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外国語教材を選ぶときに私が意識していること

新しい外国語を学ぼうと思ったとき、みなさんどのようなアプローチから入るでしょうか。たぶんこれ、その人の性格や学ぶ動機、外国語が必要となるケースによってばらばらだと思うんですよね。入門書から入る人もいれば、語学学校に行く人もいるし、いきなり現地で外国語を使って生活しながら少しずつ覚えていく場合もあると思います。あと、最近はYouTubeでも外国語コンテンツが充実していますね。

私の場合、新しい外国語を学びたいとなった場合は、大きめの本屋さんに行って教材を手に入れることからスタートします。(最近はなかなか外出ができなくて寂しいですね。)

いろいろ手を出してみたい性格のためか、すでに本棚の5段分が語学関係の本で埋まっていますが(今数えたら18言語!)、外国語の教材を選ぶ際、自分なりに気をつけているポイントがいくつかあるなと思ったので、シェアしようと思います。

1. 音声 (CD) がついていること

これはもう必須ですね。なんだかんだ言って、音から覚えるのがやりやすいです。

特に最初のうちは例文や文法解説などを読んでも、読み方もわからないし知らない言葉ばかりでしんどいので、まずはとりあえず音声をざーっと聞いてみて、「あ、こんな響きの言語なんだな」っていうのをつかみます。母音がよく聞こえるなとか、巻き舌が特徴的だなとか。

あと、全く知らない外国語でも、聞き覚えのある単語に出会うこともあります。あ、ジャパンって言ったかな?みたいな。他にも、よく出てくる単語やフレーズ(挨拶や、はい・いいえなど)もそのまま音として覚えてしまうのがいいですね。

あとあとテキストを読みながら勉強するときにも、頭の中でその言語の読み方がきちんと再生できるとストレスが少なくて楽です。このような理由から、最初は音声付きの教材から入るようにしています。

※古典語の場合は音声がないので、どうしてもテキストベースになってしまいますが…。

2. カタカナ表記で読み方が(できるだけ)書かれていないこと

これも本をぱらぱらめくるときに最初に確認するポイントです。入門書だと、発音のしかたをカタカナやひらがなで書いてあることもありますが、その場合どうしても日本語の発音に引きずられてしまうんですよね。

外国語の発音を日本語の五十音で表そうとすると、どうしても限界があります。特に日本語の母音は「アイウエオ」の5音だけと少ないので、例えば韓国語の 어 (ɔ) と 오 (o) がどっちも「オ」になってしまったり、中国語の e を表現しようと思うと適切なカタカナがなかったり、不都合が出てきます。また、例えば r の発音は言語ごとに特徴が出やすいですが(英語、フランス語、スペイン語でも全然違いますよね)、その書き分けも難しいです。なので、1. で書いたようにまずはその言語の音から覚えてしまって、あとはカタカナに頼らず、その言語の文字と覚えた音を対応させていくのが良いように思います。

アラビア語やタイ語など、ラテン文字じゃない言葉の場合は文字を覚えるまでが大変なので、カタカナに頼りたくなる気持ちもありますが、そこは頑張りどころですね…!

※とはいえ、言語によっては書かれたとおりに読まないケースも多いので(フランス語など)、発音規則の確認のために目安として国際音声記号 (IPA) やローマ字表記、カタカナ表記を参考にするのはありだと思っています。あくまでも「外国語の発音を全部カタカナ読みする(カタカナ読みに引きずられる)のを避けたい」という趣旨です。

※中国語(普通话)の場合はピンイン(拼音)で覚えましょう!ちゃんとした発音を理解するためにも、ピンインは必須です!

3. 初級文法の説明がひととおり載っていること

いわゆる会話集ではなくて、動詞の活用、名詞の格変化、過去時制・未来時制の作り方、条件法・接続法、…などなど、文法事項を説明しているものがいいですね。「なんでこの文の場合はこの形になるの?」という疑問に対してきちんと答えてくれるのは大事です。そういう意味で、文法というのはその言語のルールを明文化して教えてくれるので、言語体系を整理して覚えるのに役立つツールだと思っています。

もちろん、ある程度学習が進むと、この表現の場合にはこの単語が適切(語法、コロケーション)とか、一概に文法規則だけで説明できるものではなく、その都度覚えていかなきゃいけないものも出てきますが、最低限その言語の構造を理解するために初級文法の知識があると、その後の学習もスムーズだと思います。

4. 文法項目ごとに具体的な例文が多数載っていること

言語は使って・使われてなんぼですから、動詞の活用表や名詞の格変化の一覧だけではなく、「それを使って具体的にどういう文が表現できるの?」という例がたくさん載っているのが望ましいです。規則の概略をざっと理解したら、あとは例文を頭に叩き込んで体で覚える、というのも時には大事。

「えっと、これはpouvoirの2人称複数の条件法現在だから、je pourrais, tu pourrais, il pourrait, nous pourrions, vous pourriez, ils pourraient の pourriez か…」とするより、Pourriez-vous ...? (〜していただけますか?) という例文で覚えてしまったほうがいい、という感じです。これでその文法事項を使ってよく使われるフレーズや、語のかたまりを覚えることができますね。

5. 練習問題とその解答が充実していること

やっぱり語学はアウトプットが大事です。なんとなくテキストを流し読みして、文法事項の解説を読んでふむふむと思っても、いざ使おうと思うとなかなかうまく使えないもの。問題を解いて理解度を確かめる、という反復練習を繰り返してようやく身についてくるものかなと思います。なので、問題集としても使えるくらいの分量がある教材だといいですね。

あと、できれば解答・解説が充実していてほしいところ。なんでこうなるのか?という説明や、初学者が間違えやすいポイントを丁寧に解説してくれると嬉しいです。

具体的におすすめは?

言語によって教材の数や特徴もばらばらなので、これが鉄板!というものはなく、上の5項目を基準にしてその都度気に入ったものを選んでいますが、白水社の『ニューエクスプレス』シリーズは候補に上がることが多いですね。(最近リニューアルして『ニューエクスプレスプラス』シリーズになりました!)

CDは必ずついてくるし、全20課から成り、会話スキット→文法説明→2課ごとに練習問題、という構成です。前半10課はカタカナで読み方が書いてありますが、後半10課はその言語の文字のみです。欲を言えばもうちょっと文法事項が詳しく、練習問題が多いといいですが、オーソドックスで学習しやすい内容になっており、最初の1冊としては手が出しやすいですね。

また、カバーしている言語の数も多いので、なかなか教材が少ないマイナーな言語を学びたいときにも安定のクオリティを提供してくれるため、重宝しています。

また、今回は「初めの1冊」に注目して選び方のポイントを書いてきましたが、次の1冊として気に入っているのが三修社の『口が覚える』シリーズです。

これは文法項目ごとに10ずつ例文があって、CDでは日本語→外国語の順に読まれます。これを使ってひたすらシャドーイングを繰り返すことで、文のまとまりを音で覚えながら、フレーズをすらすら言えるようにする練習ができます。同じ三修社から『耳が喜ぶ』というリスニングトレーニングのシリーズも出ているので、そちらも気になるところです。

今回、私なりの外国語教材を選ぶポイントを紹介してきましたが、個々人の学習スタイルや目的に合わせて、選ぶ観点も変わってくるかと思います。この記事がみなさまにとって、自分にぴったりの教材と出会うための参考となれば幸いです。

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