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<ラグビー>2023~24年シーズン(12月第五週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
 
 私の棲んでいる場所にある都営住宅が、次々と取り壊されて更地になっていく。一部は新たな高層の都営住宅に建て替えられているが、十年ほど前は古い都営住宅が立ち並ぶ一種壮観な風景の地域だった。そのうち、倉庫だったところにマンションが次々と建てられ、街並みは一新していった。今や、マンションに住む若い家族とインド人や中国人、都営住宅に住む老人が同居する不思議な街の風景になっている。
 
 取り壊された空き地の周囲には、金属の武骨なフェンスが建っているが、その下から朝顔が花を咲かせていた。遠い将来、地球上から人類がいなくなった後もこうして植物は繁茂していくのだろう。その廃墟となった風景を想像させてくれた。 


1.高校ラグビー全国大会 花園

 今年もまた、花園がやってきた。コロナによる中止や無観客試合などの理不尽なことがない、当たり前にラグビーがやれることの幸せを感じる。そして、いつも思い出すのは、息子の高校ラグビー時代になる。息子は、私の代わりを務めるように過酷な高校ラグビーを経験してくれた。残念なことに息子の代は花園へ行けなかったし、息子も花園の芝でプレーすることはなかったけれど、この思い出はずっと私の宝物になっている。

一回戦結果

12月27日

青森山田14-33高鍋
 高鍋は安定していた。青森山田は実力が出せなかった。

天理14-7早稲田実業
 前半は天理、後半は早稲田実業がペースを握るも、天理の2回のトライセービングタックルが勝負を決めた。難しい判断を瞬時に行った審判団の仕事を称賛したい。やはり天理は強いし、東京勢はまた一段とレベルが下がったようだ。

山梨学院26-28長崎南山
 取ったり取られたりのまさにシーソーゲーム。しかし、PGで着実に点差を縮めた長崎南山の試合巧者ぶりが勝利を引き寄せた。この日のベストゲーム。山梨学院は、TV解説によれば至れり尽くせりの環境にあるようだから、これから有能な中学生を集めて益々強化していくと思う。そして大学の山梨学院も強くなっていくことだろう。

静岡聖光36-15秋田工
 静岡聖光FB小野澤謙真は、元日本代表FB小野澤宏時氏の息子。そして、父譲り(仕込み?)のスキルで、4トライの荒稼ぎ。ゴールキッカーも務め、一躍スター候補になった。強いチーム相手のディフェンス力を見てみたい。

高知中央6-67流通経済大柏
 流通経済大柏の方があらゆる面で実力が優っていた。シード校に入らないのが不思議なくらいの出来。高知中央としては相手が強すぎた。

日本航空石川33-21関商工
 実力が拮抗した同士の対戦ながら、最後は日本航空石川のFW力が優った。関商工は奮闘が実らなかった。

若狭東・敦賀工業7-62目黒学院
 やはり、花園で合同チームは厳しい。一方の目黒学院は実質東京でNO.1のチームとしての存在感を見せた。

高松北48-3倉吉東
 高松北が上手すぎると思ったら、大阪の中学ラグビー出身者が多くプレーしているとのこと。ラグビー過疎地域は、こういうやり方で強化するしかないのかも知れない。また、多くの有能な選手がプレーできる場を得られるのは、地元の選手が活躍できないことを嘆くことよりも、日本全体を考えれば良いことだと思う。なお、高松北は15人だけの選手の一人が怪我でメンバー外となったため、大会規定により二回戦は不戦敗扱いとなった。

仙台育英46-10黒沢尻工業
 東北勢同士の対戦で接戦になると思ったら、仙台育英の方が強かった。この勢いを二回戦にもっていきたい。黒沢尻工業は、昔のFWの強さを復活させたい。

