言語論的転回と数学

表題のことについて思ったことを話します。

思ったことを話す前に、「言語論的転回」について簡単に説明しておきます。

例えば、日本では虹は7色であると表現されますが、英語には「藍色」に相当する単語が存在しないため、虹は6色であると認識されているそうです (Wikipediaより引用)。

このように、言語論的転回というものは、誤解を恐れずに言えば、

「言語が我々の認識や思考を構造化している。我々の思考は我々の“心”のうちに見出されるものではなく、思考というのは、言語を使用する能力を行使することそのものである」

(言語哲学大全 I より、若干の表現の違いはあるかも) という考え方のことです。

これだけでもう面白いですが、私は数学屋さんですから、せっかくなので、この分析哲学の成果を数学に当てはめて何か見出せないか考えてみます。


数学をする上では、考えること、すなわち「思考すること」は重要な要素になってきます。

上手に思考したり、丁寧に思考したりすることで、問題を丁寧に分析したり、その上手な解決を与えることができたりするわけですから、従って、数学的に成長したいと願うとき、必ず「どうやったら上手に・丁寧に思考することができるようになるか」という問題に直面するわけです。

言語論的転回は、この一見難しそうな問題をどのようにすれば解決できるかのヒントを与えてくれるように思います。

つまり、どうやったら上手に・丁寧に思考することができるか、を知るためには、まず「思考するとは何か」を知らなければなりませんが、その答えは言語論的転回が示しているように、

「言語能力を行使することそのもの」

なわけですね。

ですから、上手に・丁寧に思考するためには、

「上手に・丁寧に言語を行使する」

と良いわけです。


こうすると、数学的に成長するためのある道筋を認識することができます。

「自分が今考えていることをなるべく正確に言葉にするようにする」

とかは、丁寧に思考するためには重要であると考えられます。

他にも、

「様々な角度から対象を観察し、観察したことを言語化する」

とかは、上手に思考するためには重要であると考えられます。

ここで大切なことは「言語化する」という部分ですね。

問題を目の前にして、よくわからなくて頭の中が真っ白になっている状態というのは、言語論的転回を念頭におけば、「何も考えていない」ということになるわけですから、そういう場合は間違っていることを恐れずにとにかく思ったことを「言語化する」ということをすると、思考が進んで問題解決につながるかもしれません。


この記事では、言語論的転回を念頭に置いて数学について考えてみて気づいたことをメモ的に書いてみましたが、他にも我々に教えてくれることはたくさんありそうだなと思いますので、思いつき次第別の記事を書いてみようと思います。

今回はこの辺りで終わりにします。

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