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抗がん剤治療について思うこと【乳がん体験談 17】


乳がんが見つかり、全摘手術後、抗がん剤治療をした。
「抗がん剤」は、悪いイメージがついている人が多いと思うし、実際わたしも抗がん剤なんて一生やりたくない、と思っていた。

だが、実際に乳がんが見つかり、治療の段階になったとき、今の医療で最善とされる治療として抗がん剤治療を提案された。

主治医からきちんと説明を聞き、自分なりにいろいろ調べたり、いろんな視点からの本を読んだりして、受けることに決めたのだが、実際に受けてみてどうだったか、受けている最中のレポートを書いていたのでこちらに転載する。

これから抗がん剤を受ける人、いま受けている人、そのご家族や友人など、いち個人の体験、思いとして参考になる部分があれば幸いである。

**********


人生の中で1番避けたいなと思うのが
抗がん剤でした。


と言いつつ
既にもう始まっているのですが、、


病院で先生の話を聞くと
やはり抗がん剤が怖くて
拒否される方、とても多いらしいです。


がんと言う病気に向き合うのが怖くて
病院に来なくなってしまった方もいるとか。


最初に検査で引っかかったクリニックでは、
「普通に治療を受ければ治る病気ですから
淡々とただ治療受けてください」
とものすごく説得されました。


あまりの必死の形相に
治療を受けない方っているんですか?
と聞いたら


「いるんですよ、、こなくなっちゃう人が。
治る病気なんだからちゃんと治療を受けてほしいと思うんです」

とちょっと寂しそうな表情でおっしゃってました。

紹介状をもらって行った大病院でも
初っ端からなにかの地雷を踏んだのか
「お祈りでガン直そうとか
そういうこと考えるなら外に行け!」
的なことをいきなり言われて
びっくりして、その瞬間は腹が立ちましたが


あの時の先生の話を思い返すと
こちらでもやはり、がんの治療拒否して
そのまま他の何かの違う治療して、、
手遅れになって戻ってきた頃には
病院では手の施しようがなかった、、
と言う経緯と先生の悲しみがこもっていた気がしました。

お医者さんも色々と苦労がありそうです。


私もがん、という病気に
自分がなるとは夢にも思わなかったし、


抗がん剤は人生で
できれば避けたい出来事の1つでしたが、、


がんや抗がん剤が
なぜそこまで怖いのか?というのを
ざっくりとしたイメージの視点と


実際にやると決まってからの恐怖について
どんなポイントが怖かったのか?
実際私が調べたり体験したりして
想像と違ったよ、
そこまでじゃなかったよ、
と言うことを書いてみようと思います。

まぁまだ治療も始まったばかりなので
どこまで参考になるか分かりませんが
現時点での個人的な感想です。


まず、がんが怖い理由、、


すぐ死ぬ、確実に死ぬイメージがある


なんでしょうね、、
名前のせいですかね。


あの終わった感がほんとにダジャレじゃなく
ガーンとくるんですよね。


私もガンだと分かった瞬間に
息子が大きくなる姿を見れないんじゃないかとか
色々なことを思いました。


ただ、どんな病気でもそうですが
特にガンにはステージがいろいろあります。


それによって
おできに毛が生えたものから
もうこれはさすがに命の危険が、、
と言うレベルまでものすごい幅があるのです。


特に初発のガンで転移がないものは
治療してその後普通に生活している方も
ものすごくたくさんいると言うこと。


とりあえず私のケースに関して言えば
今までのイメージと違った事は


ガン=死、ではなく

初発のガンは普通に治せる

ということが分かりました。

で、抗がん剤。


それで抗がん剤の何が怖いんだろうと
自分なりに考えてみたんですけれども

とにかくイメージが悪い!


看護師さんが
ドラマの影響です!と力説してましたが
大体がんの治療は抗がん剤でボロボロになっているシーンが映されますよね。


副作用の代表格ともいえる吐き気ですが
吐き気止めはものすごい効き目抜群のものが開発されあそこまでの人はほとんどいないそうです。


私も吐き気止めの量がハンパなかったですが
おかげで今のところそこまでひどい吐き気はありません。

あと、


抗がん剤って
メリットよりデメリットが大きい気がしません?

