長文なし、単純な方法で高校英語の基礎を身につける

 中学から高校に進学すると、英語だけでも文法、語法、語彙など、覚える量の多さに圧倒されるかもしれません。大人でも、高校レベルの英語がきちんと身についていないために、長文を読むのが苦痛だと感じる人が少なくないと思います。

 実際、高校英語をどの程度身につけているか、という一点で、洋書やニュース記事などの読みやすさが大幅に変わり、英語の文章を楽しめる人と、苦手と感じる人の隔たりをつくっているように思われるのです。

 というのも、私自身が短期間で大きな変化を感じた経験があるからです。たった1か月、英語の単文と向き合い続けた結果、それまで苦戦していた英語の長文をあっさり解けるようになってしまったんです。

 長文を前に訳語を考える必要もなく、辞書と向き合ってうなる必要もない、単純なやり方で、です。

 とはいえ、1か月は短いほうかもしれません。ほかに何もする必要がない環境で、ひたすら英語の単文だけをやり続けた結果ですから、学校に通いながら、仕事をしながらの場合は、当時の私ほど時間を取れないはずです。
 また、中学レベルの英語が身についていない場合など、レベルによっても差は出ます。
 逆に言えば、現時点で英語は割とできている、という方なら、そこまで時間をかける必要はないかもしれません。もっとも、そうした方がこの記事を必要とするとは思えませんが。

 この記事は、あくまで英語を読むことが苦手な方、あるいは学習中の方に向けて作成しています。新高校1年生など、これから学習する方、その保護者の方や、大学受験を前に、学習方法に悩む方、英語で本を読んでみたい方などを対象としております。

私も最初から英語ができたわけではない

 高校時代の私は、部活が忙しく、朝練、昼練、帰宅後も、というほど熱心に取り組んでいたため、勉強する時間を十分に確保していんませんでした。
 そのうえ、英単語の覚え方、文法・語法の学習の仕方など、戦略らしい戦略もなく、どこから手をつければいいのかわからない、という状況だったんです。

 リーダーのテキストの予習くらいはしましたが、学年が上がるにつれて、内容は複雑になり、予習で訳すのも難しく感じるようになっていました。
 予習のために寝るのが遅くなり、かえって授業に集中できなくなる、という弊害も生じていました。

 当時は塾に通うこともなく、受験勉強に集中できない要素がいくつか重なったこともあり、浪人して、塾に通うことになってしまいます。

現在から振り返る

 近年の私を知る人なら、「桜川が英語ができなかった、なんてこと、あるの?」と不思議に思うかもしれません。
 予定も行きたい場所も合う人なんていない、と割り切って、2019年、ついに一人でイギリスに飛び込みました。「私がたまたま寝ていて入国カードを受け取り損ねていなかったら、どうするつもりだったのかしら」と思いながら、立ち往生する日本人の入国審査の臨時通訳を引き受けました。切符売り場で「あと3分で発車する」と急かされたバスに慌てて乗り込み、挙句に田舎で道に迷って、ヒッチハイクのようなまねまでした私が、英語ができなかった、という話です。
 つい先日も、"Jane Eyre"を原典のまま読んで、楽しんでいたところです。古典英文学は決して易しくありません。lest、whenceなど、普段はあまり見かけない文語表現、幅広い語彙による表現に加えて、稀に見慣れないアルファベット(日本語のゐ、ゑのような古い表記)が混ざり、ストーリーの内容理解に影響はほとんど与えないものの、フランス語も頻出するなど、読みにくい要素はいくつもあります。
※原典は著作権切れのため、Web上でも読めます。一応、私が読んだバージョンはKindle版です。

 今だから言いますが、現代英語の文章を読むのに、難しい勉強は必要ないんです。時間を割く必要はあります。学ぶ意思は必要ですが、「難しい」ことは何もしなくていいんです。
 長文のリーダーは、語彙を覚えるのには悪くないですが、本当はグラマーのテキストを優先的に学ぶ必要があります。
 英文を理解するのに、翻訳スキルは必要ありません。英文の理解で真っ先に必要なのは、語順と語彙の使い方をきちんと理解することなんです。

 allowという単語があります。日本語にすると、許す、認める、などという意味になりますが、これをただ「認める」と覚えてしまうと、recognize/recogniseやadmitとの違いを区別できないかもしれません。
※allowは許可を与える意味での認める、recognize/recogniseは認知する、admitは事実を事実であると認める、というニュアンスが強い。
 日本語にすることが重要なのではなく、どういうニュアンスの語彙で、どんな語法で用いられるのかを理解する必要があります。

 結局、改めて私が3年分の英語を自分のものにするのに必要だった期間は、ほぼ1か月でした。1か月、英語だけに集中して、一部の難関大学を除くすべての大学の英語試験に対応できる実力を身につけられた、ということです。
※上智外英などの難関には、別の関門がありますので、この方法だけでは難しいでしょう。