12月28日

松山聖稜52-5近大和歌山
 明治カラーのジャージを着た松山聖稜のゴールキッカーは、けっこう上手いと思う。近代和歌山は、チームとして熟成していなかった。

明和県央54-5北越
 明和県央はけっこうチーム力は高いと思う。北越は1トライ取ったことが成果。

鹿児島実業17-12札幌山の
 実力が拮抗した同士の対戦。そして、札幌山の手がほぼ勝利を手中にしたかに思われたが、鹿児島実業の粘り強さが勝利を呼び込んだ。

朝明22-10九州学院
 九州学院の、ノーサイド直前の自陣から多くの選手でつないだトライは見事だった。しかし、得点で先行した朝明が逃げ切った。

倉敷13-22川越東
 川越東が優勢に試合を進めたが、最後にトライを連取されてスコアは競った。延長戦があれば、倉敷にも勝機があったかもしれない。

飯田OIDE長姫0-75高川学園
 高川学園は楽勝したが、相手が弱すぎた印象がぬぐえない。もう一県一代表制は再考した方が良い。

遠軽0-45城東
 城東は意外とスキルが高いチームだと思う。遠軽は、花園出場で終わってしまうのが残念。

山形中央10-88光泉カトリック
 光泉は、滋賀県代表だが京都の中学ラグビー経験者が主力。ここは実力が違いすぎた。山形中央も、花園出場だけで終わってしまう。一県一代表制のマイナス面だろう。

京都成章72-12富山第一
 京都成章は、シードされてもおかしくないチーム。むしろ富山第一が12点取ったことが立派。

名護46-14松陰福島
 競った試合になると思ったが、全てで名護が上だった。松陰福島は、よく健闘したと思う。

二回戦結果


12月30日

佐賀工業52-7高鍋
 同じ九州勢の対戦だったが、予想外の実力差があった。シードになった佐賀工業としては、初戦を無事に勝ち上がったことで勢いをつけたい。

天理27-15関大北陽
 天理の早稲田実業を抑えたディフェンスに注目していたが、期待通りの素晴らしいディフェンスだった。関大北陽は、ボールキャリーを継続しながらなかなか得点できない構図は、早稲田実業と同様に天理の術中にはまった印象。こういう勝ち方をしている天理は、試合を重ねるごとに強くなっていくと思う。

茗渓学園50-3日本航空石川
 BKのチームである茗渓学園が、FWで優ったら勝負は決まってしまう。茗渓学園は、意外と上位に行きそうな感じがした。日本航空石川は、チーム力をもっと磨きたい。

川越東19-31光泉カトリック
 関東では埼玉県勢の弱体化も心配だ。しかし、川越東は進学校というだけで、メディアが贔屓している感が強い。進学率とラグビーとは無関係と思うのだが。勝った光泉もミスが多かったので、次は厳しい戦いになりそう。

石見智翠館36-26京都成章
 二回戦屈指の好カード。ゲーム自体も白熱して良い内容だった。どちらが勝ってもおかしくなかったが、終始スコアで先行した石見智翠館が逃げ切った。京都成章は良いプレーが随所にあったが、最後は時間との戦いからミスが出てしまった。二回戦で敗退するのは惜しいチームだった。

朝明0-71東福岡
 最初から最後まで東福岡の横綱相撲と書こうとしたら、最後の数分間に東福岡に詰めの甘さが出ていた。これからの試合にどう影響するか?まあ、三回戦から本気モードになるのだろう。

静岡聖光5-55目黒学院
 小野澤氏の息子がどこまで活躍できるか?ここで活躍したら、かなり将来有望と期待したが、チーム全体が劣勢だと、さすがに活躍できる余地はなかった。目黒は意外と強いかも知れない。少なくとも東京勢では早稲田実業より良いチームになっている。

中部大春日丘(不戦勝)高松北
 高松北は、15人の選手が揃わないため不戦敗扱い。こういうケースを無くすような規約改正はできないのだろうか。例えば、同じ県であれば、他チームから選手を補充できるとか。さらに高松北のような少人数チームは、花園に行く前に同じ県の他のチームから10人まで補充できる(つまり、国体代表と同じ扱い)にしても良いと思うが、どうだろうか。

