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困った人は困っている人

妹と一緒に両親の介護を始めて7か月。最初はめちゃくちゃだった妹との関係も、今はかなり良好なものになっている。もし、その辺の変化ぐあいを読みたい方は、マガジンへ。

で、その妹は、介護の仕事をしている。対象は障害のある青少年。一緒に出かけたり、入浴させたりする。で、その妹が介護の素人である私に、いろいろアドバイスをくれる。
細かいアドバイスはありがたい。例えば、発達障害も認知症も共通なところがあるらしく、行先によってバッグを変えると、本人が安心するとか「やって」ではなく「協力してくれる?」という言葉の方が双方快く事が運ぶとか。
でも、そういう一つ一つのことって、大事だけど、枝葉事だよね。で、幹になる考えも時々教えてくれる。幹になる言葉は、基本。ここに立ち返れば、細かい枝葉的な場面でもどう行動したらいいか分かる。

その中で結構すごいと思った言葉がこれ。

困った人は困っている人

急に大声を出したり、怒鳴ったり、泣いたり、しゃがんだり。障害のあるなしに関わらず、人は、こういうことをする場合もある。また、勘違いなクレームをつけてきたり、文句を言ってきたり。

そんなふうに「おいおい、困るなあ」と思うような行動を取る人は「困った人」なんじゃなくて「困っている人」ととらえて、困っていることを取り除いてあげたり、一緒に対策を考えてあげるといいらしい。

怒鳴って「店長呼べ!」などと周囲を困らせている人は、実は自分が尊厳を傷つけられたり馬鹿にされたように感じたりして「困っている」人なんだね。

こちらも疲れている時などは、なかなかそのように考えられないんだけど、落ち着いている時とか、また、自分のことじゃない場合は、考えられるようになってきた。

父も困った行動を取る。私の方が「あーあ」と思わず声を上げてしまうようなこととか。あと、感情がコントロールできなくて、父の声が大きくなるとか。
そういう時、「わあ、困ったなあ」と思うのではなく、父の困っていることをどうしたら取り除けるか、考えるようになった。

困っているといえば、

この前、チェーン店の某カフェで、朝食をとっている時、年配の女性が店に入ってきて、サンドイッチをカウンタで注文した。「ツナサンドをちょうだい」と。

結論から言うと、その人は、ツナサンドが2つ入っている「ツナサンド」という商品と、ツナサンドとハムサンドが1つずつ入っている「ツナハムミックス」という商品を1つずつ頼みたかったみたい。でもね、店員がちょっと変な言い方したのよ。

「ツナですね。当店では、ツナのサンドイッチは3種類ありまして……ツナサンドイッチが入ったツナサンドと、ツナサンドとハムサンドが入ったツナハムミックスと……」

「あ、それです。両方1つずつください」(あってるよね?)

「両方というのは、両方ツナという意味ですか? 当店では、ツナのサンドイッチは3種類ありまして……ツナサンドイッチが入ったツナサンドと、ツナサンドとハムサンドが入ったツナハムミックスと……」

「そのツナだけの1つと、ツナとハムのものを1つください」(あってるよね?)

「ツナだけ1つ入っているのはないんですよ」

しかも、店員さんは「商品名を言ってくれなきゃわからない」ような調子。相手はお年寄りだよ?

そして、親切だと思ったのか、その2つで良いって言ってるのに、3種類を並べてまた同じ説明を始めたのね。

すると、そのお年寄りの方が折れて、指を指して「これとこれをください」と言ったわけ。そうしたら、「ツナサンドイッチとツナハムミックスでよろしいでしょうか?」だって(笑)

知らんがな(笑)

私も、困った店員さんだな。マニュアル通りにしないと気が済まないんだなあ。あの女性、気の毒だなあ。と思っていたら、その年配の女性が、

「あなたの物の言い方は、頭が悪い人に説明するような感じがします」って静かに言ったの。「私、いつもここに買いに来ているのよ」と、その店のロゴが入ったバッグを出したわけ。「これに入れてくださいね」
ひえー、常連さん?株主さん?どっちでもいいけど、ちょっと一言謝った方がいいんじゃない?と思っていたら、その店員さん、なんていったと思う?

お持ち帰りですね。袋はどうしますか?

私は椅子から滑り落ちそうになった。本当に困った人は困っている人なんだなー。そして、私はその高齢女性の静かな物言いに感動した。私だったらこう言ってるな。

店長呼んで来いー!(笑)

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