見出し画像

<ラグビー>2月第3週末に思うこと

1.今週はシックスネーションズがお休みだが、最後のトップリーグが始まっているほか、オーストラリアのスーパーラグビーも開始している。また、来週からは待望のNZのアオテアロアが始まる。ダニエル・カーターが引退を発表したが、2023年RWCへ向けて、新たな世代の成長に期待したい。

その新たな世代として、流通経済大柏のNZ人ワーナー・ディアンズがいる。彼が大学進学でなくトップリーグの東芝入りを決めたことは、大正解だと思う。彼のようなすでに身体もできていて、スキルもある選手は、大学の甘い環境で4年間を浪費することはマイナスでしかない。一刻も早くトップリーグという優れた育成環境に入ることが、日本代表育成のためには必須だと思う。そして、これからも、ディアンズの例に従う優秀な高校生プレヤーが続くことを期待したい。

2.NZ及びオーストラリアの試行ルール

世界のラグビーでは、これまで最新・最強のリーグとして牽引してきたスーパーラグビーが終わり、またCOVIDー19によるプロスポーツ興行に対する制約もあって、様々な面で構造改革が行われつつある。おそらく、これまでの単純なプロ化一辺倒の考えた方とは異なるものに変化していくと思うが、これについては現時点での試論を後述しておく。さらに時間をかけて思考していきたい。

その中で、表題になっている試行ルールがある。これは、ラグビーリーグを知っている人には馴染みのあるものだが、ユニオンしか知らない人には新鮮かもしれない。

(1)試行ルールその1:キャプテンからのレフェリーへの要求権

そもそも、ラグビーのレフェリーは神聖にして侵さざる部分であったが、キャプテンはレフェリーに対して、チームが反則した理由等を確認することはできていた。今回はこれを拡大し、キャプテンからレフェリーに対して、プレーの再確認を要求できることとなった。

その対象となる条件は、(ア)トライまたはプレーの判定後、10秒以内に申し出ること、(イ)明確な理由があること、(ウ)TMOでひとつ前のプレーまで確認できる、(エ)ファウルプレーは、いつでも要求可能、となっている。

(2)試行ルールその2:ゴールライン上でのドロップアウト

これまで、インゴールでボールヘルドになった場合などは、アタック側のゴール前5mスクラムで再開していたが、これが以下のような場合は、ディフェンス側ボールによる、ゴールライン上からのドロップアウト(キック)へ変更となる。

(ア)アタック側のインゴールでのボールヘルド、(イ)アタック側のインゴールでのノッコン、(ウ)アタック側のキックを、ディフェンス側が自陣インゴールでタッチダウン。

この結果、これまでのゴール前5mスクラム及びその組みなおしに要する時間が相当に短縮される一方、ボールの良く動く面白いプレーが増加することが期待されている。

3.ダニエル・カーターの引退について

カーターは、少なくと21世紀に入ってから最高のSOだったと思う。特に2005年のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦では、SOとして必要なプレーのすべてを体現した選手として、ラグビーの理想となっていた。彼は、プレースキック、タッチキックが特に優れていたが、パスやランも最上レベルにあった。さらに、タックルの上手さは特筆すべきものがあって、生まれつき身体の使い方が上手く、まともにぶち当たるのでなく、まるで合気道のように低いポイントで確実に倒すスキルは、どのラグビー選手もお手本にすべきものであると思う。

コーチとしての資質はまだ未知のものがあるが、SOというポジションからも、指導者または戦術家として優れたものがあると期待している。

4.スポーツは、アマチュアに戻るのではないか

まだ、十分な論考になっていないので、思いついた命題を挙げてみる。

プロ化による通常以上の肉体の酷使が発生しているが、これではまるで古代ローマの剣闘士の如く非人道的な匂いすらしてくる。オリンピックの原点に習い、スポーツの成果は金銭ではなく名誉のみにすべきでないか。

スポーツをビジネスとして金に結びつけるのであれば、生身の肉体を酷使するのではなく、バーチャルの仮想世界で実行することが良い。そうすれば、現在問題化しているスポーツ選手の脳震盪などの傷害発生は防げるし、バーチャルの世界であれば、いくらでも激しいプレーができる。

だから、生身の人間は、本来スポーツの持っていた余暇の愉しみを味わうために行うことに限定する。オリンピックやワールドカップなどの金を賭けて競うものは、バーチャルの世界に限定することによって、むしろより経済活動としての制限がなくなるのではないか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?