『ごはんをつくる前に読む本』ができるまで⑩
ゲラを人に読んでもらう
ほぼ内容ができて、あとはまえがきとあとがきを残すのみ。というときに、発売日が1ヶ月のびました。さて、どうしたものだろう。せっかく時間ができたのならば、なにかこれまでやったことのないことをやってみたいけれど、なにをしたらいいんだろう。
と思っていたら、夫が「誰かにゲラを読んでもらって、感想もらえばいいじゃない」と言ってくれました。
なるほど。
これまで本を出す前に編集者と家族以外に発売前の原稿を読んでもらったことはないから、確かに初めてのこと。
でも。
えええーっ。
それって、ものすごくドキドキじゃないですか!!
もし、読んでもらって「つまんなー」なんて言われたら、立ち直れないですよ。だってもう、後戻りできないところまでできちゃってるんですから!
どうしよう……
と、1週間ほど悩んだものの、他にじゃあなにかできるかと言ったら大したことも思い浮かばず、意を決して、読んでもらうことに決めました。清水の舞台からジャンプです。
そして、今まで仕事などで知り合ったたくさんの方々の中から、宮田人司さんと平井巧さんのお二人に読んでもらえるかお願いしてみよう、と決めました。お二人の共通点は、食に関わる課題解決に真摯に取り組んでいるんだけど飄々としていて変な力みがないことと、センスがいいことでした。(いわゆる、食関係の人特有のめんどくさい感じや変に真面目くさっているところがなくて、人柄がユルくて、食の仕事だけでなく多角的に仕事をしている、というのも大きな理由でした)
今まで私は、日々の食事を気楽にする→料理を簡単にするというアプローチの仕方でいろいろ提案してきたのですが、でもその方向だと本当の解決につながらなくない?という自問への自答が今回の本の骨子の部分。だからこそ、食に関わる課題解決をこれまでの方法にこだわらずに展開しているお二人にこそ読んでもらえたらいいかも!と思ったわけです。
宮田さんは、もともと音楽業界にいらしたというご本人も経歴もユニークすぎるわけのわからない人で、いつ話してもふざけていてめちゃめちゃ面白いです。IT、デザイン、アニメーション、映像作品はもとより、今は金沢にも拠点を持ちながら、新しい農業のスタイルをつくったりと、ジャンルを超えてクリエイティブなことをいろんな人を巻き込んでやっていらっしゃいます。その1つが
OPENSAUCE
https://opensauce.co
で、今度はレストランもできるそうで楽しみで仕方ありません。本書に寄せて、のページに寄稿してくださった文の中に、宮田家伝来の「謎煮」というものが登場するのですが、それについては
「おかんの味」をオープンソース化、孫泰蔵氏も参画する食ベンチャー「OPENSAUCE」の台所革命
https://www.businessinsider.jp/post-172854
にも書かれているので、ぜひ読んでみてください。おもしろいです。
もうお一人の平井さんは、何歳になっても白Tシャツとデニムを何歳まででも着こなし続ける気じゃないかと思うような、童顔です。東京農大で講師もなさっているのですが、きっとキャンパスにいたら絶対に学生よりも学生のようじゃないかと私は訝っています。いつも穏やかな人ですが、静かに物事を進め続けてみんなを動かしていくのが、本当にすごくて、心から尊敬します。
honshoku
http://honshoku.com
には平井さんが今手掛けているイベントなどもいろいろ載っているのでぜひのぞいてみてください。「食卓に愉快な風を。」というのが会社のキャッチコピーになっていますが、ともすれば真面目になってしまいがちな食に関わることを、まさに軽やかさと楽しさをもって社会に提案しています。
平井さんはフードロスに関する動きも早くからなさっているのですが、そこもまた変に正論を強要したり説教じみたりせずに、軽やかさと楽しさをまとって世の中に伝えています。
このお二人に読んでいただき、そして寄稿してもらえたことは、悩みながら書き進めていた私の、本当にとても心強い支えになりました。心から、感謝します。
『ごはんをつくる前に読む本 −三日坊主をくりかえせば自由に生きられる』
https://www.amazon.co.jp/dp/477302643X
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