「そのカイゼン、本当に必要?」Webマーケティングを一歩引いて考えてみる。


読んでほしい方

  • コンサルティング業を始められる方

  • 中間管理職として新しく仕事を始められる方

  • 事業承継をする(予定されている)方


書いてある事

  • 新しい事をするときは、導入して終わりではなく、その先の運用までしっかりと考える事。

  • 間違った正義感は劇薬。本当に正しいか、指差し確認をしてから注力しよう。

  • 古いものが悪いとは限らない


こんにちは。ゆうじです。今回は一歩引いた目線でWebマーケティングを考える為に、少し違った趣旨のお話をします。最後には戻ってきますので、少し長い記事になるかもしれませんがご容赦くださいませ。

さて、「事業承継」という言葉を聞いて、何が頭に思い浮かびますでしょうか。

私はその当事者なのですが、これが結構考える事やジレンマが多いので、今回はそのテーマとWebマーケティングを絡めて少し書いてみようと思います。

○○家具の△△△社長
少し前の話ですが、一番身近な例として○○家具の△△△社長の例がわかりやすいと思います。経緯が書いてある一番わかりやすい(と思っている)本をご紹介します。
さてこの一件ですがざっくり話すと、こんな感じです。
お父様が一世代で作り上げ、上場までしたこの会社。娘を入社させたら社長の座を奪われてしまいました。娘が社長になった会社は業績悪化して買収され、追い出された親父さんが新しく立ち上げた会社は好調です。ってお話です。
興味のある方は下に経緯を書きますので読んでください。興味が無い方は次の区切り線まで飛ばしてくださいネ。


何があったの?
親父さんが手塩にかけて育て上げてきた会社があって、そこに息子さんがいらっしゃったわけですが、後から娘さんが入ってきて、私が社長になる、と言い出したわけです。ちなみに娘さんはMBA(経営学修士課程)も持ってて、経営については知見があったようです。

お父様は優秀な娘さんに継がせようと思っていたそうなんですが、途中でやっぱり息子さんに継がせる、と意見を変えてしまったんです。その理由は、娘さんの経営方針にありました。
「今まで大事にしていたお客様を大事にせず、新しいお客様を取りに行く」という大胆な路線変更を打ち出し、お父様と大喧嘩になってしまったんです。

ところが。上場企業ともなると発行している株式は多く、本人たちだけでは一定割合までしか持っていないため、次期社長の決定の最終決定権が社外の人(投資家や株主)にゆだねられる事になりました。

株主総会で、利害関係者の方たちに対してプレゼンを行う親子。「私を社長にしたらこんないいことがあります」という応酬が始まるわけです。(醜いですね~)
そこで娘さんが繰り出した必殺技。『利益が出ていないのに配当を出す』戦法。テクニカルな話になるのですが、一応違法ではないんです。

その後もいろいろとやり取りはあったんですが、株主の人たちはお金がもらえればうれしいわけです。結果として娘さんが次期社長に決まってしまいました。

娘さんが社長になったとたん、会社の重鎮社員たちを次々と解雇し、自分の息のかかった社員にしていく事になります。
社長決定争いに敗れたお父様は、別の会社を立ち上げ、解雇されてしまった重鎮社員を雇いなおします。「また1からのスタートだ」というお父様の言葉はとても重いものを感じますね。

結果、お父様が作り直した会社は成長を続け、娘さんが引き継いだ会社は上場廃止、先日大手家電メーカーに買収されてしまいました。買収されてからは株価が急上昇し、業績も一転して絶好調。いろいろと考えるところはありますが、これはまた別のお話。


Webマーケティングとどう関係があるの?

あります。大ありです。ここからが本題、みたいなところがあります。
中小企業では、ヒト・モノ・カネといったリソースが限られているので、いろんなものが「時が止まった」状態で放置されている事が多いです。

そんな状態を見ると「こんな状態じゃまずい、何とかして変えないと」って思いがちです。コンサルティングとして関わる方や、中間管理職として入社した方、事業承継する立場の方なんかはより強くそれを感じます。でもちょっと待ってください。
システムを導入して終わりなのではなく、そこから運用まで落とし込むところまでちゃんと考える必要があるんです。今いる社員を教育したり、それが難しいなら新しく人を雇ったりするところまで考えないといけません。システム導入は終わりではなくスタートです。

それが田舎の中小企業であれば真っ先に目につきやすいのがWeb関係。GBP(Google ビジネスプロフィール、旧Google My Business)とか設定してないと、これは何とかしないと、って思いがちなわけです。

なんでそう感じるの?

認識の話になるので、少し抽象的になりますがご容赦ください。
「生得的地位」と「獲得的地位」という言葉が一番これをよく表していると感じています。(引用させていただいている本をご紹介します)
生得的地位とは、生まれながらにして得ている地位です。例えば社長の息子が会社に入ってきたら、普通の新入社員とはたぶん違う接し方をすることになりますよね。それを作っている原因が生得的地位です。

獲得的地位とは、その人が作った実績や人柄と言い換えてもらって構いません。「あの人はあれだけの功績を残してきたから、課長にふさわしい」といった感覚ありますよね。あれです。

ファミリービジネスの後継者が最初にぶち当たる壁はまずこれです。特にアトツギさんは現場のプロではないことが多いので、獲得的地位は持ち合わせていない状態で会社に入る事がほとんどです。周りの従業員の型からしたら、もはや腫物にさわるレベルで関わりたくない事でしょう。

こういった状況にあるので、アトツギの人たちは、自分は会社にいるにふさわしい、という事を何かしらの形で証明する必要があるわけです。そうなってくると何が起こるかというと、自分の功績になるような事を探し始めます。悪く言えば「あら捜し」のような言動になってしまうわけです。

上の娘さんは、きっと獲得的地位を早く得たくて、実績を作りたかった部分も強かったんじゃないかな、なんて思っています。
ちなみに今時のアトツギはWebマーケティングを会社に導入したがるんじゃないかなーっていうのが私の今の感覚です。(現に私はそう感じています)

ここでようやく話が戻ってきます。


古いものが悪いとは限らない

アトツギ話が長くなって申し訳ありませんでした。ここからやっと普通の話に戻ってきます。

獲得的地位の話はアトツギのお話でよく出てくる表現なのですが、私はこれは一般の会社でもあてはまる話だよなーって感じています。

具体的に言うと「役職に見合った功績を残そうとして、あら捜しをし、何かを見つけると問題意識を持ち、それに注力する」といった言動が起こりがちです。

問題意識を持つと、それに対して行動することに正義感を覚えます。正しく働いていればいい事なんですが、もし方向性が間違っていたら…これは、由々しき事態です。
間違った正義感は組織を破壊します。歴史的の惨劇の多くは、関係者の間違った正義感によって引き起こされています。

古いものを見つけたからといって、新しいものを導入しても、それを運用できなければ意味がありません。それを導入するのが「なぜ重要か」という視点は持たれると思うんですが、「どうやって運用するか」まで考えるのは、もう一工夫必要です。
「壮大なゴミにたくさんの労力をつぎ込んで、何もありませんでした」って事になる前に、それを新しくすることが本当に正しいかどうか、一歩引いて見つめなおす時間、大事だと思います。

日本のGDPの低さ、意外とこういう所から出てるんじゃないかなーなんて思ったゆうじでした。

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