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おしまいのデート

おしまい

と付けられてるけど、そこからまた始まりが始まる、そんな感じのおしまいの出会い、別れが書かれた5つの短編集です。
瀬尾まいこさんワールド全開の、ほっこり、ほんわり、読んだ後に自分が優しくなれてるような、そんな気にさせてくれる内容でした。

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▼ おしまいのデート

表題作のこの小説は、両親が離婚して母親と暮らすようになった女の子のものがたり。
その女の子は、月に一度、父親と会っていた。
でも父親が再婚し、それ以降は、月に一度、なぜか代わりに、おじいちゃんと会うようになった。
毎回毎回、ソフトクリームを食べ、海の見える岬まで行って、たわいもない話をして。
そのデートも今日で最後。
母親も再婚が決まり、そこには新しく弟もできる。
これからは、その新しい弟とのデートが忙しくなるのかもしれないな…

ほっこりします。



▼ ランクアップ丼

毎月決まった日に、60をとうに超えた男性と20代の男性は必ずその食堂で、たまご丼を食べる。
母子家庭に育った20代の男性は、高校のころ、すこしすさんだ生活をしており、学校でも荒れていた。
ある日、日頃から良く思ってなかった生徒と大喧嘩になり怪我を負わせる。
その時以降、うえじぃ、とあだ名されていた別のクラスの中年教師から、ことあるごとに、たまご丼をご馳走されるようになる。
その男性は、うえじぃのおかげで就職が決まり、その日以降、今度は、男性の給料日には、たまご丼の恩返しをするようになる。
うえじぃは、教え子からおごらるわけにないかないと拒んでいたけど、自分が奢った回数を覚えていて、その奢った分だけ、恩返しを受けるということになっていた。
そして今月、最後の恩返しのたまご丼の日。
うえじぃは…

ほっこりします。



▼ ファーストラブ

高校野球部員の男の子と、クラスでは目立った存在ではない男の子が、初めてデート。
ダブルデートではなく、2人で、デート。
男2人で。
これまで、ほとんど接触のなかった2人だったのだけど、目立った存在ではない男の子が、野球部員をデートに誘う。
え?告られんの?
と思ったけど、それは勘違い。
最初はぎこちなかった会話も、次第に噛み合ってきて、楽しい時間となる。
しかし翌日、その男の子は突然転校する。

ほっこりします。



▼ ドックシェア

30代バツイチ女性と、若いアルバイト生の物語。
女性が帰り道、公園で捨て犬と出会う。
翌日、その公園を通りかかると、犬の段ボールの中に中華料理が置かれていて、犬にとっては迷惑。
翌日も、その翌日も、中華料理が置かれていて犬は汚れまみれに。
中華料理店でバイトをしている男の子が、親切心から置いて行ってたことが分かると、2人で共同して、犬の世話をすることになる。
赤ちゃんだと思っていた小さなその犬は、実はもうかなり高齢の雌犬で…

ほっこりします



▼ デートまでの道のり

父子家庭に育ったカンちゃんは、担任の先生にとても意地悪。
担任の先生は、実はもうすぐカンちゃんのお父さんと再婚するのだ。
先生もお父さんも、カンちゃんには気付かれないようにしていた。
担任の先生は、お母さんになる前に、担任と園児として、ちゃんと関係を築かないと、うまくいくはずがない!と、仕事としてカンちゃんと向き合う。
でもカンちゃんは、本当は…

ほっこりします。


どのデートも、どの2人も、

おしまい

なのではなく、

これから

なんです。

だから、とても爽やかな気持ちになります。


個人的には、
ワンランクアップ丼
が泣けたなぁ。


以上でーす。

#夏の読書感想文

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