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160万年から見た自分の人生は、あの彗星よりもはかない

160万年前の人間を見て、1万2000年前の祈りの造形を見た。自分の制作のテーマとして「祈り」があるとわざわざ言うまでもなく、ひとはごく自然に祈りとともにある存在なのだとわかる。

何万年という単位のなかで、その一瞬をつーっと駆け抜ける彗星のような自分を想像し、がちがちにかたくなっている肩から力が抜けた。前にもここに書いたことがあるけれど、圧倒的な敵わなさを前にすると、逆に心は自由になれる。本来的に自分はなにをやったって自由なのだと。

何万年という視点から自分を見ると、「やりたい」と自分が思ったことをやらない理由なんてないと思える。だって一瞬なのだ。人類の歴史という観点から見た自分はごく小さくはかない存在なのだから。

今度は視点を変えて、自分の生きている時間を軸に考えたとき、その一日一日はあざやかで、かぎりなく尊い。そうやって近くと遠くに自分の視点を行ったり来たりさせることで、自分がとらわれているなにかに気づくことができる。

今回は160万年という途方もないくらい長い時間の話だったけれど、もっと身近な本や建築やさまざまな文化に触れたり、自然のなかにいるときにも、同じように頭のなかが冷たい水で清められたような気持ちになることがある。偶然そういうものと出会えたとき、心からうれしい。

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