【良書】沢渡あまね+吉田裕子「仕事は「徒然草」でうまくいく~【超訳】時を超える兼好さんの教え」
兼好法師から"聴いた"話が本になった。
一言でいえばこんな感じでしょうか。徒然草を愛読してきた沢渡あまねさんと、国語のプロ・吉田裕子さんのコラボレーションによる一冊(2019/9/4・技術評論社)です。
徒然草=”元祖Twitter”という捉え方が、新鮮ながらとてもしっくりくるし、沢渡さんがTwitter等で仰っていたように、たしかに「雅を雅で」殴ってました(笑)。
もくじ
日本初の会社は幕末だし、兼好さんって鎌倉だったよね…?と基本的なことを確認してしまうようなラインナップです。
はじめに 徒然草は今を生きる私たちの最高のバイブル
第1章 コミュニケーション・モチベーション
第2章 環境・組織風土
第3章 生産性
第4章 プロセスマネジメント
第5章 意思決定
第6章 スキル・キャリア
第7章 ブランドマネジメント
「なぜ、いま徒然草なのか?」
おわりに 令和の時代も、兼好の学びの姿勢を大切に
それぞれの章で5~10段程度の段を徒然草から抜粋し、以下のような構成で紹介しています。
・徒然草の現代語訳(超訳)
・超訳のシチュエーションとよく似た現代のあるある話(当世とほほ徒然話)
・原文の読みどころ
・古典や歴史の観点からの解説
初めから順番に読んだけど、好きなところから読んでもまた良し。なんてったって、Twitterだから。
みんなのヒーロー兼好さん
お二人の文章を読んでいると、たぶん兼好さんは現代にタイムスリップしてもそれなりに馴染める気がしました。とても柔軟な方です。それと、兼好さんなら、他のみんなが勇気を出せずに言えないでいることでも、「それ古くね?」って言えます(笑)。
「価値は相手が決めるもの」
徒然草の紹介は、この言葉に始まりこの言葉に終わります。
価値は相手が決めるもの。同様に、あなたが発信した情報の価値も、相手が決めるものです。「馬鹿馬鹿しい」「つまらない」と決めつけずに、ユルく発信してみましょう。
(第1章「ユルく情報発信しよう~序段 徒然なるままに」より)
価値は相手が決めるもの。あなたの価値もまた、他者が決めるもの。派手にPRしなくても、あるいは無理に背伸びしなくても、着実に行動して成果を出していれば、あなたの価値は必ずだれかが見て、評価してくれます。
(第7章「価値は相手が決めるもの~一六七段 一道に携る人」より)
例えば、何か能力や素質があったとしても、そういう肩書が無いと自覚しづらいんですよね。でも、行動を積み重ねれば、何らかの形に残ります。
そうしていくうちに、「気が付いたらこんなにできてた、わかるようになった」と思える時が来るし、あるいは、自分より先に誰かが評価してくれたり発見してくれたりもします。ちょっとくすぐったいけどとても嬉しい。
(Kindleでハイライトを入れた個所は他にもたくさんあるけれど、一番印象に残っているのは「価値は相手が決めるもの」。なんというか、とても奥深い。
ジョハリの窓でいうところの、"自分は気付いていないが他人は知っている"「盲点の窓」にも通じるなと思うけれど、まだ理解しきれていない何かがまだたくさんあるようにも感じるのです)
例えば、サイゼリヤの4人掛けの席に、兼好さんが居て、著者のお二人が居て、残りの1つが空いてたとする。
この本はたぶん、真面目に読んでもいいけれど、わいわい雑談したり、時には愚痴を聞いてもらったりするぐらいの気持ちで読むとより楽しめるのです。
美味しいもの食べながら、いろんな話を「へー」って聞いて、楽しかったねーって言いながら帰った時の、「いまの空気感をそのまま覚えてたいな」っていう気持ち。
"学ぶことの楽しさ"について、肩からめいっぱい力を抜いた表現をすると、要するにこういうことなのだろうなと思います。