マジョリティーに入りほっとする 第11回 月刊中山祐次郎
こんにちは、中山祐次郎です。今回は、「マジョリティーとマイノリティー」についてのお話です。
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もう一年半ほど前のことになる。
その日、僕はSBクリエイティブという出版社の編集者、Sかぐちさんと新宿の街で酒を飲んでいた。雨の日だった。ちょうど「医者の本音」という本を書き始めた頃で、僕は書き手として、「担当編集者とは深い人間関係がなければ良いものは作れない」と思っていた。だから担当編集者とサシ飲みをして、親しくなろうと思ったのだ。
だというのに、少しサシ飲みにビビった僕は妻も連れて行った。妻は僕より酒をよく呑み、コミニュケーションを滑らかにしてくれる。
三人でしこたま呑みつつ、色んな話をした。どんないきさつで僕がもの書きになったのか、妻との出会い、そしてSかぐちさんの可愛いお子さんのこと… 後半は何を話したかあまり覚えていないほど、ハイボールを何杯もお代わりした。
帰り路、Sかぐちさんからメールが来た。
「中山さんは、大手出版社から本も出され、医者の仕事も充実して、あんな素晴らしい奥様とも結婚されて、何もかも手に入れていて羨ましいです」
僕はそのメールを見て、一発で酔いが醒めた。
なんだって?僕が「何もかも手に入れてい」るって??
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