デジタル時代こそ、早めの終活が必要だと思った話


わたしがパートしているリユースショップに、高齢の女性がノートPCを持ちこんだ。

リユースショップでパソコンや携帯など個人情報がガッツリ入っているものを買い取るには、事前にデータ消去やパスワードロック解除、初期化などがされていないと買い取ることができない。

なんとなく、パソコンなどにはさっぱり詳しくなさそうな雰囲気のお客さまだったが、そのことを説明して、データ消去など買取条件に必要な項目をチェックしてもらうシートに記入をお願いした。

しかしやはりその方はパソコン周りはさっぱりわからないようで、「・・・」と無言になった。

困ったなぁと思っていると、その女性が「実は、主人が急逝して遺品整理をしようと思って」と話し始め、御主人が記したであろうさまざまなパスワード一覧を印刷した紙を取り出した。

おそらくパソコンも触れないのだと思うし、「ログイン」とか「データ消去」とかそういう用語もチンプンカンプンだと思う。

だからたぶん、そのパスワード一覧を見て、こちらでなんとかしてほしいような素振りを見せていたのだろう。だが、それは無理な話だ。

そもそもリユースショップスタッフは、そのような個人情報を見ることができない決まりだ。何が出てくるか分からないのに、勝手にログインなんかできない。だからデータを消去してからしか買い取らないのだ。お断りするしかない。

たぶん他のリユースショップでも同じような対応だと思うので、買取は難しいと思うし、かといって、なんか情報を抜いて転売するような怪しい業者に捕まってほしくもない。

だから、「どこの業者に行ってもデータを消して持ってきてくださいと言われると思うので、パソコン専門のリサイクル業者に頼んで、引き取ってデータ壊してもらったほうが良いかもしれないです」と伝えた。

だけど、パソコンリサイクルの仕方だって、その業者の検索の仕方だってわからないだろうし、そこにたどり着くのは大変だろうなと思う。

いろいろ調べて差し上げたいが、さすがにリユースショップの店員としては不確かなことまでは伝えられない。

わかったような、わからないような表情でその女性は店を去ったが、なんだか心残りだった。

そして、これだけパソコンやスマホなど、デジタルツールが普及していると、亡くなったときのデジタルツールの処分、そしてネットのアカウント削除なども含めて、その後の始末が結構難しいものだなぁと思う。

今回の方のように、高齢のパートナーが亡くなって、残された側がデジタルツールがさっぱりわからない上に、ほかに頼れる若者がいないとなると、相当難航するか、いっそのこと放置するかしかないだろう。

こういう代行業ってスキマ産業としてそのうち発展するかも。個人情報の収集が得意な人、というと、探偵みたいな人か、ハッカーみたいな人がやるのかな。

それとも葬儀屋さんがどこかと手を組んで、オプションサービスにするのかもしれない。たぶん需要はめちゃくちゃあると思う。

SNSやクラウドサービスはプライベート性が高いし、そもそも何のサービスを利用しているかさえ把握できないだろう。わたしなんてアプリもクラウドツールもアカウントめちゃくちゃたくさん持っていて、自分でも把握できないのに。

利用サービスだけでなく、旦那や息子に、誰と仲良くしているか、何かあったら誰に伝えてほしいか、なんて情報も伝えておかなくてはならない。

家の電話しかなかったときは仲良しの名前も把握できたが、これだけいろんなツールを使って友達と連絡を取っていると、誰と仲良かったかさえ分からないかもしれない。

LINEの履歴である程度分かると思うが、そんなことを調べてくれそうな家族ではない。Facebookのメッセンジャーで連絡を取っている仲良しもいる。そこまで追えないだろう。

スマホ操作などに関しては、息子はデジタルネイティブだからどうにかなりそうではあるが、有料課金してあるコンテンツに関しては、伝えておいて解除をお願いしなくてはならない。

ネットリテラシーが低いパートナーの場合は、パソコンやデジタルデータを処分してくる委託先も指定する必要があるだろう。

とりあえず、いま使っている有料サービスは止めてもらうように何かノートに残さなくてはいけないなぁと思った。

故人のパソコン処分や、SNSアカウントが分からない、何を有料課金しているか分からない、などデジタル時代だからこそのトラブルや困りごとが増えているという。

まさに今日、そういうケースを実際に目の当たりにして、自分もいつどうなるか分からないし、やはり自分なりに、定期的に利用サービスの情報など対策をしておく必要があるな、と思った。


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