【怖い話】デジャヴ

夢で見たことがよく現実におこんのよ。
なんかやってる時「あ、ちょっと待ってこれ夢で見たわ」ってなるやつ。アレ。
あるよな?少なくとも俺は一年に数回はあるんだけど。
今回はそれについての話。

その日は特にやる事もなくてさ、普通にバイトしにカフェに行って、終わった後もドリンク一杯で閉店まで居座って(迷惑)買い物して、そんでアパートに帰宅。適当に飯作って風呂入って漫画読んでた。そしたらさ、ピンポーンってチャイムがなったんだよ。宅配便頼んだ覚えもないし、何かの勧誘とか受信料のアレかな?って思って。
あ、ウチはオートロックでエントランスに呼び出し口があるタイプのアパートなんだけど、相手の顔見たんだよ。

配達員っぽい服着た人だった。

あれ?俺、なんか頼んだっけ?って話すボタン押しちゃったんだよな。
「はーい、何すか?」って。
そしたら、「エントランスに降りてきてください」って言うんだよ。「ポストがいっぱいなので」って。
あー、たしかにって思ったね。俺、ポストは大事な書類だけ回収してあと残してたからパンパンになってたんだよ。でも押し込めば入るから、配達員の人に「書類なら押し込めば入るんで入れといてください」って言ったんだよね。
そしたら「いや、今来てください」って言うんだよ。でもだるかったから「明日からにしとくんでとりあえず詰めてください」って言ったの。
そしたらいきなり叫ばれたんだよね。
「冬子さん!!!!」
「飯塚冬子さん!!!!!!!!」
「開けてください!!!!開けてください!!!!」
「開けろ!!!!」
よく見たらね、顔がね、見えないんだよ。カメラから。え、待って。そもそもさ、

何で名前知ってんの?

俺、ポストに名前なんか書いてない。
相手も郵便物持ってない。
じゃあ何で俺が、「飯塚冬子」だってわかるんだよ。そこまで考えて、あ。って思い出した。

ポスト、ダイアルロック開けっ放しな上に水道とかの請求書入れっぱなしだわ。

じゃあ見られたのか。この人に。
でもなんでピンポイントで俺なんだ?って。
だってさ、ネットでの一人称俺って言うくらいだから人一倍女だって近隣住民にバレないように気をつけて過ごしてきて、ベランダに洗濯物だって干した事ない。バイト先は近いし接客だったけど。

そういえばこんな事があった。
バイト帰り、エントランスを通ると男の人がいた。誰か待ってるのかな?と思ってポストの確認して鍵開けてオートロック通ってった。

ーーあの時か。

その間も「冬子さん!!!!」「飯塚冬子さん!!!!」「冬子!!!!開けろ!!!!」って叫ばれてる。もうマジで怖くてロック開けようとしたんだよ。でも、その時「あ、この状況見たことあるな」ってめちゃくちゃ冷静に思ったの。

俺がエントランスの鍵開けて、ドアも開けちゃって、刺される。玄関先で。

そういう夢を何回も見たことがあった。
だからもう開けたらヤバいって思って「忙しいんで!」ってインターホン切った。外ではまだ叫ばれてたけど布団かぶって無視した。
そんで寝ちゃって、冷静になってその配達員の制服から会社割り出して問い合わせしたのよ。「ポストがいっぱいだから降りてきてくださいって職員が来ることありますか?」って。
会社からの返答はすぐに来た。
「そのようなお声がけは致しておりません」

それからすぐに近隣でニュースになるような事件が起こった。詳しくは書けないけど、ちょっと人が怪我するような事件。
あの男が犯人なのかはわからない。俺はあれから事件がニュースになった日まで怖くて外に出なかったし、それからその男が来ることは無かったから。

それでも、もしあの時、鍵を開けてたら。と思うことがある。もしデジャヴのことを思い出さずにテンパって開けてたらどうなってだだろう。

この能力は不気味だけど、あの時だけは心から感謝した。あれから数年経った。引っ越して平和な生活を送ってるけど、実はあれからロフト付きのワンルームで襲われる夢を何度も見る。今住んでいるのもロフト付きのワンルームだ。

まさか、な?






これは実話を元にした小説です。

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