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<ラグビー>南アフリカ協会が,スーパーラグビーを離脱し,PRO16入りを議決

参考とした記事
https://www.nzherald.co.nz/rugby/news/article.cfm?c_id=80&objectid=12369149

南アフリカラグビー協会チーフエクゼクティヴのジュリー・ルーは,現在スーパーラグビーに参加している,ブルズ,ストーマーズ,シャークス,ライオンズの4チームは,2021年シーズンから,英国を中心に行われているPRO16(今年まではPRO14)に参加することを,投票で議決したと発表した。

(PRO14参加チーム)
イタリア:ベネトン,ゼブレ
ウェールズ:カーディフブルーズ,ドラゴンズ,オスプレイズ,スカーレッツ
アイルランド:コナハト,レインスター,マンスター,アルスター
スコットランド:エディンバラ,グラスゴーウォリアーズ
南アフリカ:チーターズ,サウザンキングス

現行のPRO14には,スーパーラグビーを除外された南アフリカの2チーム,チーターズとサウザンキングスが参加しているが,この決定にPRO16側からの合意が得られた後は,現在の2チームに代わって,スーパーラグビーに残っていた4チームが参加することになる。

また,ルーによれば,NZ協会が提案した14チームによるスーパーラグビーの存続案では,南アフリカチームが参加することは困難であり,このことは共同経営者やTV放映権関係者からの同意を得ているという。

ただし,スーパーラグビーとは別にザラグビーチャンピオンシップ(TRC)を運営するSANZAARには残る意向を示しているため,TRCでの,南アフリカ,アルゼンチン,オーストラリア,NZの4ヶ国による大会は,継続できる見込み。またこの件は,11月に開催される今年のTRCで話し合われる予定となっている。

一方,今回の南アフリカチームの離脱とは別に,NZ協会では,2021年スーパーラグビーアオテアロアとして,NZ5チーム(ブルーズ,チーフス,ハリケーンズ,クルセイダーズ,ハイランダーズ)にパシフィックアイランダーのチームを加えた6チームの大会を想定していることも影響したとの見方がある。また,COVID19により,国境をまたぐチームの移動が非常に難しくなっていることは,大きな要因と見なされている。

南アフリカの離脱により,1996年に開始されたスーパーラグビーは終焉を迎えることになった。開始当初は,南アフリカから4チームが参加し,2016年には6チームまで拡大していた。

これに対して,NZ協会チーフエクゼクティヴのマーク・ロビンソンは,驚くような話ではないとして,以下のようにコメントしている。
「南アフリカ協会は,以前から北半球シーズンに参加したいとの意向を度々伝えていた。一方SANZAAR参加協会は,2020年から2021年により地域に密着した大会開催について,同意している。そのため,こうした度重なる変更については,免れえないものであり,我々としては早急に対応することが求められる」
「我々は,今年のアオテアロア大会では良い刺激を得られる運営ができたところ,2021年にはさらに発展したものにしたいと願っている。一方,我々は南アフリカがSANZAARのメンバーとして引き続き残ることを確認しているところ,こうしたことは南アフリカ協会とNZ協会との強いつながりを示すものである」
「これからオーストラリアで開催されるザラグビーチャンピオンシップにおいて,南アフリカがどういうリアクションを取るのかに注目している」

【個人的見解】
スーパーラグビーの面白さは,世界トップの,NZ,オーストラリア,南アフリカ(後にアルゼンチン,一時は日本も参加)の各クラブチームが参加して,世界を横断しつつハイレベルのゲームを戦うことにありました。

しかし,今年のCOVID19で大会運営が不可能となった一方,従来から,移動距離の長さから不利を被っていると主張する南アフリカチームは,スーパーラグビーで期待できる程の好成績を残せないことに加え,北半球との時差の少なさから,英国のリーグに参加することをずっと検討してきた歴史があります。

それが,COVID19と来年からのオーストラリアやNZを中心にした地域大会創設の動きによって,自ずと南アフリカは,北半球の大会に移動せざるを得なくなったものと言えます。また,南アフリカとしては,オーストラリアやNZと対戦しなくなることは,チーム強化のためにも,また興行的にもダメージになるので,TRCには残ると思います。

ただし,これまでと違ってスーパーラグビーでオーストラリアやNZの感触をつかめていたのが,いきなりTRCで対戦するので,その分の不利は否めないでしょう。また,北半球のテンポが緩慢なラグビー環境でプレーする選手たちが,いきなり南半球の速いテンポのラグビーに順応するのは難しくなると思います。

一方のオーストラリアやNZとしては,フィジカルの強い南アフリカ勢とプレーするチャンスが減るばかりか,スーパーラグビーで既に順応している,南アフリカ特有の高地での試合に対する対応が退行してしまう可能性があります。

こうしたことを総合的に考えると,オーストラリアやNZよりも南アフリカの方がダメージは大きいようです。

なお,もしも南アフリカがTRCも抜けることになれば,シックスネーションズに参加する方向となるため,クラブレベルだけでなく,テストマッチレベルでも北半球チームは,常に強豪と対戦する環境が整うため,メリットは大きくなると思います。

従って,この決定で一番得をするのは,北半球チームではないでしょうか。

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