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ブラジルで黒魔術51

息子にかけられた「赤い糸の呪い」
気付いてからそれを解くまでの家族の物語。
自分用にメモしていたものを編集してます。

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続き

わたしたちは、(息子の)彼女とその母親の写真を探して準備していた。

それを見せると…

写真を見た彼女(白魔術の人)は、
ははぁん…と言った感じで、

「この家族は良くない。付き合っちゃダメだ。この母親も魔女だ。」と言った。

そしてやっぱり、これは呪いがかけられてると…でも完全に解くことが出来ると約束してくれた。

質問の度に彼女は何やら知らない言葉でブツブツ言って、掌の中で貝を転がしてからテーブルの上にばっと投げた。

そしてその位置や表裏❓で、
答えを読み取っている様だった。

最後に閉める時もまた、
何か挨拶みたいな呪文みたいなのを唱えて、そのセッションを終了した。

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その後彼女は、
施設の中を案内してくれた。

写真を撮ってもいいと言ってくれたけど、
息子には絶対知られてはいけないので、
証拠は残さないことにした。

彼女と旦那さんの写真(ゲイ?)、
そして王様と女王様が座るような立派な椅子(でも金ピカではなく、
彫り物がしてある木製の椅子)、

大木の根っこを切って作った大きな椅子、
天井は藁みたいなのが一面ぶら下がっていた。

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わたしは彼女に質問をした。
「ここはカンドンブレだよね❓
ウンバンダと何が違うの❓」

(アフリカ密教でもこの2つは有名。(息子の)彼女とその母親が通っていたのはウンバンダだった。)

アフリカの密教には色々種類があって、
神様の名前(オリシャとかイエマンジャとか)や衣装は同じみたいだし…

わたしはてっきり、どのアフリカ密教も呪い的な儀式をするものだとばかり思っていた。

息子がかけられたのはウンバンダの呪いでここはカンドンブレの宗教施設だということは、ジャミリーと話して理解していたけど…

「ウンバンダは何も使わず呪いをかけるけど、カンドンブレは生け贄を捧げたり色々な道具を使うからもっと強い。」
そう彼女は説明してくれた。

なるほど!
そういえば…さっきも言っていた。
こっちの方が強力だから、
覆されることはないのだと。

広いホールを出た後は白い衣装を身に纏った若い女性にわたしたちの案内を頼んだ。

そして彼女は食堂に入り、
これから昼ご飯を食べるらしい…
わたしたちに「お昼済んだ❓一緒にどう❓」と笑顔で聞いた。

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わたしたちは彼女の口ずさむ不思議な歌を遠くに聞きながら、若い女性の案内で階段を上り違う部屋に案内してもらった。

広い部屋には儀式で使う道具や、
カラフルな衣装が綺麗に納められていた。

壁には彼女や旦那さん、
その他色んな人の写真が飾ってあった。

次の部屋には呉座が2つ敷いてあって、
枕元には小さいフランスパンが並べられ、
ポップコーンが床に散らばっていた。

わたしたちが到着した時にすれ違った、
おじさんとおばさん。
会社❓仕事❓が上手く行かないので、それについての儀式をした跡だと教えてくれた。

もっと詳しく説明してくれたけど、ポルトガル語なので曖昧に理解して忘れてしまった。

呉座の上には儀式を受ける人が横になるのだという。人数が多い時はもっと広い部屋でやるのだそうだ。

部屋の中には沢山、
種類の違う道具が置いてあった。
儀式の内容に応じて、
適切なものを選んで使うのだそうだ。

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その奥は衣装部屋だった。
スーパースターさながらの派手な衣装が、
ズラリと並んだ小部屋を通って、

彼女が化粧したり身なりを整えるのであろう部屋まで見せてくれた。

さらにその上の階は宿泊所になっていた。
ブラジル各地から人が来るのだと言う。
遠くはバイア地方から(車で3-4日かかる)来るので、必要な人はここに泊まってもらうのだと。

部屋には二段ベッドが5つ、
壁に沿ってびっちりと並んでいた。
そんな部屋がさらに4つか5つあって、
一番奥の小部屋は誰かが泊まっているらしく鍵が閉まっていた。

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それから建物の裏側に出た。

表側もかなり大きな建物だったけど、
裏側もとても広くて、最近イベントで使ったという白い衣装が山盛り置いてあるランドリーを通りすぎ、

小さな子供の服がずらっと紐に干してある廊下を通り抜けて、一番裏側にある彼女たちの居住スペースに出た。

綺麗に整えられたリビングとキッチンはこじんまりしていて、その裏側にはコンクリートむき出しの壁に小さな部屋がいくつかあり、かなり小さな寝室が見えた。

外側にはいくつか小屋が建っていて、
中を覗くとひとつはわたしが敬遠していた、
いかにも密教といった感じの、
神様と道具が祭ってあった。

もう1つの小屋には、
イエスキリストやアパレッシーダ(マリア様)をはじめとする様々な神様や天使的なものが祭られていて、わたしは驚いた。

必要に応じてここに人を連れてくると言っていたけど、詳しい説明はよく分からなかった。

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庭に一人の男性が座っていた。
親族の誰かの様だったけど、
彼もまたトランスジェンダーだった。

そうして施設をぐるっと一周してキッチンに戻ると、彼女が一人で昼ご飯を食べていた。

その日はとても暑い日で、
わたしたちにコーラを勧めてくれたけど、
コーラは飲まないと言って丁寧に断った。

さらにキッチンの奥に更に部屋があり、
大きな鹿の首の置物などが見えていた。

彼女はそっちも案内してあげてと言い、
これまた様々な道具が沢山並べ置かれた、
大きな部屋にわたしたちは入っていった。

道具と言うのは…
例えば素焼きの鉢に鉄製の槍みたいな棒が刺さっているものとか(分かりにくい🤣)
とにかくいっぱい並んでいたけど、全てが清潔で整然と管理されているのが分かった。

そして今までずっと思っていた「アフリカ密教は怖い!」という勝手なイメージとずいぶん違うことに驚いた。

案内してくれた若い女性も、
とても感じのいい可愛らしい人だった。

わたしは彼女に質問した。
「密教の儀式って悪いものだとばかり思っていたけど、両方あるの❓」

彼女は嫌な顔ひとつせず、
わたしの質問に丁寧に答えてくれた。

「悪いもの…ではないけど、それはその人が何を目的にしているかに寄るかな。でもあの人(白魔術の彼女)は人を貶めるような呪いは避けてる。

たまにそういう相談もあるけど、そういう時はまず占いをして、かけられる相手が本当に悪い人で呪われるに値するかどうかをみるの。

もしそうでなかったら(相手に悪意がなく、黒魔術をかけれる理由がなければ)、
その旨を依頼者に説明する。
だから(結果的に)滅多に悪い方の呪いはやらない。」

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なるほど~!

そしてわたしたちは、
儀式をお願いするかどうか相談することにして、そこを後にした。

続く

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