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フードデリバリーが生み出すプラスチックゴミについて思うこと

新型コロナウイルスの影響で、世界中でフードデリバリーの需要が上がっています。

フードデリバリーってとても便利ですよね。もれなく我が家もUberEatsのヘビーユーザーです。

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(UberEatsで頼んだ、ある日の食卓。とても汚いです、すみません)

しかも私の場合、フードデリバリーのユーザーだけでなくフードデリバリーの事業者でもあります。

子育て家庭のためのミールシェアサービス「マチルダ」を運営していますが、端的にいうとおすそ分けをデリバリーするサービスです。

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(マチルダで頼むおすそ分け)

タイトルの「フードデリバリーが生み出すプラスチックゴミについて」は、私自身がフードデリバリーをやっているからこそ、ずっと考えている問題です。

このnoteでは別に解決策を示すわけではありません。
私個人が思ったことをまとめたnoteです。

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ちなみに、プラスチック汚染については以下のブックレットが参考になります。著者は環境ジャーナリストの枝廣淳子氏で、プラスチック汚染とは何か、を体系的に理解するのに有用な本でした。


プラスチックごみの問題とは何か

プラスチックごみ問題とは、「海洋プラスチック汚染」であり、21世紀最大の環境問題の1つと言われています。

海にどれほどのプラスチックゴミがあるのか。

2050年には(重量ベースで)魚の量より多くなる

というのは、良く聞くかと思います。

その他、海流の影響で日本が4つ入るほどの面積でゴミが溜まっている「Great Pacific Garbage Patch(太平洋ゴミベルト)」の写真も見たことがある人、多いと思います。(フリーで使える写真がなかったため、見たことない方は「太平洋ゴミベルト」で調べてみてください。)

海洋に大量に蓄積しているプラスチックごみは、

・生態系への影響
・漁業・海運業・観光業などの経済への影響
・人間の健康への影響

が懸念され、「別にプラスチックが海に流れ出ようと良いじゃん。関係ない」と言えるものではなさそうです。


プラスチックごみ問題に対する世界の対応

プラスチックごみ問題はSDGsにも組み込まれ、各国も様々な取り組みをしています。

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是非、以下のジェトロのリンクを開いてみてください。各国がプラスチック製品に対して急速に取り組んでいます。

リンク開くのは面倒という人のために、少し抜粋をすると...

(以下、上記のジェトロリンクより抜粋)
2020年4月30日:北京市、5月からプラスチック製レジ袋の無料提供の管理監督を強化(中国)
2020年1月21日:首都圏での使い捨てプラスチック使用禁止が加速(フィリピン)
2020年1月9日:メキシコ市でプラスチック袋の提供禁止始まる(メキシコ)
2019年10月10日:モディ首相が演説、2022年までに使い捨てプラスチック全廃を(インド)

などなど...EU以外でも各国が取り組みを始めています。

ちなみに、EUはもちろん進んでいて、2018年に「EUプラスチック戦略」を発表し、「2030年までに使い捨てのプラスチック容器を域内でゼロにする」という目標を掲げました。

さらには2019年5月に「使い捨てプラスチック製品の流通を2021年までに禁止する法案」を採択しています。

日本も例外ではなく、レジ袋有料化が始まりますよね。


増えるフードデリバリー、「丈夫な梱包材」は死活問題

さて、本題のフードデリバリーと梱包材の話。

フードデリバリーが増えていることについては、特に皆さん異論はないと思います。こんなニュースも出ています。

日本だけでもここ数ヶ月でフードデリバリー事業者が増えており(UberEats、DiDi、menu、出前館、Chompyなどなど。)、事業者が増えれば増えるほど、デリバリーをしていなかった飲食店もデリバリーに乗り出します。

飲食店にとって、「丈夫な梱包材」は死活問題です。

汁漏れがひどい
蓋が微妙に開いていた...

こんな経験をしたらユーザーはその飲食店から再び買おうと思うでしょうか。UXを考えると「汁漏れをしない、蓋がかっちり閉まる、丈夫な梱包材」がマストです。

そしてもう1つ重要なのが「価格」。

食は価格弾力性が極めて高いため、1円でもフードパックは安く調達したいと考える飲食店は多いはずです。

「丈夫な梱包材」かつ「安価な梱包材」を求めて、多くの飲食店はプラスチック容器を使用していると推察できます。

多様なフードパック

フードパックって今はどんな種類があって金額はどの程度なのか。

梱包材の専門商社として有名な「シモジマ」が運営する梱包材オンラインストア「シモジマオンライン」から、現在のフードパックおよびその価格を一部ご紹介します!

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この表は単なる梱包材のご紹介ですが、ポイントは、

・プラスチック以外にも、エコな梱包材が沢山出ていること(「生産時の(CO2排出量が少ない等の)エコ」と「廃棄時のエコ」があるので、どうエコなのか...も多様です)

・一方で、機能や一番大切な「漏れにくさ」、価格など総合的に見るとまだまだプラスチックが一番使いやすいこと

です。


フードデリバリー事業者はプラスチックゴミを増やしている事実に自覚的であるべきだと思う

私がこのnoteで書きたかったことは、

フードデリバリー事業者はプラスチックゴミを増やしている事実に自覚的であるべきだと思う

これに尽きます。

フードパックを用意するのは飲食店自身です。(たまにフードデリバリー事業者が梱包材の一部を提供するケースもあるみたいですが)

なので、もちろん飲食店自身が自覚的になることも必要ですが、先述したとおり、UXを考えるとプラスチックの梱包材を手放せないことも想像に難くありません。

フードデリバリーを進めるにあたっては、飲食店まかせにするのではなく、フードデリバリー事業者自身が、

・営業時に成分分解性のフードパックを紹介したり、
・新しいエコなフードパックが出てきたら都度案内したり、
・何ならメーカーと一緒にエコでデリバリーしやすいフードパックを開発したり、

できることが沢山あると思います。

事業者として私自身も努力をしますし、フードデリバリーのいちヘビーユーザーとしても、各フードデリバリー事業者がそんな努力をしてくれたら良いな、と思っています。


余談:ライフサイクルアセスメントという考え方

最後に余談として。

私のスタンスは、プラスチックは減らしていくべきだ、というものですが、プラスチックを「環境にとって悪である」と断定するのは短絡的です。

「ライフサイクルアセスメント」という考え方をご存知でしょうか?

ライフサイクル・アセスメントとは、商品やサービスの原料調達から、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通しての環境負荷を定量的に算定する手法のこと。

(引用:環境ビジネスオンライン

ガラスをプラスチックで代替することで、輸送時のCO2排出量が削減されますし、食品包装にプラスチックを使うことで食品寿命が伸び、フードロスにも繋がります。

ライフサイクルアセスメントの考え方を取り入れながら「何がベストなのか」を考えるのはとてつもなく難しいことですが、可能な限り視野を広げて、未来を良くしていきたいです。

完全なる呟きですが、世の中には良い面もあれば悪い面もある、こういう問題ばかりだな〜と思います。

フードデリバリー事業者にしても、最近は『ギグワーカーを増やしている』というマイナスな面が取り上げられることも多いですが、気軽に始められることから雇用創出にも大いに役立っていて、今回のコロナでは職を失った人の受け皿になったりしています。

如何に自分がやっていることに盲目にならずに、でも前に進み続けるか。
難しいなと思う今日この頃です。


配達員



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