ドイツ絵画、存在感のあるリンゴ
エヴァがかじった歯型がついたリンゴ。ドイツ人ならではだと思いました。
いろいろな画家がアダムとエヴァを描いているけど、この作品が一番好きです。
ルーカス・クラナハ(子) 「アダムとエヴァ」 1528年 ウフィツィ美術館
楽園で何不自由なく暮らしていたアダムとエヴァ。ある日エヴァは蛇に唆されて、神様から決して食べてはいけないと言われていた知恵の実を食べてしまいます。
この実が実際リンゴだったかは、聖書に記述がないためはっきりしていません。それでも多くの画家はリンゴを知恵の実として描きました。
無邪気だった二人が実の効力で自分たちが裸であることに気づき、葉で体の一部を隠します。ですが二人からは羞恥心や神様の言いつけを破った罪悪感を感じません。
むしろ、エヴァは悪びれた様子はなく蛇と向き合い、アダムはリラックスモードです。
楽園にいるはずなのに背景は暗く、二人は別々のパネルに表されている、構図も珍しい作品です。これは事の責任の所在をはっきりさせるためと言われます。
実を食べるよう唆した蛇と唆され食べてしまったエヴァ。さらにアダムにまで勧めてしまいます。そんな彼らと巻き込まれたアダムを分けるために、別々に分けて描いています。
細かい事はさておき、やはりリンゴに残るエヴァの歯型に目が行きます。食べた時の「しゃりっ」という音が聞こえてきそうなくらいです。
ウフィツィ美術館にいらっしゃる時の参考になさってみてください。
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