 英語を身につけてしまうと、使う機会は勝手に増えます。できると思うと、人は「やってみたい」が増えるんです。
 洋書を読むのもいいですし、映画やドラマを楽しんでもいいんです。ニュースの記事を英語で読むと、日本語では書かれない事実を知ることもできますし、困っている外国人に自分から声をかけることもあるかもしれません。

スタート地点の差と個人差はある

 早い時期に勉強する場合、もちろん、勝手が違います。さらに、人によって実力に差がありますから、やり方も少しだけ変わります。

 学生の長期休みは、時間もゆったり取れます。特に高校受験直後の春休みなどは、心にも余裕のある、とてもいいタイミングです。
 社会人の場合は、少し時間を取るのが大変かもしれませんが、進める分量を少しずつに絞って、確実に進めれば、できないことはありません。

 難しいことは何もしません。ただ、単純なことを、ひたすらやり続ける必要があります。

 もちろん、遊ぶタイミングはあっていいんです。遊ぶときは遊ぶ、勉強するときは勉強する、とけじめをつければいいんです。

 そこが難しい、と思う受験生の方は、迷わず塾を選んでください。
 ただ、ここでお伝えするのは、塾よりはるかにお金のかからない方法で、コロナが蔓延する中、雨や雪の中、出かける必要もない方法です。

机に向かうのが嫌になる状況を改善する

 机に向かうのが苦手、という方のために、どういう状況だと「机に向かうのが嫌」になるのか、簡単にお伝えしてみましょう。

1. 勉強がわからないとき・やり方に迷いがあるとき

 頑張ってもできないと、やる気が湧きません。今回のやり方は、ある意味「単純作業」なので、どんなにできない方でも、考え込む必要がありません。
 また、やり方も決まっているため、悩むことなく勉強を進めることができます。

2. 寒い、暑いなど、感覚的に環境が悪いとき

 この場合、お部屋の環境を改善する必要があります。エアコンを買い替えたり、寒い場合は足元を温めるためのストーブを用意したり、靴下を二重履きにしたりと、工夫が必要です。湿度が低くて乾燥が激しい場合は、加湿器も置いたほうがいいですね。逆に暑くて仕方ないのであれば、額に濡らした鉢巻、扇風機も併用するなど、冷感を上げる工夫をします。

 椅子が合わない、というのも、似たようなケースです。背もたれなどに工夫のある椅子もありますし、よくある学習机の椅子などは、落ち着きやすい木製です。
 ただし、背が高い人の場合、高さを調整できる椅子のほうが、合っているかもしれません。また、木の硬さがクッションを敷いても苦手、という場合は、座り心地がいい椅子を見つける必要があるかもしれません。

3. 机の上が散らかっている、あるいは机に近づきにくいとき

 片づけが苦手な場合ですね。「とりあえず置く場所」をつくって、散らかったものをそこへどけて勉強を開始する方法があります。ただ、「とりあえず置く」だけなので、あとで戻すなり、きちんと片づけるなりしてください。そうしないと、そこが新しい置き場となって、どんどん散らかる量が増えてしまいます。

 足の踏み場もないほどひどい場合は、1日、2日、先に時間をつくって、断捨離に近い方法で足元を片づけます。気分が上がらないものは捨てます。
 少なくとも、通り道だけはつくってください。

4. 余計なものが視界に入りやすいとき

 ベッドやテレビ、パソコンなど、勉強に必要ないものが視界に入ると、そちらへ気を取られてしまいがちです。スマホも机の引き出しにスペースをつくって、そこに片づけるだけで、視界に入らなくなります。
 どうしてもベッドが視界に入りますか? ベッドが隠れるほど大きな本棚がついた大きな机であれば、あえてベッドのほうを向けて隠してしまうのも、一つの方法です。暗くなる場合は、スタンドライトを使いましょう。
 テレビは受験勉強の邪魔になるので、布で覆ってしまう、リモコンを押し入れにしまうなど、工夫してください。

 ゲーム機を学習に使用する場合は、必要なソフトだけがある状態にします。ゲームのソフトはまとめて別の場所へ片づけます。パソコンやスマホを学習に使う人もいますが、多くの用途に用いることができる機器は、集中力を欠く原因にもなり得ます。

 隠しようがないものがある場合などは、机そのものに「ついたて」を立てるのも、一つの方法です。実際、連なったカッター板などをついたて代わりにして、リモートワークの環境を整えている方もいます。

 こうした工夫ができれば、勉強に集中しやすくなりますね。

 机の前に座ること自体が苦手な方は、「勉強をしよう」と意気込んで机の前に座るよりも、「机の前に座ること」そのものを目標にすると、習慣化しやすくなります。

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