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さーたり先生の異常性を【7通目 さーたり・中山交換日記ファイナル】

本企画「さーたり・中山交換日記」では、漫画家・肝胆膵外科医のさーたりと、作家・大腸外科医の中山祐次郎がお互いに聞きたいことを交換日記形式で聞いていきます。コンテンツの作り手であり、外科医でもある二人の公開往復書簡、4往復目の中山からの返信です。

本記事は、さーたり先生からの「やりたいことやったもん勝ちとわかってはいるけれど」へのお返事です。

「次はどんな作品を作りたいか」へのお返事、ありがとうございました。これまでコミックエッセイを作られてきて、これから次のゾーンにいかれるのでは無いか、と想像していたのです。

最近感染症の歴史にはまり、色々読み漁ったまとめをマンガにしてこの前Twitterに流したらそれなりに好評で、こういうのもいいな〜と思ったり。

見ました見ました、これめちゃ面白い!

マンガっていろんな可能性を持っていますね。エッセイからストーリー、そしてこういう教養もの、ガチ教科書・・・

このコロナ禍で本の売り上げは半減したそうですが、漫画だけは爆上がりしたと出版社の人から聞きました。コロナ禍がチャンスになる、なんて言ったら不謹慎ですが、数少ない業界のようですよ。

中山先生にはピンとこないと思いますが
世の中には一定数、男の言うことしか聞き入れない人がいます。

それは私も正直なところ実感することがあります。性別が男、ということでどれほど自分には見えない壁や天井をスルーさせてもらっているのか。せめてそのことには自覚的でありたいと思いますけどね。一緒にしてはいけないと思いつつ、例えば「専門医を取る前と取ってから」や「本を書く前と書いてから」ではずいぶん話を聞いてくれるかどうかが変わったように感じます。大ヒット中の「鬼滅の刃」作者のペンネームが男性のように感じるものにしている理由を知ったときは、おったまげましたが。


さーたり先生の書簡には「医学書」「医療以外の創作」「ラジオDJ」など実に9個ものアイデアが書かれていました。全部やったらあっという間に人生が終わってしまいそうですが、とりあえず全部やりましょう。あ、しゅんPさんとのコントは多分スベるんでやめといた方がいいですよ笑(彼はピン芸とシュールなネタが持ち味です)

文章からも伝わる異常さ。熱気。さーたり先生の宿痾とも言うべきそのモチベーションは、ただ間近で応援しているだけではどうにももったいないような、大切なものを見過ごしているような、そんな気にさせられるのです。目撃だけではいけない。けいゆうさんもそうですけど、1000万人に一人、いやそれ以上の狂気を目にすると私まで感染してくるのです。さーたり先生と仕事がしたい。この往復書簡をなぜ始めたのか、今はっきりわかりました。さーたり先生と仕事がしたいから、関係を持ちたいから、もっと言えば、その異常性を体験したいからだったのです。

いや、創作の孤独を紛らわすために、同じ孤独を持つ人に会いたいから?それもあるかもしれませんが、それだけではないとはっきり感じています。経営者が集まって夜景を見ながらワインを飲むのとは違うのです。表現者として、表現者に関わりたい。そんな根源的な欲求、なんて言ったら気味悪がられるでしょうか。


翻って私の話をしましょう。私はなにがしたいのだろうか。

中山先生はどうですか。
とりあえず早く小説を映画化して試写会に呼んでください!

小説は映画化よりも別の形で映像化するような気がしています。もごもご。ま、映像化はもはや私の作品ではありませんから、それはそれで楽しみとして。

今作っている小説が二つあります。と同時に、二年半前から作っているライトな医学の教科書(「コンサルトの極意」と仮題しています)が大詰です。あと一つ、先日書いた短編小説「ドクター・スチューデント」の続きを書くのはどうか、と言われています。これもやりたい仕事です。きっとこれらで今年度は終わるでしょう。

それでも今一番熱中しているのは、医学論文かもしれません。幸い科研費が取れたこともあり、いくつかの研究がまあまあ順調に走り出しています。ここ三年くらいで実績を作り実力を上げ、医学者としてこの世界をかすかに前に進めてみたい、今はそんな気持ちです。そして、臨床研究者としても半分くらい自慢の鬱陶しい本を作ってみたいですね。

他に作りたいものと聞かれても、思いつきません。これからは医療情報発信のお手伝いとか、誰かが本を出すときのお手伝いとか、そういうことをやりたいなあと思うのです。一人で作るのが寂しくなってきたのかもしれません笑 モノローグと同じくらい、ダイアローグが楽しい、今はそんな気持ちです。


さて、長きに渡ったこの往復書簡、これにていったんお開きとさせていただきます。

楽しかった!

さーたり先生、本当にありがとうございました。



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