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君はどう生きるのか 第50回 月刊中山祐次郎

朝から雨が降っていた。

昨夜はどうにも長かった。7月も終わろうとするのに梅雨は明けず、蒸し蒸しとした寝室で僕は自分を持て余していた。広すぎるベッドで、スマートフォンをいじる。体勢を右下にしたり、足に枕をはさんだり、どうにも落ち着かない。ゲームをしてみても、小説を書いてみてもまるで手につかない。これを身の置きどころのないと言うのだろうか。どうにも寝付けず、「亡き王女のパヴァーヌ」を流しながら目を瞑った。

そんな寝苦しい夜を過ごした僕は、嘘のようにくっきりと6時ちょうどに目覚めた。薄いヴェールがかかったような浅い眠りだったからかもしれない。夜中に来た電話のせいだったかもしれない。起きた瞬間、とにかく僕は君のことを考えた。

そしてもしや、と思いスマートフォンをみたのだ。そこには妻が送ってくれた、胎脂にまみれた君の愛くるしい姿があった。

世界じゅうが、みんなが君を祝福している。草も木も、雲も太陽も、行き交う人たちも、大喜びをしているようだ。雨は止み、太陽が大声で笑っている。

どんな未来が、君のその小さな顔を覗き込んでいるんだろうか。どんな人たちが、君と出会うのを待ち焦がれているんだろうか。

たくさんつらいこともあるだろう。傷つくこともあるだろう。

ゆっくり大人になりなさい。

この苛烈な世界を君が一人で歩けるようになるまで、僕たちが守るから。

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