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【良書】沢渡あまね著「仕事ごっこ ~その“あたりまえ”、いまどき必要ですか?」

沢渡あまねさんの新刊(2019/7/1・技術評論社)。大人のビジネス童話をコンセプトに、時代に沿った働き方を提案する本です。

クリエイターとしての沢渡さん

今回の本はとてもクリエイティブな作品だなと思いました。
一ファンとしては「沢渡さんの新刊だ!」ぐらいなノリで買ってしまうわけですが、読み進めていくうちに「覚悟を決めて書いた」と仰る理由が見えてきます。0→1で何かを生みだす過程って、本当にパワーがいるものです。

今までになかったもの、しかも読者の心がざわつくかもしれないもの…。
内容や言い回しはもちろん、装丁や構成など、あらゆる物のちょっとした匙加減で、印象はがらりと変わります。
(出版物はみんなそうだとは思いますが、特にこの本は印象のコントロールがキモだったかと思います。また、マンガではなく活字メインにすることで、「読み手の世界の中で問題意識を形にして欲しかった」とのこと)

組織の自己診断ツール~読むだけ、感じるだけ~

この本、自分の身の回りのことで心当たりがある場合、読みながら心がズキズキしてきますw
でも、そこが良いところ。頭で考えるより、本(しかも読みやすい文体)を小一時間くらい読んで、心に引っ掛かった部分にこそいまの課題が眠っているというわけです。

ちなみに目次はこんな感じ。

はじめに
第1話 白ヤギさんと黒ヤギさん ~紙の書類のムダ、印刷~押印~郵送のムダ
第2話 わがままなお殿さま ~資料作成のムダ、会議のムダ
第3話 兵士不足に悩む王国 ~履歴書や申請書をいちいち手書きさせるムダ
第4話 残念な桃太郎 ~オープンイノベーションの罪
第5話 オフィス戦団ビジキュアの憂鬱 ~どうでもいいビジネスマナー
第6話 お祭り好きな王様 ~モチベーションを上げようとして、かえって下げる悲劇
第7話 白ヤギさんと黒ヤギさん、ふたたび ~邪魔になるだけのPPAP
第8話 おはなしをきいてもらえない、すずめさん ~いまどきテレアポで営業かける人たち
第9話 里のかえると都会のキツネ ~相見積もり、コンペ、提案泥棒
第10話 忙しそうな、にわとりさん ~年末年始の挨拶や表敬訪問
第11話 町のどうぶつえん ~ダイバーシティごっこ
第12話 女王アリと働きアリ ~「管理職ごっこ」「管理職ヅラしてマウンティングする人たち」
おわりに

満足と納得は違う

どんな組織(チーム)にも多かれ少なかれ課題はあって(それ自体は当たり前)、問題は、そこに組織(チーム)として向き合えるかどうか。
良いマネジメントには様々なタイプがあると思いますが、その一つが「(職位関係なく)誰かを孤独にさせないこと」だと個人的には思っています。
(なので、第11話や第12話は本当に切ない)

特に、いろんな立場の人がかかわると利害関係が複雑になるから、全員の満足は本当に難しい。でも、、「満足はいかないけど納得は行く」という状態を目指すことを、簡単に諦めたらいけないように思うのです。

それは、プロセスが見えることだったり、決定内容の意図を事実を交えて説明することであったり、フェアに向き合うことだったり…。

それらをないがしろにしてしまうとどうなるか…それは物語を読んでのお楽しみという事で。

まとめ

童話仕立てのビジネス書というUIを通して、ハートで感じながら振り返り体験(UX)が出来る本でした。とても計算されたdesignだとも思います。

あと、↓2ヶ月後にはまたこういう新刊が出るのがすごい…。ダムにたくさん寄れたのかしら。


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