ガンて、よほど大きくならない限りは
症状がないんですよ。
ただ異形の細胞があるだけなので
痛くも痒くもありません。


症状があまりないし
さらに私のように
術後の再発予防に打つ場合
症状も目に見えるガンもないのに


薬の副作用は
吐き気だの脱毛だの
味覚障害だのしびれだの
副作用デパートのように
多彩な副作用が出る可能性があると説明されるし


さらにやはり強い薬なので
「抗がん剤に殺される」
とアンチな方も多くいらっしゃり
実際お医者さまでもテレビなどで
反対の持論を展開する方が多いし


「そんなに身体に悪いものならやりたくない」

と思うに決まってますよね。


私の場合は初発だし年齢も若いので
体が耐えられると判断されていますが


確かに手術できない方や
体力がない高齢の方とか再発の方など


延々と抗がん剤を投与し続けなければならない場合には、体の健康より抗がん剤の副作用で
先に体がやられてしまうと言うことも
事実としてあると思います。

私の義母も80の高齢でがんが見つかり
抗がん剤で弱ってなくなったような感じだったので
私が抗がん剤をやりたくないと思ったのもその印象が強いのかもしれません。


そして抗がん剤が嫌だと思うと
どんどん目に付くようになる
抗がん剤の製薬会社の陰謀説(笑)


だけど自分がガンになってみて
もう一度本当にそうなのか
じっくり考えてみました。


確かに身体の正常な細胞も攻撃するし
実際に陰謀説もあるかもしれないし
お金のために抗がん剤を薦める医者も
中にはいるかもしれない。


でも基本的には
真面目に研究を重ね
臨床試験などを重ねてデータを取り
これが西洋医学ででき得る
最善の治療の手段だと考えて
やっていることだと思うのです。


医学の限界で
いまはがんと同時に
正常な細胞も攻撃してしまう薬だけど
がんのみに効く薬は日々研究され
治験もたくさん行われてますし


リスクやデメリットをもってしても
やる価値があると世界の医学界で評価されてるから
薦めるのだと思うのですよね。

悪い想像をすればキリがなくて
西洋医学の考えを盲信した無知な医師が
患者のことを考えずに
強くて高価な薬をバンバン打ち込んでるような
恐ろしげなイメージにもなってしまいますが、


冷静に考えて、、
現代医学ってそこまでひどいですかね?


医学は西洋医学にかぶれて
対症療法だからダメ、とか
すぐ薬に頼る、とか、
ものすごい否定する方を
テレビや雑誌、ネットでもお見かけしますが


良い面を見ずに
完全否定する方たちこそ
偏りすぎて
なんか思想にかぶれちゃってるんじゃないの?
と思います。


世の中、何においても
いろんな意見が飛び交いますが
本やテレビ、ネット情報に触れる際
わたしが気をつけているのは
極論に注意すること。

盲信的に「これが正しい!」と言い
もう一方を徹底的に批判する
そんな論調は危険だなと思ってます。
いわゆるカルト的な感じになる。


治療開始前に
ガンが治ると触れ込みの商品を扱う方に


「もし私がガンになったら、
絶対抗がん剤はやりませんっ!」


と言われて反対されましたけど、、
「勝手にすれば」と思いました(笑)


タラレバで断言したって
なってみなきゃわからない。
人間、立場が変われば
信念なんてあっさりひっくり返ると思ってるので
そんな説得の仕方は信用しないようにしてます。


また、たびたび体のメンテナンスで
お世話になっていた方にも

「病院に行くなら協力できない」
「うちの施術で絶対治るから
病院行かなくても大丈夫」

的なことを告げられて
一気に冷めてしまいました。


個人的には、無責任に絶対治る、とか
言わないほうが良いと思いますし


病院行かなくても大丈夫!って
何を根拠に断言してるのかな、と思って聞いたら
「末期だけど施術で治った人がいるから」
だそうです(笑)


いや、末期だけど治った人がいるのは
事実だと思いますし
そんな例が書かれた書籍もたくさん読み
良いと思ったものは
日々の生活改善にも取り入れてます。


でもそのような
「病院に行かずに治った!」を信じて
治療を拒否し、
亡くなった方もたくさんいるだろうことが
この人の頭の中にあるのかな?と
ちょっと疑問におもいました。


病院で治療して治らない人もいるし
治療しなくてキノコの粉末飲んで治る人もいる


何を信じるかは個人の自由ですけど
わたしはそんな感じで
いろんな意見には
一歩引いて接するように意識して
そのうえで自分は何を信じるか
何を選ぶか決めるようにしています。


誰かの話を鵜呑みにし
自分で考えずに丸投げして
あとからこんなはずじゃなかった!というのは
嫌なんですよね、、。

私がお世話になっているお医者さんは
皆さんすごく真面目に取り組んでくださると思います。


患者さんが多すぎて
まいにち手術と診察で
ヘトヘトになってるので


医者が儲かって美味しい職業ってのは
もはや神話だな、と思います(笑)

