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【無料】ニューヨークがNaturalに「お笑い」と真っ向勝負していた

なぜか清々しい気持ちになった。

今、何かと時代が"こざかしい"からだろう。
こざかしい奴らがこざかしい言葉を武器に世界を塗り替えてしまう無秩序な世界。

自然と不自然が同じ場所に共存するカオスな現代だからこそニューヨークからのメッセージに響くものがある。

プロの先人たちが見せてくれたものとは何か?
カッコよさとは何か?おもしろいとは何か?
お笑いとは何か?芸人とは何か?
漫才師とは?コント師とは?

そんなもん理屈じゃなく人を笑わせること以外にない。
漫才もコントも知らねえ。例外はなく笑わせるだけ。
いつもニューヨークはネタの中で"お笑い芸人"を体現している。

何かと見失いがちだが、人を笑わせることがお笑い芸人におけるナチュラル。
未来のエンタメがどーのこーの…
インフルエンサーがあーだこーだ…
「芸人とは何たるか…」という自分語り…

うるさいよ。
プロの笑いの世界にアンナチュラルを持ち込む不届き者に用はない。

悪そうな奴は大体友達ではなく、ニューヨークをおもしろいと思える奴は大体友達。
感性の共有をニューヨークは単独ライブで繰り広げる。

目線の鋭さと現代の切り取り。
そのバランスが見事にハマり続ける。

毎度逃げずに真正面から戦うニューヨーク。
同業者から観てダサいと思わせない彼らの美学。
ダサい人間はダサい人間をイジることが許されない。

いや、イジるなんて言葉じゃ生ぬるい。
彼らはダサい人間を笑いで斬り倒す。
大抵のダサい人間はダサさを隠すための言い訳ばかりに終始する。

正論っぽさを振りかざして情弱や経験不足の人間を見事に欺く。
あろうことか、今はその手口がまかり通る時代であり、世の中は究極の二極化を迎えている。

しかし、テメェのダサさはバレている…とニューヨークは見逃さない。

嶋佐が完璧に憑依して屋敷がキラーフレーズで殴りにいく。
叫びであり、怒りであり、一つのメッセージ。
溜め込んできた不満を放出させながら笑ってしまう。

それは何もネタの中身に対してだけではない。

したり顔で闊歩するフェイクとの格の違いを再確認して心が躍る。プロをナメるな。

ネタの切れ味もさることながら、今のニューヨークには演者としての厚みが乗っかった。

2人とも明らかに垢抜け、信頼のオーラを放っている。
その空気をまとえる根源は真摯にお笑いをやっている姿勢に他ならない。

ただの毒ではない。ただの偏見でもない。
その根底には針の穴を通すような繊細さがあり、俯瞰で世の中を見通した上でリアルな日常を描く物語。

今年から完全に芸能界の真ん中で生きる彼らだからこその着眼点を感じるネタもあり、今の等身大で感じる様々な目線を随所に入れ込む。

売れようが人気者になろうが合わせにはいかず、自分たちのやりたい笑いを体現するだけ。
何者にも媚びず己を磨くうちに、いつしか世間とピントが合い始めた。
これまでニューヨークが何を言いたかったのか?ようやく、世の中にも広く轟いてきた。
放っておいても放っておかない。
真の実力者は見つかってしまう世界なのだ。

「バズらせようとするな!」
屁理屈をこねては出し抜こうとする浅はかな人に向けた痛烈なカウンターパンチ。

ともすれば悪魔に魂を売り渡しかねない世界であるがゆえ、この言葉は現代に響き渡る。
全ての人間の苛立ちであると同時に、全ての人間の隣り合わせにあるもの。

青春時代に刻まれた傷は人格形成に大きく影響し、大人になってからのヨゴレを真っ白に戻すことは不可能に近い。
人は弱く脆く、常に流される恐怖と戦っている。

上手く生きることは想像以上に難しく、誰かのせいにして逃げたい時だってある。
時に、ビルから落ちそうなほどの崖っぷちに追い込まれたとしても、一度動いてしまった汽車は止められない。
どうせ目の前の景色が動いていくのなら、できる限り美しいものを目に焼きつけたい。

我々はこれからも、心からの「なんで!?」をぶつけながら息苦しい世の中を生きていく。
もちろん、時勢や社会の仕組み自体を変えることなど不可能。
また新たなルールや常識が作られ、そのたびに新たな憤慨や理不尽が生まれていく。

モヤモヤした気持ちを抱え、言語化しにくい微妙なストレスが心の中に充満し、そのダメージは日を追うごとに蓄積していくだろう。

でも、そんなときはニューヨークが救ってくれる。
屋敷も嶋佐も我々と同じように疑問を持ち、同じように怒り、同じような違和感を持つ者の同志として
全てを笑いに昇華して溜飲を下げてくれる。

私はニューヨークより少し年上ではありますが、ほぼほぼ同世代。
だからこそ、これだけはハッキリと言い切れます。

今を生きる30代〜40代の人たちに告げたいのですが…
ニューヨークの単独ライブ「Natural」は絶対に観たほうがいい。
どこか心のヒダに引っかかるものがあり、琴線に触れ、このお笑いライブから自分の人生に何かを持ち帰れます。

尖ってるとか、露悪的とか、皮肉とか…
もはや、彼らの創り上げる世界は、そんなレベルにあらず。 
もう、30代も半ばを過ぎればフェイクでは笑えないし、「それっぽいだけのもの」は受けつけなくなっている。
良くも悪くも本物と偽物が見抜けてしまう年代に突入してしまった。

ある程度の経験値がある大人だけど、大人になりすぎていない絶妙なバランス。
その世代ならではの微妙な感覚を肌で擦り込まれている30代〜40代の大人たちの胸をエグるように刺しにくる。効きすぎた場合の副作用は後遺症や依存症。

仮に劇薬だったとしてもアンテナ張っている感性の鋭い大人なら、チケット代金以上のものが返ってくる未来だけは確定しています。

正真正銘、笑いのプロが正面から仕掛ける真っ向勝負。
世に蔓延る不自然を抜群のセンスで笑いに落とし込むことがニューヨークのNatural。

最後に伏線回収しようと決めていましたが、何が伏線だったかも分からずに混乱してしまいました。
そうやって伏線回収に失敗することだってNatural。

素直に笑えることが最大のNatural。

今日笑えたならば、きっと明日も笑える。
その繰り返しが人生のNatural。

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