【語り継ぐ】阪神淡路大震災から29年
1995年1月17日 午前5時46分。
遠くのゴ――――ッという地鳴りと、始まった大きな揺れで目が覚めました。
当時私が住んでいたのは、大阪市とはいえ大阪湾に近く、マンションの13階とあってものすごく揺れました。
食器が落ちる音、割れる音、何かが倒れる音もすごくて、おまけに想像したこともない激しい揺れで、マンションがまるごと倒れるか、途中からポキッと折れてしまうんじゃないかという恐怖で、ちょっとしたパニック状態に陥りました。
揺れが収まっても、しばらくは腰が抜けたみたいになって、立てませんでした。
相当すごい地震だということはわかったのですが、いったい何が起きているのかわからず、ラジオをつけました。
でも、さすがのラジオでもすぐには情報は出てきませんでした。
もちろんしばらくすると地震速報は出て、大阪市内は「震度4」が表示されました。
私の人生の中で初めて体験する「震度4」でしたが、たぶん高層マンションの揺れはそんなもんじゃなかったと思います。
すぐ近所に住む夫の両親の家に電話すると、もちろん2人とも無事だったのですが
「よう揺れたねえ」
という反応で、13階と1階の被害が違い過ぎてびっくりしました。
我が家は、「よう揺れた」なんてもんじゃなかったからです。
明るくなるにつれ、テレビのニュースで衝撃的な映像が流されるようになりました。
初めの頃はどうだったか覚えていませんが、少しずつ「これは今までの地震と規模が違う」と思い知らされる映像が増えてきました。
時間を追うにつれそれは厳しさを増していき、ついに阪神高速道路が横倒しになった映像、神戸の生田神社がぺしゃんこになって屋根だけが残っている映像を見た時には、衝撃がすごすぎて、悪夢としか思えませんでした。
その日は出勤しようにも淀川を渡る橋は封鎖されていたし(当時は車通勤をしていました)、阪急電車は神戸線も宝塚線も動いていないしで、行くことができませんでした。
電話は朝のうちはできて、お互いの実家が無事であることは確認できましたが、途中からつながりにくくなりました。
当時はまだ携帯電話を持つ人は少なく、出先から連絡しようとする人たちで、公衆電話に行列ができていました。
我が家にしても、携帯電話どころかパソコンすらまだなく、「インターネットを使ってメールでやり取りする」なんてことができるようになるのはまだ数年先。
連絡と言えば、電話か手紙、電報くらいなものでした。
翌日出勤すると、前日出勤していた数人の先生たちが、大まかな復旧をしてくれていました。
私の教室では、前の棚の上に置いていたテレビが、一番前の子どもの机の上に落ちていたと聞きました。
課業中だったらどうなっていただろうと考えるだけでぞっとしました。
当時勤務していたのは、その市でも南にある学校で、兵庫県にも近かったのです。
校区の被害も相当で、自宅が倒壊した子が何人かいました。
体育館が避難所になり、そこで暮らすことになった子もいました。
体育館から自分の教室に登校するのです。
避難所は3学期後半には規模が縮小されて多目的教室に移り、年度末まで学校で暮らす人たちがいたのでした。
地震の次の日には学校が再開したのですが、校舎の水道が使えませんでした。
プールの水道は使えるということで、手洗いには、運動場の端にあるプールまで行かないといけませんでした。
小規模校でしたのでなんとか対応できたのですが、あれが大規模校なら大変だったと思います。
幸い水道はすぐ復旧しましたし、給食も早く再開されました。
地震で家に住めなくなって他校に移る子もいましたが、反対に神戸から一時避難で転入してくる子もいました。
どの学年にも、だいたい4~5人くらいいたように思います。(学年2クラス規模の学校だったので、私のクラスにも2人来ました)
お家の方はみなさん「武庫川を越えたら景色が全然違いました」と驚いておられました。
私の人生史上最大に強烈な体験だったと思うのですが、さすがに記憶は年々薄れていくものですね。
それぞれの人が、覚えている範囲でいいので、語り継ぐことって必要だなあと思っています。
……画像は、屋根裏に保管していた当時の新聞。
上から順に、1/17(地震当日)の夕刊、翌18日朝刊、夕刊、19日朝刊、夕刊です。
刻々と被害の大きさが明らかになっていき、新聞を見ては息をのむような思いをした数日でした。
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