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職住近接か、族住近接か。

「人事部勤務ワーママが書く保活ガイド」をお読みいただきありがとうございます。

前回は「保活の第一歩は『結婚したら、どこに住むか』。」というタイトルで、住む場所選び(主に自治体の観点で)について書きました。

今回は、ライフスタイルの観点での住む場所選びのお話です。一見すると保活に直接的には関わりがないように思えるかもしれませんが、誰の近くに住むか、つまり誰が自分たちのこどもに直接関わるプレーヤーになりうるかということは、育児全体において大変重要な問題です。

職住近接=保育園の送迎も夫婦で二人三脚

大前提として、認可保育園は夫婦共働き、またはシングルファザー・マザーなど、その世帯に日中こどもの面倒を見ることのできる大人がいない場合に利用できる施設です。(そんなの知ってるよ!と思うかもしれませんが、我がオットは、場合によっては金積んで入園することもできると思っていたようでした・・・)

一口に夫婦共働きと言っても、夫婦それぞれが仕事と私生活の比重をどう考えているかはケース・バイ・ケースです。夫婦それぞれの年収や、世帯年収によっても変わるでしょう。
そういう中で、住む場所選びの重要な要素として"職場からどれくらいの近さに住むか問題"が生じます。

夫婦双方の職場が都心(概ねJR山手線の内側を想定)にある場合、物件は借りるにしろ買うにしろ、都心に近ければ近いほど高いため、通勤時間と住居コストがトレードオフの関係になります。そんな中で職場に比較的近い住まいを選ぶカップルは、概ね(あくまでも概ねですよ)、2人ともしっかり稼ぐ代わりに家のことも2人で分担してやる、そのために通勤時間のロスを極力減らす、というスタイルが多いように思います。2人とも実家が遠方という場合にもこのスタイルを選ぶケースが多いのではないでしょうか。
保育園との関わりで言えば、例えば保育園へのこどもの送り迎えも、夫婦どちらかがメインで担うというよりは、夫婦で分担して行うことになります。

会社によっては、職場の近くに住む社員に手当を支給する制度があったりもします。新居選びの際は、自分とパートナーの勤務先に住宅関連のサポートがあるか、どんな内容かは調べておきましょう。

族住近接=実家とがっつり二人三脚スタイル

他方、夫婦どちらかの実家が首都圏にある場合は、その近くに住まうのが便利と考える人もいるでしょう。これを私は"族住近接"と名付けました。
族住近接の最大のメリットは何と言っても人手です。夫婦2人で暮らしているうちはともかく、ひとたびこどもが生まれたら、近くにいる大人の数は1人でも多い方が助かるものです。また、ゆくゆく介護のことを考えて近くに住むことを選ぶ場合もあるでしょう。

その際、実家の場所が夫婦の職場と近ければ便利ですが、そうではない場合も多いでしょう。となると、通勤時間を犠牲にする代わりに実家の人手を頼ることになります。このパターンでは、夫の労働時間が長く、妻が短時間勤務などをして保育園への送り迎えを一手に担っている(実家への依頼も含めて)ケースも多いように思います。
もともと親密な親子関係であれば、人手として考えるまでもなく近くに住むことが自然な選択肢となるかもしれませんし、保育園の送り迎えを頼めたり、夕食を共にすることで食事の準備が不要になったりと、メリットは多いと思います。都心から離れることで住居コストも下がる場合が多いので、こちらの方が理に適った選択だと考える人も少なくないでしょう。

ただしこの選択は、保活上は要注意です。というのも、同居でなくとも近くにこどもの面倒を見ることのできる大人が住んでいるかどうかという要素は、認可保育園の利用調整において、チェックされる場合が多いからです。
これは自治体によって異なるようなので、物件の具体的な候補が上がったら、該当する自治体の認可保育園の利用調整の条件を調べておくのが良いでしょう。

またそれ以外にも、私の周囲を見ていると、自分の実家であれ義理の実家であれ、親の近くに住むことがメリットばかりとは限らないようです。
例えば妻の実家の近くに住む場合は、妻とその母親が密に協力して家事育児を行うことが多いと思いますが、そうなると夫の立場としては、内心思うところがあっても意見しにくく、結果として家事育児に距離を置きがちになることがあるようです。
また、それまでは仲の良い母娘であった妻とその母親も、育児方針の違いから関係がうまくいかなくなる場合もあります。そうなると、便利でありがたかったはずの族住近接は、一転してストレス要因になってしまいます。義理の実家との近居であれば、話はより複雑になるかもしれませんね。

子育てにしっかり関わってほしいプレーヤーは誰か?を考える

私の場合、夫の家族は札幌にいるため"族住近接"の対象にはならず、可能性として考えたのは、千葉にある自分の実家の近くに住むかどうかでした。ですが、私の優先順位は明確でした。すなわち、私にとっての最重要プレーヤーは自分の親ではなく夫であり、夫が(結果的にであれ)のけ者になる可能性のあるようなライフスタイルは作らないということでした(里帰り出産すらしなかったほど)。また夫も通勤のラクさを最重要視していたので、私たちの選択は職住近接になりました。
また、これは後から気づいたことですが、通勤時間が短いことで、出産後に復職してからもフルタイム勤務(残業は基本しない)が可能になりました。ワーママがフルタイム勤務すべきかどうかという問題はここでは一旦置いておきますが、少なくともその選択肢を残したいのであれば、職住近接は有力な選択肢になるでしょう。

もちろん、ここに書いたことは一例に過ぎません。職住近接と族住近接のどちらが良い・悪いということはありませんし、夫婦にとってのプライオリティや、それぞれの職場、実家の状況などから、どちらも選ばない・選べないケースもあると思います。
ただその場合も、ゆくゆくこどもを持つ可能性を視野に入れて住む場所選びをするのであれば、この先の生活を回していく上で密に連携すべきキーパーソンは誰なのか、一度考えてみると良いのではないかと思います。

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