仙台育英0-74大分東明
 予想外の力の差があった。東北勢の弱体化は東京勢の弱体化以上に心配だ。大分東明は、次が正念場になる。

報徳学園45-13明和県央
 実力接近の良いゲームを期待したが、報徳学園の実力が優っていた。西高東低の勢力図は変わらない。

鹿児島実業7-57大阪桐蔭
 鹿児島実業が先制して、もしかしたらと一瞬思ったが、その後は大阪桐蔭がペースを握り、順当に勝利を収めた。

尾道21-32流通経済大柏
 実力接近の好ゲームになると期待したとおりの試合。しかし、流通経済大柏がFWの強さ及びチーム熟成で尾道を上回った。

長崎南山5-71國學院栃木
 両チームとも展開中心なので、ラグビーらしいラグビーが見られ、モールからのトライはないだろうという期待は、実力に優る國學院栃木が一方的に攻めたので、半分は叶ったが、長崎南山の唯一のトライはモールからのものだった。

桐蔭学園90-0松山聖稜
 優勝候補の一角が堂々の大勝。松山聖稜には家賃が高すぎた。このような試合が二回戦にあるということは、やはり花園は二部制にして、一回戦出場チームを中心に二部リーグを作り、二回戦勝利チームを中心に一部リーグを作って、それぞれ優勝を争うのが良いと思う。

高川学園0-86東海大大阪仰星
 ここも優勝候補の一角が横綱相撲。高川学園には可哀そうなゲームになったと思う。

城東21-38名護
 名護が先に得点したのが最後まで影響した。そして、名護のFB宮里快一が4トライの大活躍。彼は沖縄ラグビーの希望の星になると思う。リーグワンのみならず、日本代表まで上り詰めて欲しい。

三回戦組み合わせ


1月1日

佐賀工業対目黒学院
 目黒がどこまでやれるか?

流通経済大柏対天理
 天理の勢いに期待。

中部大春日丘対國學院栃木
 春日丘は不戦勝だった影響(これが初戦となる)があると思う。

茗渓学園対大分東明
 数少ない関東勢の茗渓学園に期待。

桐蔭学園対光泉カトリック
 桐蔭学園の横綱相撲が続くでしょう。

報徳学園対東海大仰星
 三回戦でもっとも接戦になりそうなゲーム。

石見智翠館対大阪桐蔭
 石見智翠館はかなりやれるのでないか。

名護対東福岡
 名護としては1トライでも取りたい。

2.各種ニュース等

(1)プラネットラグビーが選ぶ、世界のトップ10選手


 プラネットラグビーが、世界のトップ選手50人を選んでいて、最後のトップ10人を発表した。

10位 レヴァニ・ボティア(フィジー)FL、CTB、WTB
9位 アーロン・スミス(オールブラックス)SH
8位 シャルル・オリヴォン(フランス)FL、NO.8、LO
7位 ダミアン・プノー(フランス)WTB
6位 ウィル・ジョーダン(オールブラックス)WTB、FB
5位 バンディー・アーキ(アイルランド)CTB
4位 ピータースティフ・デュトイ(南アフリカ)FL、LO
3位 アントワーヌ・デュポン(フランス)SH
2位 エベン・エツベス(南アフリカ)LO
1位 アーディ・サヴェア(オールブラックス)FL、NO.8

 10位にボティアを選んだのは意外だったが、FLとBKを兼任する選手は珍しいので、良い選出だと思う。また、ヨーロッパ勢またはRWCで優勝した南アフリカ勢を中心に選出する傾向がある中で、フランスのデュポンや南アフリカのエツベスを抑えて、オールブラックスのサヴェアが堂々の1位に選ばれたのは、実に悦ばしい。

