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「大分 万作・萬斎の会」を拝見いたしました

皆様、おはようございます☺️
フルート奏者・作家の向(むこう)由佳でございます。
いつもご覧くださり、有難うございます。
感謝申し上げます🩷

昨日(2024年9月16日)、能楽堂にお伺いして狂言を拝見しておりました。公演は野村萬斎さん達の「大分 万作・萬斎の会」。

能楽堂の入り口に建てられた看板

今回は珍しく、萬斎さんのご子息 裕基くんが冒頭にご挨拶するという、いつもと違う始まり方でしたが、ここのところ裕基くんの話す力が増していて、堂々としたお話しぶりに「しっかりして来たなぁ…」と嬉しくなりました。

そして、毎度お馴染みの深田博治さんの解説。毎回、この解説のお陰で本編の内容が頭に入り易くなるので非常に助かっています。

まず最初の番組(演目のことを能と狂言では「番組」と言います。テレビ等の番組という言葉は、ここから来ています)は、裕基くんの小舞。「八島 後(やしま のち)」という作品です。今回も裕基くんの小舞はキレがあって格好良かったです✨謡も以前より表現が豊かになって来た印象を受けました。裕基くんが放つ良いエネルギーが会場を包んでいましたね。

萬斎さん達の地謡も格好良かったです🩷なんだか小舞の時間だけ、お能を拝見しているような錯覚に陥りました。まるで、観世流のお仕舞を拝見しているような感覚でした。これだから、小舞にハマってしまうんですよね。

次は、「鐘の音(かねのね)」。こちらは以前から拝見したかった曲で、しかも万作さんのおシテで拝見できるなんて最高でした✨様々な鐘の音の違いの表現が愉しく、心にポッと灯りが灯ったような感覚になりました。「鐘の音」は声の技術が問われる作品だと思いますので、狂言方の技量が問われる演目の一つではないかと私は感じているのですが、万作さんの至芸をこうして好きな演目で拝見できたことは、とても嬉しかったです。アドの高野さんも「益々お声の響きが深くなっておられるなぁ…」と思いました。

最後のメインディッシュ「泣尼(なきあま)」も初めて拝見しましたが、私は「墨塗(すみぬり)」と勘違いしていたようです💦ですけれど、本当に面白い狂言で、私の中の好きな演目のひとつになりました✨萬斎さんの僧と石田さんの尼の前半のやりとりと終盤の攻防は、模擬裁判のテーマにも出来そうですね。どちらに非があるかを決めるのが非常に難儀なことだと思います。それを笑うというのは、ある種、神の視点なのかなとも思いました。何故なら、神様から人類を見たら、全てコントをやっているように見えているそうなので。

例えば「悩んでいて苦しい」という状態を「楽しんでいますね」と捉えるのが神様の視点。そう思うと、狂言はあらゆる人間模様を神の視点のように(しかし、神の視点とは意識せずに)楽しむ事ができる芸能なのかもしれません。

元々は神に捧げる芸能ですから、もしかしたら…そのような視点で作られているのかも知れないな…なんて、勝手に思っております。

深田さんの田舎の者という設定も、深田さんが大分出身だから、物語の中の「田舎」とは、大分のことかしら?なんて想像しながら拝見致しました。深田さんも年々芸が深くなっている感じがしております。

石田幸雄さんの尼も、なんともいえない可愛らしさと小憎らしいというか(笑)、憎めない雰囲気がとても良かったです。石田さんの老女役、とっても素敵なのですよ。今回も拝見できて良かったです。

そして、萬斎さん。地謡のかっこいい感じ(他の方と謡を謡っても、周りと音が溶け込むだけでなく、ちゃんと地謡の音が深くなっていく。クラシックに例えるなら、まるでヴィオラのよう?!)と、お狂言とのギャップがもう…(たまらん)😂 「鐘の音(かねのね)」では釣鐘の音でしたけど(万作さん)、「泣尼(なきあま)」ではおりん(萬斎さん)という仏教つながり。今後、おりんの音を聞いたら吹き出してしまいそうで非常に危険でございます。笑😂萬斎さんのお坊さん役は「小傘(こがらかさ)」でも拝見しているのですが、本当に面白くて最高なのですよ。是非、多くの方にご覧頂きたく存じます。

今回も沢山笑いました。人を揶揄したり、攻撃するわけでもない、健全な笑いを心の底から楽しめる。しかも、700年前のものでも現代人が楽しめるなんて、最高ですね。

万作の会の皆様、主催者の皆様、素敵な時間を有難うございました。

追記
ちょっと気になった事がありました。見所(けんしょ。客席のこと)で飲み物を飲んでおられる方が多数いらっしゃいました。能楽堂は客席でお飲み物を飲むことはできません。お飲み物はロビーで飲みましょう。

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