章の型です。文章をどう書いたらいいかわからないという人には、大人のコースでも、この型を薦めています。この型である程度書けるようになったら、世の中にある大抵の文章は書けるようになるようになると思います。
ただ、人の心を動かすような文章が書けるようになるかどうかは、別の問題で、もうそれはコンテンツが何かということと、そのコンテンツについて、どの切り口で、どこまで内省や深堀りをしたかなどにも関わってきます。
その内省や深掘りのきっかけとなるのが、この図の4番目に書いてある「予想される反対意見とそれに対する反論」という段階です。
問題提起に対して結論をしっかり出し、根拠も示したのに、なぜ、自分の意見と反対の意見を検討しなければいけないのか。それは視野を広めるためです。世の中の人間全員が、自分の意見に賛成するわけがありません。いやむしろ反対意見の方が多いかも(笑) また違う立場の人の事も考えないといけません。例外も考えないとね。ちょっと二つほど簡単な例を見て、この工程が必要な理由を考えてみましょうか。

1問題提起
2結論
3根拠
4予想される反対意見とそれに対する反論
5思考が深まったあと改めて語る結論

小学生の作文では3まででオッケーとしています。学校でもそうだと思います。

〇〇についてどう思いますか
僕は△△だと思います。
理由は□□だからです。

小学生の作文はこれでOK

小学生は、自分が一生懸命考え出した結論に対して、反対意見を考えるという余裕がまだないからです。でも高学年になったら、ちょっとチャレンジできるかもしれません。精神年齢が高い子は「でも、こういう場合もあるよな」なんて考えられるんですね。そういう子は、4と5のプロセスに進むことをお勧めします。

さて大人の話

例その1
1問題提起
a 社と b 社の提案どちらを採用すべきか
2結論
a 社の提案を採用すべき
3根拠
a 社の提案内容のメリットが、我が社の問題解決に直接関与するものである
4予想される反対意見とそれに対する反論
確かに、b 社の提案の方が、コストは安くて済む
しかし、現在は、そのコストに対応する出費に耐える資金はあるので、今回は問題解決を優先した方がいい。また a 社に対し交渉の余地もある。
5思考が深まったあと改めて語る結論
討論した結果、この問題に対する判断軸は、コストではなくメリットであることが共有された。なので a 社の提案を採用し、価格交渉に踏み切る。
今後も、判断基準を明確にした論議が期待される。

例その2
1問題提起
子供が朝起きられない。どうしたらいいのだろうか。
2結論
寝具を良いものに変える
少し固いベッドに替え、肌触りの良いシーツや寝巻を用意
3根拠
睡眠時間は足りているが、睡眠の質が悪いようなので、その改善が必要。
4予想される反対意見とそれに対する反論
たしかに、費用がかさむ。これは痛い。
しかし、人生の1/3を占める睡眠時間には、本当は出費全体の1/3ぐらいの投資が必要なのではないだろうか。
また、睡眠というものが、本当に大切なことだということを、子供にも体感してもらうチャンスである。
5思考が深まったあと改めて語る結論
子供が朝起きられないことで、いろいろな用事が押して、親はイライラしてしまうが、睡眠の質について考える良い機会になった。睡眠というものが本当に大切だということを、子供が体感するチャンスであるし、そもそも子供に「あなたには健康であってほしい」という親の思いを伝えるチャンスでもあった。

このままだとちょっと硬いけど、言葉を柔らかくしたら、ブログなんかにも使えるんじゃないかな。

このように予想される反対意見とそれに対する反論という段落を作るにあたり、チームだったら話し合いが必要だし、一人の人間だったら深い思考や内省が必要になる。
その結果、ちょっと意外な発見があったり、反対意見を出す相手にもきちんとした根拠もあるんだと気がついたり、そもそも自分の意見が絶対ではないということを悟ったりする。
またビジネスの場合は、何を軸に考えるかによって意見は分岐するので、まずは問題の定義と、解決方法を考える際の軸の共有が必要になることが分かる。

子供達には、この型を、お小遣いを値上げする請求の時や「夕飯何がいい?」って聞かれた時の答えに適用するように言っている。
お小遣いを支払う側の立場に立って一回物事を考えることによって、ただの値上げ交渉やわがままなお願いではなく、ちゃんとしたプレゼンに昇華する。また「夕飯何がいい?」って聞かれた時に「なんでも」と答えるような思考停止の状態から脱することができる。
予想される反対意見を考えるということを、一日何回かやっていると、この思考の癖は、日々個人の考えを深めることにつながり、その結果、本当に良い文章が書けるようになっていく。

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