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言葉にできないことを言葉に 第85回 月刊中山祐次郎

いつもご購読ありがとうございます。中山祐次郎です。

梅雨入り目前のじめじめした空気、嫌いじゃないのです。こういう季節を小説に描き込むのもいいなあ。

今回は、m3.comという医療者限定サイトで連載している子育てエッセイ「40代男性外科医の育児敗戦記」です。いちおう一冊分になったら出版の予定になっているのですが、はたしてなかなか執筆が進まず汗

月刊中山祐次郎をお楽しみいただいている皆さんも、間があきすぎてもう内容忘れてますよねスミマセン。前回はこちら。

妻の出産と家でぐうぐう寝る夫 第76回 月刊中山祐次郎

それでは、お楽しみ下さい!

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消化器外科医・作家の中山祐次郎と申します。この連載では、家事スキルゼロで仕事に全振りしてきた男性外科医が、40歳にして初めて子を持ち家事・育児に悪戦苦闘するさまをリアルタイムで描いていきます。どうぞご笑覧くださいませ。

 コロナ禍のせいで立ち会いはおろか、病棟内へもまったく立ち入れなかった妻の出産が終わり、赤子とともに自宅に帰ってきた妻。退院するその日に合わせて、義母(妻の母)も我が家へ来てくれていた。
 その日はけっこう不思議な日で、朝からの手術がわりとスムーズに終わり、珍しく緊急手術が必要になる患者さんの連絡もなかった。午後3時くらいには手が空いてしまう。そうなると、一刻も早く帰りたい。なんと言っても、我が家にはしばらく会っていない妻と、私の遺伝情報を半分受け継いだ男児が待っているのだ!

 はやる気持ちを隠しながら、「そろそろ夕方の回診を回りませんか」と同僚たちに電話した。夕方にもなっていないのに夕回診。他の外科医たちも、これまた珍しく仕事が一段落ついていたようで、なんと3時過ぎからの夕回診に成功したのだ。
 余談だが、回診とは、同じ科やチームの全員が一緒に、各々が主治医として受け持つ患者さんのベッドサイドを回ることを意味する。病院や専門の科によって異なるけれど、私の病院ではそれほど一人ひとり長い話をするわけではなく、「どうです?」とか「おなら、出ました?」くらいの様子を伺っていく。

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2,041字

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