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なぜコマーシャル営業がエンタープライズビジネスで苦労するのか?

個人的な意見ですが、大企業、中小企業は国が分類のために作った造語だと思っています。そのため、ここではSalesforceで使っているコマーシャルエンタープライズという言葉で置き換えて記述しようと思います。この区分は毎年のようにテリトリー(領域の定義)が変わるので、「ある程度の企業規模(売上や社員数など)で分けられる」としておきます。

よく話題になりますし、どの会社でも課題になっていることなのでどのような話がされているのか興味がありました。こちらは以下のサイトの和訳となります。

問: どんなふうに中小規模向け営業と大手とは異なるのでしょう?

それは全く異なるものです。
営業担当者を選ぶ基準を1つに絞るとしたら、それは「案件の規模」です。

エンタープライズ営業:

・担当者は多くの案件を自分で探す
・担当者が獲得するリードは月に1~10件程度
・担当者は、組織内の多くの関係者と関係を構築しなければならない
・担当者は(通常)現場に出て、オフィスで見込み客に直接会わなければならない。
・担当者は、自分のパイプラインの全部または一部を構築しなければならないことが多い。SDRの助けを借りることもある。しかし、潜在的な大口顧客に対しては、限られた人手で獲得しなければならないことが多い。
・販売サイクルが長いため、担当者がうまくいくのか、それとも口先だけなのかを見極めるのが難しい
・多くの場合、一握りの潜在的な取引を管理し、週に2-3回のミーティングをこなさなければならない。
・四半期に1~2件の成約にとどまることが多い
・企業担当者は、ソリューションアーキテクトやセールスエンジニアが顧客の質問に答えたり、CEOが大きな取引のために商談に参加したりと、営業面で多くの助けを得ていることが多い
・一般的に、より高い報酬/OTE (On Target Earnings; 営業奨励金まで含めた給与水準)が期待され、最初の取引が成立するまでは大きな引き分け(WIN:契約できた、または LOST:他社に負けたという状態ではないこと)となることが多い。

コマーシャル営業:

・担当者は通常、マーケティング/デマンドジェネレーションから月に100件以上のリードを獲得する。
・担当者は、1~3回の訪問(注;CALLは電話の意味もあるが、訪問の意味もある。ここでは訪問と考える方が普通)で、可能であれば30日以内に取引を成立させようとします。
・担当者は、膨大な数のリードや見込み客を管理する能力が必要です。
・担当者は、1日に4~5回のデモを行わなければならないことが多い(企業の担当者よりも桁違いに多い)。
・担当者は通常、マーケティング担当者やSDRから成約するためのリードを与えられ、自分でパイプラインを構築することはありません。
・担当者はあまり助けを得られず、すべて自分でやらなければならないことが多い。
・一般的に、大規模なSMB案件で月に8~12件、小規模な案件ではそれ以上をクローズする必要がある(エンタープライズ担当者の10倍以上)。
・一般的に報酬は低く、最初の30日から45日で取引を成立させることが多いため、引き分けはあまり重要ではありません。


中堅企業の営業は......その中間。中間ですね。

このように、基本的なスキルセット、ペース、人間関係の築き方、提供する価値などが大きく異なります。
そのため、以前にあなた(SaaS企業関係者のこと)の価格帯で販売したことのある担当者を雇うようにしてください。そうすれば、あなたの製品を販売するために必要なツールキットの90%を身につけることができます。たとえそれが全く異なる製品であってもです。

関連記事(英語): 

感想;
30年以上IT企業に身を置いているものとしては、このエンタープライズ、コマーシャルの差は本当に大きいと思います。
私自身は10年ほど流通のエンタープライズでSIを使って開発の仕事を始めたので、商社、運輸、旅行など10社以上のお客様からいろんなことを学びましたが、事業は異なっても、その意思決定プロセスは似ているものでした。
コマーシャルビジネスはPC事業に転じたときに店頭(ビックカメラなど)やディストリビュータの皆様とお仕事をさせていただいたのですが、製品がThinkPadというハードウェアに変わっていましたので、素直にいろいろ学べたのだと思います。
ここでの記事はSaaS立ち上げ時の話なので、採用される人のこれまでの経験を一番生かす方向で話されており、キャリアチェンジの話にはなっていません。同じような製品を扱うなかでの、担当領域の変更にはリスクが伴います。それでも企業の成長のためにはリスクをとり、社員のキャリアの幅を拡げる必要が来るときがあります。Mid-Marketと呼ばれる中間層は定義にもよりますが、多くの場合、そのときの狙っている潜在顧客を捉えられるリーダーを担当させるのだろうと思います。
ここではお客様規模だけで語られていますが、日本の場合には「パートナービジネスの経験のあり、なし」も、もう1つの大きな指標になるかと思います。その4象限で考えるとまたいろいろな考察ができそうです。

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