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【無料】繊細じゃない人が悪い人なわけではない

近頃、HSPという言葉を聞く機会や目にする機会が増えました。
Highly Sensitive Person 
とても敏感な人の気質を指す言葉であり、決して病名ではありません。

いろんなことが気になるあまり、生きづらくて人付き合いがしんどい。
繊細すぎる神経を持つがゆえに、他人事であっても心を痛めてしまう性格の持ち主のことです。

HSPにまつわるネット記事をたまたま目にしていると、その記事の最後に自分がHSPなのかどうかをチェックする項目も載っていたのですが…

これはあまりよろしくない診断だと個人的に思ってしまったので、この記事を書こうと決めた次第です。 

HSP診断 セルフチェック

当てはまるものに○を付けてください

Q1 周りの人の反応が気になる
はい・いいえ

Q2 小さな物音でもなかなか眠れないことがある
はい・いいえ

Q3 隣で誰かが叱られていると心が痛い
はい・いいえ

Q4 友人の悪気ない一言がなかなか頭から離れない
はい・いいえ

Q5 生活や環境が変わると、慣れるまでに時間がかかる
はい・いいえ

Q6 部屋にこもりたくなることがある
はい・いいえ

Q7 「気にしすぎじゃない?」と言われることがよくある
はい・いいえ

Q8 一つの事が気になると他の事が考えにくくなる
はい・いいえ

Q9 気になるとすぐメモをする
はい・いいえ

Q10 繊細で美しい心を持っている
はい・いいえ

結果
「はい」が0 ~ 3 個
⇒HSPの可能性は低い

「はい」が4 ~ 6 個
⇒HSPの可能性あり(中程度)

「はい」が7 ~ 10 個
⇒あなたはHSPです



どっちとも言えないものもありますが、9個か10個の項目に私は「はい」と答えました。
ということは「あなたはHSPです」に該当します。

しかし、私は自分のことをHSPだとは思いません。
この項目のほぼ全てに当てはまりますが、私はHSPじゃありません。

なぜなら、この項目は1000人中999人が7個以上「はい」と答えることが予測できます。
誰もが当てはまることを安易にHSPと呼んでしまうことは、本当にHSPで悩む人に失礼だと感じました。

例えば、Q1の周りの人の反応が気になる

周りの人の反応が気にならない人なんてほとんどいません。対面であれオンラインであれ人間と相対する限り、大なり小なり周りの人の反応は気になるものです。

Q4の友人の悪気ない一言がなかなか頭から離れない

当たり前。仮に悪気はなくても相手から傷つけられたりショックを受ければ頭から離れないのが普通です。

Q8の一つのことが気になると他のことが考えにくくなる

それが人間ってものです。一つのことが頭の中を埋め尽くすと、他のことを考える余裕はなくなります。

極めつけはQ10の繊細で美しい心を持っている

おそらく、この質問に対して躊躇なく「はい」と答えられる人はHSPじゃありません。

「はい!私は繊細で美しい心を持っていますよ!」って主張できる人は繊細じゃありません。
むしろ、「いいえ」と答えられる人のほうがHSPの可能性が高いと思われます。

この10個の項目に共通しているのは、意識が自分に向かっていることです。
ようするに、自分のことに関しては繊細なのか?が問われる質問であるがゆえ、ほとんど全員に当てはまります。

ハッキリ言って、自分のことに対して繊細なのは当たり前です。
人の痛みは理解できなくても、自分の痛みには敏感なのが普通の人間です。

ゆえに、そんな普通の気質の人をHSPと呼ぶことはHSPの人に対して失礼です。

本当にHSPならば、意識は人に向かいます。
自分のことではなく、他人のことに対して繊細な人がHSPです。

友人の悪気ない一言がなかなか頭から離れない人がHSPではありません。
自分が友人に悪気なく放った一言が友人を傷つけていないか心配で頭から離れない人がHSPです。

繊細で傷つきやすい人だと自らアピールする人もHSPではありません。
そのアピールは「自分は繊細な人間だから気をつけてね」と相手に向けて発しているのと同じです。
人に気を遣わせることを密かに強いる行為は繊細と言えません。

どこまでも意識が相手に向かってしまうからこそ対人関係に疲れてしまう。
相手の気持ちを推し量れるからこそ、常に相手のペースに合わせてしまう。
神経が過敏すぎるからこそ、他人事を他人事とは思えず、自分の精神状態にも影響を及ぼしてしまう。

私は専門家じゃないので勝手なことは言えませんが、この類の気質を持つ人がHSPだと思われます。

少なくとも自分事に対して繊細な人を指す言葉ではありません。
先述したように、ほぼ全員に当てはまる当たり前なことをHSPだと括ってしまうことは、本当にHSPで悩む人に失礼です。

ただ、、、

「繊細じゃないから悪い人」というわけではありません。

神経が図太くて心臓に毛の生えたような人物は世の中にたくさんいます。
繊細からは程遠いですが、それだって立派な個性です。

逆に言えば、繊細だから良い人、敏感だから良い人。
そんな安直な話でもないのです。

神経が図太いことも神経が過敏なことも、それぞれの個性でありパーソナリティです。
誰もが当てはまる自称HSPの話の拡散より、それらが優劣のつく話ではないことを理解しておくほうが、よっぽど意味があると私は思ったのです。

HSPではない人にHSPだと公言されてしまうことは、本当のHSPの人を苦しめてしまいます。

上のセルフチェック項目を見て99%の人が「へえ、私もHSPだったんだ」となることは、HSPの人の痛みや辛さをどんどん理解されなくします。

影響力を持つHSPではない人が声高に言うべきことは
「自分はHSPからは程遠い性格だけど、それだって1つの立派な個性!」と強く主張することです。
図太く生きられることだって決して悪くないし
神経が図太いからと言って悪い人なわけじゃない!
そういった考え方が拡散されることで救われる人だっているのです。

多様性の世の中だと言うのなら、そっち側を本音で背負ってくれる人もいたほうがよっぽど多様性の世の中です。

もう一度言いますが、私は上記のHSPセルフチェックにおいて9個〜10個、ほぼ全てのチェック項目に「はい」と答えました。

それでも私はHSPではないと言い切れます。
本当にHSPでしんどい思いをしている人に対して失礼に当たるので、意識が自分に向かっている私はHSPではありません。
私の性格は図太さとはほど遠く、かなり神経は過敏なほうですが、それでもHSPではないです。

自分の心を優先することもありますが、全ての意識が自分だけに向くわけでもないし、自分のことを悪い人間なのかと自問自答することもありますが、実際に悪い人間ではないとも言い切れます。

こういった白黒つけられない微妙な感性を上手に伝えられることで、、、
人には理解されにくい苦しみから解放される人が増えるのかもしれません。


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