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学生自らに、授業のValueを考えてもらうことの大切さ

山梨学院大学 学習・教育開発センター 特任講師の小笠原祐司です。

ほとんどの大学が来週から授業をスタートしていくかと思います。授業の最初の重要なポイントの1つは学生のモチベーションではないでしょうか。

学生自らが、学びを自分ごとにしていこうとするかどうかがポイントになってくるかと思います。

①授業の最初に学生に聞く問い

近年、私が行う授業において、最初に学生たちに考えてもらう問いがあります(履修者数が多い場合の選抜の際にも聞いている問いです)。

1:この授業を通して、どんな自分になりたいか、どんな自分になっていたらワクワクしますか?。また、ありたい自分を思い描いたとき、今の自分はどんな状態ですか?
2:この授業はあなたの将来にとってどんな価値があると思いますか?

なぜこの2つを学生に考えてもらうのか。

『learn better』 の著者、ボーザーは学びが深まるために6つのステップの一番最初は「Value 価値」を見出すことと述べています(ボーザー 2018)。

学びたいと思わなければ学ぶことはできない。専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があるとみなさなければならない。さらに、意味づけを行わなければならない。学習とはすなわち対象の意味を知ることである。”

『Learn Betterーー頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 イントロダクション 体系的アプローチより

②ポイントは学生に考えてもらうこと

ポイントは、なぜこれを学習するのかを、学生自らに考えてもらう点です。

なぜこの授業なのか、どういう進め方をするのかなど、先生が伝えることがほとんどではないでしょうか(ちなみに、この説明の仕方もポイントになるかと思います。「なぜ、このなければいけないのか”がどれだけ腹落ちしているか。教員側の説明の仕方も重要になるかと思いますが)。

しかし、学生たち自らで意味を見つけることを通して、内的動機付けにつながるのではないでしょうか。

また、一人ひとりの学生が価値と感じることの前提も違ってくるかと思います。将来どうありたいかによって、授業の学びの何が価値になるかどうかも変わってくるかと思います。だからこそ、教員側が価値を説明するとともに、学生自らにも考えてもらい、共に価値は何かを創造していくプロセスが求められるのではないでしょうか。

課題もあり

もちろん、必ずうまくいくわけではなく、いろいろな課題もあるかと思います。例えば必修授業なのか選択授業なのかにも影響があるかと思いますし、そもそも大学自体に入るときに、なんとなく入ってしまった学生たちに最初から価値を考え見つけてもらうにはハードルが高い場合もあるかもしれません。また、学生たちが考える価値が本当に正しいかどうかは不明点もあります。

そこで授業が始まってから、教員側が、学びと学生たちのモチベーションをリンクさせる意味づけや一人ひとりへの声がけが重要になってきます。

ここらへんは私も常に試行錯誤です。まずやってみる。やってみながら省察して修正していこうと思います。

来週から始まる授業の初めに、学生たち自身に皆さんの授業を通した学生自身の価値は何かを考えてもらうのはいかがでしょうか。


参考文献

アーリック・ボーザー, 2018『Learn Betterーー頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』英治出版



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