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サンドイッチはトリコロール

酢キャベツをたくさん食べたい想いに溢れたサンドイッチ弁当

ガーキンの代わりに酢キャベツが抜群にいい仕事

東海軒の駅弁サンドイッチ

子どもの頃、新幹線に乗るといえば、母の実家の静岡への行き帰りが主だった。そして新幹線に乗るときはいつも、小さな箱に入ったサンドイッチを買うのだった。

一人暮らしをしたこともなく、結婚と同時に未到の地だった青森に嫁いできた母は(今でも)泣き上戸で、実家に帰るたびに、自分の両親とのしばしの別れが切ないのか、毎回実家の玄関で泣き、改札の前で手を振る祖父母を見て泣き、そして祖父母が見えなくなって私と妹だけになっても、駅のホームでも、静岡駅に着くまでの東海道線の中でもさめざめと泣いた。
そして私も、そんな母がなんだかかわいそうでもらい泣きをする。そのうちに、妹までつられて泣き出す。今思うと、知らない人が見たら、子連れで家出か、はたまた親に死なれでもしたのか、と思われていただろうと思う。

母があんなに泣いたのは、なぜだったんだろう。
今でも、ほんのちょっと祖父母の思い出話をするだけで母は泣く。
私が大学生の頃、一人で祖父母の家に泊まりに行ったとき、朝4時半に勢いよく私が寝ていた部屋にやってきて、ガラリと部屋のドアを開けて熟睡していた私に向かって「あたしはこれからゲートボールに行くけど、ゆかちゃんはゆっくり寝ておいでね!」と溌溂と声をかけておばあちゃんが出かけて行った、という我が家では定番の笑い話をしているときも、笑い泣きする。
いろんな思いがないまぜになって涙が溢れる母に、私もまたももらい泣きする。

そうしてさんざ泣いて泣き飽きたぐらいに東海道線は静岡駅に到着し、帰路の新幹線に乗り込むわけですが、毎度お腹が空いていようがなかろうが、サンドイッチを買う。
駅弁売り場を眺め、めざすはトリコロールカラー。赤青白の3色でデザインされた紙の小箱。その頃には泣いていたこともすっかり忘れている。

さあ新幹線は出発。席に着いて、目の前のトリコロールカラーの小箱を開くと、確か中には、薄―いハムサンドと、割と粗みじんでマヨネーズ少なめな卵サンドの2種類がきっちり収まっている。パンはちょっとパサっとしていて、いつものトーストして食べる食パンとは、少し違う感じ。

ハムにしようか卵にしようか、そしてこんな少なくてお腹いっぱいになるかなあ、と思いながら、毎回ハムサンドから食べ始めました。

【レシピメモ】

【材料】
食パン 2枚(8枚切り)
からしバター たっぷり
酢キャベツ 山盛り
ももハム 厚めに大1枚
チェダーチーズ 1枚

サンドイッチをつくり、ワックスペーパーで包むまでの動画


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