起業していたこともあり
スピリチュアルや整体なんかも
私はお世話になってるし
目に見えないものもあると信じていますが

お医者さんはやはり
そーゆースピとか整体とか
エビデンスのないものに関しては興味を示しませんがだから西洋医学はダメだと言うのではなくて

お医者さんは
お医者さんと言う仕事を全うするために
西洋医学と言うジャンルでできる
最善の事をしていると思うのです。

後はその医師一人一人の人格や
病院の方針や体質など
色々と関わってくると思いますが

私がお世話になっている病院では
メリットがデメリットを上回るかどうか?が
常に判断基準として方針になっているなぁ
と、感じます。


メリットのない無駄な検査はしませんし
(一応してくれと言って必要ないと却下された)


患者さんの要望があってもリスクがあれば
下手に乳房温存を進めたりしません。


常に「生活の質をなるべくキープしつつ、
とにかく治す!」を念頭に置いている姿勢が
伝わってきます。


だからこそ本気で嫌だった抗がん剤も
メリットとデメリットのバランスを
綿密に念入りに検証した上で
勧めているのだろうと信頼できたのです。


要は
それら副作用のデメリット思ってしても
直そうと思うならメリットがあると考えて
薦めるのだと思います。


まあ、病院や医師によって
「やった方がよい」
「必要ない」の判断基準が違うケースが多いので


そこは迷う場合は
セカンドオピニオンを取るなりして
複数の専門家の意見を聞いても良いかもしれない。

それが分かった上で
自分はどうするか?
治療するのかしないのか
判断基準すれば良い

自分の中でもこの生活ラインを下回ったら
治療をしないなど
決める基準になるのではと思います。

そしてもう一つ
いざ抗がん剤を受けるとなった後に
いただいたパンフレットや
抗がん剤の事前知識を入れる教室に参加し
またまたすごく怖くなりましたが

それの何が強かったかと言う所です。


それはひとえに
副作用の一覧がひどすぎる


からです!


吐き気
浮腫
しびれ
味覚異常
白血球減少
爪がはがれる
高熱が出る


と、ずらずらと書かれているわけなんですが
ご丁寧にこれらすべてについて一つ一つ最悪のパターンまで書いてあります(涙)


そうすると不思議なことに
これら全てがマックスの状態で
私にドドンと降りかかる想像してしまうんですよね。


さらに
本当にいつも思いますが
文字の情報って伝わることが本当に少ないんですよね。


吐き気がつらい


と言う一言でも

もともと吐き気なんか経験をしたことがなくて
だから辛く感じているけど
でも別に食べればすっきりしちゃう程度なのか


寝込んでしまい一方動いたらもう無理な感じなのか

人によって千差万別ですよね。

そしてそれが
治療期間中ずっと続くと言うふうに
思い込んでしまう。

しかも大抵の場合
治療期間は数ヶ月に及ぶので
数ヶ月間、この一覧にあるマックスの副作用が
一気に私に降りかかってきて
ずっと苦しみ続けると思うと

絶対逃げたいですよね。

私も抗がん剤はじまったばかりですが
1週間位経ってみて、、
なんとなくいろんな副作用が
ちょろちょろじわじわくる


その日の体調が色々と
移り変わるんだな、と言う感覚の方が強いです。

出産経験のある方には
つわりのイメージが1番わかりやすいのではないかと思います。


かく言う私は妊娠の時のように
昨日あたりから嗅覚が鋭くなり
犬レベルになってきました、、。


私の場合びびりすぎて
かなり恐ろしいイメージをしていたので


ご飯が食べれたとか
フラメンコのレッスンに行けたとか
息子と映画に行けたとか


そんな普通な事でもありがたいなぁと感じられるようになっているので
ちょっと重めの想像しておくと
ダメージが少ないのかもしれません(笑)

でも
日常の当たり前をありがたいと感じれる感覚
それってすごい大事なことだなと思います。


当たり前のありがたみは
つい忘れてしまいがちだから、、
そういう基本的なことを思い出すための
経験なのかもしれません。
いろいろ得るものも多いですよ。

昨日なんていつも素通りしていた
マンション内の築山の滝で
水しぶきが美しすぎて思わず立ち止まりました。

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八重桜を照らす夕日のキラキラにもまぶしくて涙が出そうになりました。

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ガンとか抗がん剤も
悪いことばっかりじゃないですよ。


少しでも気楽になれば幸いです。

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