【無料】『この人に笑ってほしい』そう思ってもらえたら1つのゴール
年々分かりづらくなっていく明確なゴール。
何をもって成功と呼べるのか…
お笑い芸人が目指すべき場所がボヤけてきている。
ゴールデンタイムで冠番組?
お金をたくさん稼げること?
レギュラー番組を数多く抱える?
劇場の看板になる?
YouTubeの登録者数を増やす?
オンラインサロンの会員数を増やす?
人それぞれだと言えばそれまでだが、ほぼ全芸人が取りに行きたい目標が、かつてはあった。
地上波ゴールデンタイムの冠番組だ。
30代以上の芸人なら、ほとんどが憧れたであろう地上波の冠番組。
これ以上はないほど明確に分かりやすい成功の定義。
『売れた』
自他共に認めるお墨付きがそこにはある。
もちろん、今だってあるが昔とは明らかに違う。
「冠番組は自分で作る時代」
もはや、そんな意見すらもある。
たしかに、自らのYouTubeチャンネルを立ち上げた瞬間、それはもう冠番組の誕生とも言える。
誰かに抜擢されなくとも…
世間的に知名度はなくとも…
実力はまだまだであっても…
カメラとパソコンさえあれば、お手製の番組作りはできてしまう。
それが運良くたくさんの人に観てもらえれば、もしかするとそれで満足できるかもしれない。
時代背景や様々な事情を考慮すれば
もはやそんな時代とも言える。
それ自体は世の中の流れ。全くネガティブなことではない。
実際、スタジオでVTRを見つめ続けるだけのMCを全国ネットのゴールデンタイムでやれたところで、それで満足できるとは思えない。
自分たちの色を全面に押し出して爆発的人気を獲得していくことの難しさ。
不特定多数に届ける地上波において、ニーズに合わせつつカリスマ的存在になることは針の穴を通すような話かもしれない。
お金にしても
今、マジメにお笑いをやって大金を稼ぐことは難しい。
よっぽど別格級に飛び抜けた場合は別として…
マジメにお笑いを突きつめれば、お金からは遠ざかる。
今、お金を寄せつける人は笑いのクオリティより方法論に比重をかける。
日々ネタを考えたり、1つのステージに魂を削ったりはしない。
効率の悪いことは絶対にやらず、とにかく手っ取り早く結果の出るステージと手法を選び続ける。
劇場やライブふくめ、ひたすらにおもしろいことをやり続けた結果、後からお金がついてきた。
それができればお笑い芸人における理想。
ただ、それは今のご時世において時間がかかりすぎる。そこに全てをベットするには並大抵ではない精神力と忍耐力が必要。
お金にこだわれば方法論と戦略だけで突っ走ったほうが手っ取り早いのも事実だろう。
ストイックに面白さを追求すれば、お金はついてこず、個人のカリスマ性だけで地上波を陣取ることも難しい。
そして、効率の良さと戦略の道を選べば芸人じゃないと叩かれる。
ようするに…
ゴールデンタイムの冠番組も、お金をたくさん稼ぐことも、今では
お笑いにおける明確なゴールではない。
ゴールは人それぞれ。
そんな時代なのは理解した上で
実は1つだけある。
時代を超越して存在している明確なゴール。
「この人に笑ってほしい」
芸人にそう思わせる芸人になること。
価値観の多様化を踏まえた結果、逆にそれが普遍的かつ純粋なゴールの1つだと私は思う。
「あの人に笑ってもらえたら嬉しい」
その『あの人』を目指すこと。
「〇〇さん、めっちゃ笑ってましたよ」
「マジすか!?〇〇さんに笑ってもらえたなら良かった」
私の周りでも、こんな会話が時にある。
地位や名誉やお金には変えられない価値がそこには存在し、みんなその時の表情は子供に戻る。
あの子供のような表現を引き出せる芸人。
ここのポジションになれば、もうそれは1つのゴールだと思う。
その最高峰にいるのがダウンタウン。
ダウンタウンさんに笑ってもらえること。
お笑いを志し、芸人を職業にした人間にとって、こんなに嬉しいことはない。
年末の『笑ってはいけない』だって、ダウンタウンさんに笑ってもらうため、各界の著名な人たちがあの手この手で頑張る。
水曜日のダウンタウンだって、ダウンタウンさんにVTRを観て笑ってほしいがために頑張る。
M-1グランプリやキングオブコント、もっと言えばIPPONグランプリやドキュメンタルやすべらない話だって松本さんに笑ってほしい。
だから、みんな頑張る。
次元が違いすぎて、ダウンタウンさんを引き合いに出しても仕方ないと思われるかもしれないが、そんなことはない。
本当におもしろいことをやり続けていれば、ダウンタウンさんレベルとは言わずとも、そんな芸人にはなれる。
冠番組は持てなくても
決して収入は多くなくても
「この人に笑ってほしい」
その存在にはなれる。
いや、なれるかどうかより
そんな芸人を目指すべきだろう。
いろんなことが"人それぞれ"なのは承知していますが
こればかりは人それぞれじゃない。
「あの人が笑ってくれたらそれでいい」
「あの人に喜んでもらえたことで救われた」
実際、お笑いに限った話でもなく
「あの人」でいられることは1つのゴール。
なぜか?
そう思ってもらえることは
これまで自分の歩んできた道が肯定されていることの裏返し。
目には見えない評価軸で認めてもらえること
本当の意味で
一目置かれるとは、そういうことなのでは、、、
「もし、誰も笑ってくれなくても、あなたには笑ってほしい」
仮に目の前で言われたらサブイ感じもするけど、これを言われる人になったら嬉しい。
だから、これは1つのゴール。
お笑いの世界でも、人生でも。
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