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伊勢日記 11巻

7時半起床。

今日は滞在中最後の内宮へ。ちょうど木の剪定をしているところでにぎやかだった。

こちらは木のメンテナンスと柵を取り付けているところ。作業着やコーンが白くまぶしかった。

境内の両端に植えられているさざんかは、陽の光が集まって咲いたみたいに透明感があってきれい。

参拝後、振り返って一枚。名残惜しいけれどまた訪れる楽しみがある。

内宮から歩いて猿田彦神社と佐瑠女神社にも行く。写真は撮らなかったけれど、あたたかみがあって居心地がいい。立派な着物をまとった子が七五三のお参りするのを何人も見た。地元に愛されている神社なのだなと感じる。好きな場所になった。

そこから37号線沿いを歩いて月讀宮へ。内宮側からは歩くひとが少ないみたいだ。20分弱歩いて到着。お宮が4つある神社で、参拝する順番が決まっている。間違えないように、と緊張した。

社務所で神職の方と話す。話が転じて、「すべての神社が昔から変わらずいまもあるわけではないんです」と聞いて、歴史を振り返ってみればそりゃそうか…と思いつつ、少し落ち込む。神様のいる場所すら、長い年月のあいだに失われることもあるのだ。それでも、目に見えないものを目に見える形にして、「たしかなものがある」と思えないと、生きるのはあまりにつらい。

神社のことだけではなく、誰かとのあいだにある愛とか、思い出とか、そういうものだって目に見える形にしておきたいと願ってしまう。だから写真を撮り、指輪を交わし、手紙を書く。歳を重ねていくとこの感覚は変化していくのかもしれないけれど、いまのわたしはまだまだモノにゆだねているところが大きいのだと感じた。

月讀宮から五十鈴川駅まで歩く。ちょうど名古屋行きの電車が停まっていたので飛び乗って宿へ戻る。

熱い風呂につかると、数日前に宿で蚊にさされたところが腫れてかゆくなってくる。こんな寒い時期に蚊と格闘することになるとは……。

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