慈照寺銀閣
哲学の道周辺は私のお気に入りスポットた。そのエリアにある慈照寺は山の近くで静かに佇んでいるような雰囲気であった。
庭園のランドスケープデザイン
慈照寺の中は建物群と山に囲まれるようにして庭園があり、苑路をたどると山を少しだけ登って展望台から寺と京都の市街地を見渡すことができる。中を巡ってみてこれはランドスケープ デザインだ!と思った。庭園を歩く中で、建物や植栽の関係(前景ー中景ー遠景)が変化していくのだが、どの地点に立っていてもそこの場所がよく見える。全体に配慮を行き渡らせることはその管理も含めてすごいことだと思った。
左側の建物が方丈。手前には有名な銀沙難。迫る山には展望台からこちらを見下ろす人の姿がわかる。銀沙難の模様から山の方へと意識が向けられる。
方丈の南東側から手前には銀沙難、真ん中に月見台、奥に銀閣を見る。ここから見るとシンメトリーな月見台が中心に据えられ構図のへそとなりつつも銀沙難の斜めの線や右側奥に佇む銀閣など全体としてはアシンメトリーな構成。銀閣もこの角度から見ると平面的に左側が凹んで欠けたように見えつつも全体としてはバランス感がある。私もこんなデザインしてみたい。
下の庭園から見上げていた山の展望台より、慈照寺全体とその奥に広がる京都市街地。
また金閣に比べて建物も庭園もひと回り小さく、実際に訪れて体感するスケール感からしても、山の近くでひっそりと佇むと言った雰囲気であった。自然環境、はたまた当時の政治状況や施主の心持ち?など含めたスケール感に合わせて建物や庭園の寸法も適したものに決められていくんだろうなと思った。
正面をとらえさせない
鹿苑寺金閣でも気づいたことであったが、ここ慈照寺でも銀閣を真正面から捉えることはできないような庭園の計画がなされていた。むしろ、建物を斜めの方向から見せる美学があるように感じる。
銀閣を南東から見るとー松ー錦鏡池にぽつぽつと据えられた岩ー銀閣ー空ーが前景ー中景ー背景をなして奥行き感が作られ、それも松の枝振りや岩の配置から銀閣へとその焦点が集められているように見える。正面から建物を捉えるのではなく少し斜めの角度から見ることで銀閣と庭園が互いに意識しあって寄り添い合っているように感じる。この佇まいが日本的なのかなあと思ったりもした。
概要:足利義政が応仁の乱の後、東山に建てた山荘。義政の死後慈照寺として現在までに引き継がれる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?