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交流(ケース会議・共有会議)” ⇒ “心強さ” ⇒ “信頼” ⇒ “寛容” ⇒ “子ども若者の出会いの機会保障” ⇒ “子どもの若者の利益”

〈交流のリズム1 阪上まとめ〉

『交流のリズム』では何を話し合うの?

緊急事態措置(令和3年8月2日から9月30日まで)前に滑り込んだシンポジウム『交流のリズム1』。
FAIRROADが運営する居場所は、学校内外のサードプレイスとして運営しているため「誰でも参加OK!参加費無料!
そんな居場所に参加する生徒さんの中には、要対協(要保護児童対策地域協議会)やケア会議にあげて対応していく必要がある人もいます。
彼らやその家庭の生きづらさをアシストしていくためには、多機関による複数の目で家庭を含めて立体的にみていくことが必要です。

その多機関で行われている会議(対話の場)を“交流”とし、
多機関それぞれが持つ文化や事業、手続きなどのルールを“リズム”と例えました。
それぞれが持つ情報を持ち寄って、どこからでもその生徒の利益になる関わりができるように“交流”するわけですが、“リズム”がちがうもんですからなかなかスムーズにとはいきません。

そこで、ケア会議や共有会議で普段集まっている皆さんと「わかってるけど動かれへんとき」や、「こうなってくるとここまでしか動かれへん」、「これしてもらってからじゃないと手続きできひん」などなど、あぁだこうだ言ってそれぞれの“リズム”を知る機会とし、これからの“交流(多機関連携)”の予定調和さを超えていきたいと、そんな思いでこのシンポジウムを立ち上げました。

わたしの感想は記事冒頭のすこしだけにとどめて、このnoteには当日の登壇者意見をまとめたものを記録しておこうと思います。

『交流のリズム1』の登壇者

①N小教員
連携事業名:「やってみよう屋」
対象:N小学校
平均参加人数:20~30/回
飲食の提供:あり
開所:第1・3土曜日+長期休暇は月水金
場所:地域の隣保館内
②T中教員
連携事業名:「よってみよう屋」
対象:T中学校
平均参加人数:20~30/回
飲食の提供:なし
開所:毎週火曜日の昼休みと放課後
場所:中学校内の図書室
③N高教員
連携事業名:「やってみよう屋」
対象:N高の「福祉」科目の履修生
平均参加人数:2名/回
関わり方:1回3,000円の有償ボランティア
背景:バイトに受からない、続かないなどの課題がある高校生
④にしなり隣保館 寺島くん
・FAIRROADと居場所を協働運営
・居場所の“リーダー”
・西成青年部にも所属
⑤阪南大学 金子先生
・やってみよう屋に伴走してくれている
・このシンポジウムではコーディネーターとして関わる
⑥阪上


当日それぞれの意見
※わたしのメモベースなので、ちょっとねじまがってるかも💦

①N小教員
この学校に来て驚いたのが、人権担当教員が持っている情報の多さ。
それは学校外の会議に出席して、いろんなひとと交流しているからやと思います。この情報の多さは懇談はもちろん、日常の会話の幅も広がってる。
人権総合学習も学校内での座学や形式的なものじゃなくて、やってみよう屋にインタビューに行ったりしてて。顔が見えて相談できる関係になってきたから「迷惑やろな、忙しいやろし」って思うより「とりあえず聞きにいこ」ってなってて。交流?したら、しんどさの根っこが見えてきたんです。
②T中教員
この学校来て8年目になりました。
人権担当としては3年目です。週の2~3日はなんかのケア会議か学校外の訪問してますよ。
人権担当になる前までは、自分のクラス以外の生徒を知るときって部活しかないんです。しかも学校内での関わりやから、校則とかルールの上での関わり。タバコ吸ってるのをみつけた⇒反省文書かせる⇒親に連絡する。
でも罰をあたえて辞めさせる、それだけじゃあかん、向き合わんとって思うんです。
やりすぎかもしれん、でもあかんことじゃないですよね
あったかい人間になってほしいんです。
どんな子でも包み込む風呂敷みたいにならんとあかんのですよ、学校は。
みんなちがうんですから、同じルールだけじゃむり。
個別にそそぐことが平等です。
③N高教員
やってみよう屋にアルバイトでお世話になってる生徒さんがね、
御礼でもらった3000円のバイト代、うれしくて使われへんって言うてきたんです。
高校は小中学校とちがって地域の子らだけではないけど、
毎年T中の10%はうちの高校くるんです。だから地域内での情報交換や共有はめっちゃ必要。
こんな支援あるんやって知ってると知らんのとでは違う。
子どもを通じてわたしたちはつながってるんです。