 惜しくもRWCでは準優勝だったが、やはり世界ラグビーの中心はオールブラックスであり、またオールブラックスの中心であるサヴェアが、世界トップの選手に君臨していることを再認識した。

 ちなみに、RWC4位のアルゼンチンからは、FLマルコス・クレメールの14位が最高、3位のイングランドは、LO・FLのコートニー・ロウズの30位が最高となっている。また、18位にスコットランドのSOフィン・ラッセル、29位にサモアのFL・LOのテオ・マクファーランドがそれぞれ入っている。

(2)WRのシドニー会合で、多くの改善策が提案される


 先般シドニーでWR(ワールドラグビー協会)の定期会合が開催され、先のフランスRWCのレビューが行われた。この中では、RWCの4年ごとのサイクルで強化されるスピードに、ティア2グループがついていくのが大変だとの報告があった。

 また、会合に参加したウェールズ監督のワレン・ゲイトランドは、ラグビーの進化のためには、現状のアタックよりもディフェンスが有利な状況を改善すべきとして、英国のデイリーテレグラフ紙に改善策を掲載しているところ、概要は以下のとおり。

1.キックの減少とキッキングゲームの割合を減らすこと。例えば、RWC準々決勝のウェールズは、あらゆるスタッツがアルゼンチンに優っていたのにも関わらず、キッキングゲームにより負けている。
2.レフェリーなどのオフィッシャルに対する敬意を増すとともに、RWCのバンカーシステムを筆頭に、ゲームの内容にコミットしすぎているきらいがあることの改善。
3.22m以内でキックボールをキャッチした場合の「マーク」の廃止。ゲームの迅速な展開を阻害している他、キッキングゲームを増やす一因にもなっている。
4.レッドカードをスーパーラグビーのように20分の数的不利に制限すること。これは北半球チームが反対しているが、ゲームを公平にプレーするためには必要である。

5.スクラムの迅速化。ラインアウトにおいては、セットする前にハドルを組んで時間を浪費することが制限されているが、スクラムも同様に時間をかけてセットすることを制限して、スピードアップしたい。
6.「50:22」のルールを、パスで自陣に戻した場合にも適用したい。そうすることで、ディフェンス側の陣形が変わってくる。
7.ゴールラインドロップアウトに代えて、5mスクラムまたはラインアウトあるいはフリーキックをアタック側に与えるようにする。
8.交代制度の再検討。RWCで優勝した南アフリカは、リザーブにFWを7人入れたが、これはチームのFW8人(リザーブを入れて計15人)中7人(リザーブを入れれば、14人)は40分しかプレーしないことを意味している。リザーブからのプレーが怪我人などに限定されていた時代は、最後の20分間にFWが疲弊することで多くのアタックチャンスが生まれていたが、今はリザーブがあることでこれがなくなっている。そのため、交代人数の制限や怪我人に限定するなどの変更が必要なのではないか。

(私見)
このゲイトランドの意見に大賛成だ。ラグビーはディフェンスを競うスポーツではなく、またゴールキックの制度を競うスポーツではない。なによりもトライを取り合うスポーツである。そして、そのトライはモールなどの密集から取るのではなく、パスやランニングで取り合うスポーツだ。だから、15人制もセヴンズのようにトライを競い合う内容にならないと、早晩スポーツとしての魅力を失ってしまうだろう。そして、将来的には13人制リーグラグビーとの統合があるかも知れないし、私はそうなっても不思議でないと思う。

* 本日の投稿で、今年は最後となります。閲覧いただいた皆様、フォローいただいた皆様、「いいね」をいただいた皆様、そしてコメントいただいた皆様には、大変にお世話になりました。私も、ラグビーやその他の分野で、刻苦研鑽していく所存ですので、少しでも前進した姿をお見せできることを願っております。どうぞ来年も引き続き宜しくお願いいたします。また、良いお年をお迎えください。


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