説得や評価しながらではなく、共感していくコミュニケーションについて(学生と実際にやり取りした例)
山梨学院大学 学習・教育開発センターの小笠原 祐司です。
今回はNVCなどから学んだ、共感をしていくことについて、実際に学生とのやりとりを参考に書いていきます。
※NVC=Non Violence Communicationの略。非暴力コミュニケーション/共感的コミュニケーションとも呼ばれる。
詳しくはNVC JAPANのホームページから。リンクはこちら
※てっちゃん(小笠原祐司)はCNVC(Center for Nonviolent Communication)の認定トレーナーではありません。今回書かれていることは、個人の見解です。
NVCを知ったのは、この数年。2018年、2019年ぐらい。
NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)とは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセスです。
家族や友人から、職場、組織、国際関係まであらゆる人間関係を、支配、対立、緊張、依存の関係から、自由で思いやりにあふれた、お互いを豊かにし合う関係へと変えることを可能にする考え方、話し方という「方法」であると同時に、私たちに「なんのために、どう生きるか」を問う、根源的な「意識」でもあります。
それは、頭(思考)で判断・批判・分析・取引などをするかわりに、自分自身と相手の心(ハート)の声に耳を傾けることから始まります。
具体的には、観察(Observation)、感情(Feeling)、ニーズ(Need)、リクエスト(Request) の4要素に注目しながら、自身の内なる対話や、相手の言葉の奥の意図の推測、相手との対話を行います。
NVC JAPAN NVCとは
※他にもNVCに関しては詳しく書かれている記事がたくさんあります。
※私のお勧めはこちら。めちゃくちゃわかりやすく、事例も踏まえて書かれているので、何度も読みなおしています。
また、NVCだけでなく、ビジョンインテグレーションアプローチとの出会いも大きな経験でした。
この講座の中で、「融即的共感」について学びました。「融即的共感」は本気で相手になりきり、相手お気持ちに寄り添い、本人すら気づいていない気持ちや大切にしていることを感じ取り、言葉にしていくことで、その人本来の可能性を開く手助けをすることだと理解しています。
そうしたNVCや共感に関しての学びを深め、日々試行錯誤していく日常の中で、学生とのやり取りをする際も極力共感していくコミュニケーションを意識しています。
もちろん毎回スムーズにできるわけではまだまだないのですが、今回は実際におこった学生とのやりとりの中で、どのように共感していったのか、最初の説得するマインドから共感をしていくマインドへの流れや、意識したことを書いていきます。
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ここから実際のやりとりを載せていきます(学生にはnoteに書く許可をいただきました)。
①学生からの相談
本日学生から、LINEで相談を受けます(詳細は内緒)。その時の僕の返信はこちら。
返信した後に、気づいたのは、自分が説得マインド、過去からの経験からでしか話していない、相手に矢印向けられていない状況。U理論でいうとダウンローディングの状態です。
※U理論についてはこちら
ステップ1 ダウンローディング
「過去の経験によって培われた枠組み」の内側で、自分の思考や意見などが再現され、その思考や意見に意識の焦点が当たっている。すなわち、それに意識が奪われている状態を指しています。この状態が継続すると、あたり障りのない態度は繰り広げられるものの、自分の枠組みに合わないものは自動的に排除してしまっていたり、反応的な態度を取ってしまったりする状態になるため、場のエネルギーが停滞し、やがて崩壊を迎えることになります。
LINEで返信した直後、「僕自身が自分の経験則からしか話してなく、こうなんじゃない?こうしたら?と説得モードになっている」と気づきました。
気付けたらからこそ、NVCの4つの要素の1つ、感情に意識を向けてみました。
※ちなみに、学生も「「それも、みんなにちゃんと伝えてみたら?」は素っ気ない感じがしました」と教えてくれました。
②どんな感情なんだろう?
「みんなに伝えたら?」の説得マインド、自分の経験から伝えていくマインド(ダウンローディング)状態で送ったメッセから上記の返信が来ました。
ここから、矢印を自分から学生に向け、「今どんな感情なんだろう?もやもやってどういう状態だろう?」と意識をむけ、相手の立場になり、もし僕がこの学生の立場になったら、どんな感情を持つのかを考えてみました。
その時は、そのもやもやって、こんな感情なのかな、僕が学生の立場ならこうかな。。。と考え、感じてみました。
ただしそうした考えや感情は合っているかどうかは本人じゃないとわからないので、実際に上記のように「意気消沈、ガッカリ、怯える」のような感情を感じたので、試しに伝えてみると
と返ってきました。ここであれ?違ったかも。。。と思うかもしれません。大事なのは、一回で当てなければいけないわけでなく、相手のことを知ろうとするマインドが大事になります。
なので、学生自身から出てきた言葉をヒントに再度相手の立場になって考えてみます。
そこで、新たな感情を感じたので下記のように伝えてみると
と返ってきました。
もやもやしてる背景には、いろんな感情、またこの後出てくるニーズや、大切にしたい価値観があります。実際に感情に名前をつけていきながら、相手が何を求めているかどうかを掘り下げ、心(ハート)に耳を傾けていきます。
③ニーズや大切にしたいことは何だろう?
相手の立場になり、大切にしたいこと、ニーズとして何を求めているのかを考えていきました。もし、私(てっちゃん)が、学生の立場になったときに、不甲斐なさを感じているのは、「貢献ができていないから?」、「認めてもらえないかもしれないから?」と感じたので、そのまま伝えてみました。
ここで、学生自身のニーズが少し見えてきます。そして、ここから、他者共感へ意識を向けていきます。
他者共感の前に、まず自己共感や自分に余裕がないと、相手へ矢印を向けることってなかなか難しい。案外自分の話を自分が一番聞いてあげられてないかもしれません。
そんなやりとりを通して、最後は
と連絡をくれました。
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以上が実際にあった、学生とのやりとりになります。
事例のように、私自身も、最初は説得をしてしまうこと、その背景には私の過去からの経験で評価、判断をしてしまうこともあります。
毎回他者に対して共感を持ってコミュニケーションができているかといいうとそんなこともなく。毎回試行錯誤です。
そして自分に余裕がないとなかなかできないなとも感じています。
大切なのは、自分の状態に気づくこと
「今、自分の過去からの経験から評価、判断してるな」
「今、相手の状態をちゃんと理解せず反応的に対応していたな」
そこから、すぐに相手に矢印を向けていくこと。この繰り返しかなと思います。
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