⑤阪南大学 金子先生
最初にお話ししてくださったN小の先生が、人権担当になられたのが最近だったので、前任校での経験からお話しされたんですが、これで次のT中の先生も同じように続かれました。簡単に言うと、西成の地域の力のなかで、生徒の個々人の深いところまで関わっていってもいいんだ、という感覚を身に付けられたということでした。お話を聞きながら、私も学生たちへのかかわり方で知らず知らずのうちに、西成的な感覚を身に付けて影響を受けていたんだなと発見しました。一人一人を見ていくと、どうしても個別対応が必要になるときがあり、それが他の生徒に対して平等性を損なうのではないかという問題に行き着きます。後半のパネルディスカッションでは具体的な事例を紹介しながら、この話題が拡がっていきました。全員を個別に見ていれば、平等が損なわれることはないというのが私の答えで、概ねみなさんとその感覚を共有できたのではないか、と思います。

一人一人に寄り添っていくということに対しては、やってみよう屋のリーダーの寺島君のすごさというか、私が一緒に活動している1年半のなかでもどんどんレベルアップしていっているなと感じています。子ども一人一人への視線ももちろん、グループへの視線、それにあわせて臨機応変な対応、それから時間をかけるということへの確固たる思い、言葉にしてしまえば、簡単なんですが、これは実際、目にすると、すごいなと感じます。臨機応変な対応というのは、おそらく自然に立場を変えた対応もできるということです。子どもたちとまったく同じ目線であったり、ときには年上のお兄さんであったり、悪いことを叱る大人であったりです。先生たちは、子どもたちと寺島君の距離感、信頼関係の話を、子どもたちは「てらしま」と呼び捨てにしてたり、あたりがきつかったりするけど、実際に学校に来たら盛り上がるといったような具体的な話を交えて、紹介いただきました。今回は寺島君が話題の中心だったので、多角的にいろいろな方向から、彼の活動を本人含めて語られることになったのですが、しばしばこういうケアの高い能力というのは、私のように言葉を生業にしてきた人間にとっても表現するのが難しいし、まして、そういう文字の文化になれていない人にとってはなおのことだと思います。それをビビッドに表現されているのは先生や子どもたちだけでなく、深いレベルまで人をよく見てるということなんだと思います。ところで、この言葉にしにくいケア能力ですが、言葉に出来ないからと言って、能力がないというわけではないのです。

N高の生徒たちは居場所の当事者ではなく、スタッフとして参加しています。実はこの高校生たちは有償ボランティアとして参加しています。日頃はなかなかアルバイトで雇ってもらうことも難しかったりする中で、自分がやった仕事が認められてお金をもらえたということが大きな喜びになっていて、もらったお金をどうするのか聞くと「置いておく」と話した子もいたことがN高の先生から報告されました。昨年、一緒に参加して振り返りもした私から見ると、高校生たちは楽しんで遊んでいるような感覚も強いけれども、子どもたち一人ひとりへの対応は完璧といってよいほど素晴らしいものでした。高校生たちは最初、自分たちの活動を言葉にするのに苦戦していました。でも、そのうち、少しずつ話せるようになっていきました(当日は話しませんでしたが、自分ではなくて友達の良かった点を話してもらったら、実に豊かに話せるようになりました)。

やってみよう屋のすごいところはこのスタッフ体制でもあります。スタッフにはそれぞれどこかしんどい思いをしてきた人たちが集まっています。私自身もそのうちの一人です。しかも、私たちは西成で育ったわけでは必ずしもありません。FAIRROADの今までの活動の中で出会った人であったり、ゆーとあいの関係者の伝手で紹介される人であったり、様々な経路でここにたどり着きました。西成はもともと誰も排除せずに受け入れるという特徴があると言われますが、地元のゆーとあいのような組織と、外部の他にも多くのフィールドを持ち、外から西成への導き手の役割を果たすFAIRROADとのコラボレーションは、西成らしさを生かしていると見ることもできるでしょう。そして、私たちもまた、子どもたちとの関わりあいのなかで、時にはスタッフ同士の関わり合いのなかで、エンパワされていることがあると感じています。ふとした瞬間に、過去の自分が癒されていたんだなと後から気が付かされることもあります。

取り組み紹介1
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大阪市西成区にある [ にしなり隣保館 ] と協力して、子ども若者の日常を支えようと始めた『やってみよう屋』は、2021年でもう4年目になります。
小学生なら誰でも参加OK!参加費無料!という敷居の低さで、年間でのべ約1000人の小学生が集う。

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取り組み紹介2
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2020年から始めた 『よってみよう屋』 は、学校内の図書室で居場所を開くことでついでに立ち寄ることができ、年間のべ約1000人の中学生が集います。『やってみよう屋』で出会った小学生の進学先の一つ(学校選択制)でもあるので、小学生から中学生までの9年間、日常的に関わります

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【チラシ】20210730_交流のリズム1



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